※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

子育て世代の「孫ターン」増加、なぜ? 「地方回帰」が様変わり

これまで退職後に田舎暮らしを希望するシニア世代が主流だった「地方回帰」の動きが、30~40代の子育て世代に見られるようになり、増加傾向にある。移住パターンは地方都市への転職のほか、祖父母の地元に戻る“孫ターン”など。なぜ地方での子育てを望むのだろうか。

《地方都市「消滅」の危機》
国土交通省の「国土のグランドデザイン」によれば、2050年には、現時点で人が住んでいる地点の63%で人口が半分以下に減る。少子化が進み、高齢者が亡くなると人口そのものが減る地域が拡大する。人が減れば地元経済も衰退し、働き口をなくした若者が大都会に流出する悪循環に陥る。「消滅」の危機にさらされている地方を立て直すため、政府は、首相を本部長とする「まち・ひと・しごと創生本部」を発足し地域支援に取り組んでいる。

これまで、地方移住希望者といえば「シニア世代」が主流

自治体“消滅”防止へ…政府は“時間稼ぎ”で高齢者の移住を促進中

若者をひきつけ出生数を増やすまでには時間がかかり、人口が増える前に地方自治体が“消滅”しかねない。大都市圏から、退職後に田舎暮らしを希望する大量の高齢者が移り住めば時間を稼げるというわけで、政府の「まち・ひと・しごと創生本部」は高齢者の地方移住の促進に向け動いている。

50代男性の半数が関心 高齢者の「地方移住」促進、3つのカギ

実際、東京都在住者で移住を考えている50代男性は5割にのぼる

内閣官房の「東京在住者の今後の移住に関する意向調査」によれば、移住を考えている人は40・7%。関東1都6県以外の出身者では49・7%を占める。50代男性は50・8%が関心を示している。

50代男性の半数が関心 高齢者の「地方移住」促進、3つのカギ

しかし最近、「30~40代」に地方回帰の動きが

「転職」や、祖父母の地元に戻る「子育て」が目的

30~40代の子育て世代に、地方都市への転職や祖父母の地元に戻る“孫ターン”の動きが出てきた。

子育て世代の“孫ターン”が増加 地方回帰が様変わり!?

東京や大阪では毎週末「移住」セミナーが開催

移住希望者と自治体のマッチングに取り組む東京や大阪などの大都市圏のNPO法人は、毎週末、各地で移住希望者を対象としたセミナーをおこなっており、盛況を見せている。

子育て世代の“孫ターン”が増加 地方回帰が様変わり!?

【東京】「ふるさと回帰支援センター」の利用者は子育て世代が約半数

NPO法人、ふるさと回帰支援センター(東京都千代田区)の利用者は、2008年には約7割が50代以上だったが14年は30~40代の子育て世代が半数近い。

子育て世代の“孫ターン”が増加 地方回帰が様変わり!?

【大阪】「大阪ふるさと暮らし情報センター」の登録者、20~40代が半数

「大阪ふるさと暮らし情報センター」(大阪市)開設当初の2010年は、シニア世代からの相談が圧倒的に多かったが、近年は子育て世代が増加。14年の新規相談の登録者のうち半数を20~40代が占めているという。

若者「田舎暮らし」憧れ…セミナー大盛況 子育て世代に地方移住志向

東京千代田区にある「ふるさと回帰支援センター」の利用者

東京千代田区にある「ふるさと回帰支援センター」の利用者

子育て世代が移住を希望する・した理由は?

「同じ子育てをするなら自然の中で」

京都府京田辺市で会社員の夫(38)と小学生・幼稚園の女児2人と暮らす主婦(37)は「野菜を育てたり、その野菜で保存食をつくったり。田舎の方が都会よりクリエーティブな暮らしができそう」と、移住を検討する理由を話す。

若者「田舎暮らし」憧れ…セミナー大盛況 子育て世代に地方移住志向

「200万~300万円の年収でも、それなりの子育て生活が維持できる」

大阪ふるさと暮らし情報センター所長の井内秀起さん(61)は「それなりの生活を維持して子育てができるなら、わざわざ都会にいる必要はないという価値観が広がっている」と子育て世代の移住理由を分析する。

若者「田舎暮らし」憧れ…セミナー大盛況 子育て世代に地方移住志向

「震災時に交通や物流が止まり、首都圏暮らしに疑問が湧いた」

東日本大震災時に都心のIT関係会社で働いていた佐藤正彦さん(35)は交通や物流が止まり、首都圏暮らしに疑問が湧いたという。長女(4)の育児環境を考え、2012年7月に岡山市へ移住。建設会社で情報通信系工事の施工管理の仕事に就いた。

子育て世代の“孫ターン”が増加 地方回帰が様変わり!?

「祖父母がいる。生活に便利な都市が近く、仕事もある」

富山県朝日町へ移住した善田洋一郎さん(33)は、同町が開催したセミナーで「富山市が近く、黒部市に大企業がある。仕事はある」と参加者に説明。名古屋市の会社勤めなどを経て東京出身の妻(35)と2012年11月、妻の祖父母が住んでいた家に“孫ターン”。林業に従事し、2人の男児に恵まれた。

子育て世代の“孫ターン”が増加 地方回帰が様変わり!?

「孫ターン」望む理由、広告代理店の調査でも指摘

「親や地域社会がそばにある場所での子育てが女性の幸せ」

博報堂が実施した「しあわせ風土調査」によると、女性が考える「子供を産み育てやすい地域」は3世代同居だったり、地域社会があるところだという結果が出た。そこには、女性の「人とつながる豊かさにより、幸せを感じやすい」という特徴が関係していると同社は分析している。

「女の幸せ」やはり出産?幸福度調査で意外な結果

《博報堂による「地域しあわせラボ リサーチレポート第4号・地域しあわせ風土調査」》

博報堂は、慶応大大学院システム・デザインマネジメント研究科の前野隆司教授が考案したオリジナルの“幸福度指標”を使用し、共同で地域に3年以上居住している全国の男女1万5000人(20~64歳、単身赴任者と学生を除く)を対象に、2014年2月~3月にかけてインターネット上で調査。

「女の幸せ」やはり出産?幸福度調査で意外な結果

では…移住希望地、どこが人気?

【東京での人気】1位:山梨、2位:長野、3位:岡山、4位:福島

「ふるさと暮らし情報センター」(東京)を2014年に訪れた人たちへのアンケートでは、山梨県が1位になった(2015年2月発表)。11年から3年連続で1位だった長野県は2位。3位は岡山県は子育て世代からの人気が高い。4位の福島県はUターンだけでなく、Iターン希望者の人気が根強くあるという。

移住希望地、山梨が1位 首都圏近く人気

《相談コーナーの設置がランキングを左右》

山梨県は移住に加え、就職の相談ができる窓口を同センター内に設置し定期的にセミナーを開催したこと、そして首都圏から比較的近く、移住先として安定した人気を誇ることで1位に。長野県はセンター近くのアンテナショップに相談コーナーを併設したため、相談者が分散したとみられる。同センターの調査では2885人が回答(複数回答可)。

移住希望地、山梨が1位 首都圏近く人気

【大阪での人気】1位:岡山、2位:和歌山、3位:兵庫、4位:京都

「大阪ふるさと暮らし情報センター」が2014年1年間に相談を受けた移住希望者にどこで暮らしたいか尋ねると、最も多かったのが岡山県。続いて和歌山県、兵庫県、京都府だった。大阪から2時間半圏内で移住先を探す人が多いという。

若者「田舎暮らし」憧れ…セミナー大盛況 子育て世代に地方移住志向

注目まとめ

    アクセスランキング

    もっと見る

    ピックアップ

      どう思う?

      「どう思う?」一覧

      注目のテーマ