「狩りガール」の響きから想像つかない!たくましき女性猟師たち

野生鳥獣の農作物被害の増加を背景に、近頃テレビでも話題の女性猟師たち。「狩りガール」という言葉から、登山ブームで流行した「山ガール」と同一視する人もいるようだが、彼女たちはファッションやブームとしてではなく、“マジで”狩猟と向き合っている。

《4種類ある狩猟免許》
狩猟免許には4種類ある。散弾銃などを使う「第一種銃猟免許」(空気銃・圧縮ガス銃も使用可)、空気銃、圧縮ガス銃を使う「第二種銃猟免許」、“くくりわな”や“はこわな”などを使う「わな猟免許」、網を使う「網猟免許」。〔大日本猟友会

猟師は“絶滅寸前”…若手増加へあの手この手

今年度の農作物被害額191億円。うちシカ65億円、イノシシ55億円

農水省が1月に公表した2015年度の野生鳥獣による農作物被害金額は、前年度にくらべて8億円減少したものの191億円。主要な獣種別の被害金額はシカが最多の65億円。次いでイノシシが55億円、サルが13億円だった。

鳥獣被害 前年度より8億円減-農水省〔2016年1月25日 農業共同組合新聞〕

猟友会メンバーの高齢化で管理捕獲も思うように進まず

増え続ける野生動物に対処するための管理捕獲をする猟師は高齢化が進み、激減。神奈川県猟友会ではメンバーのほとんどが60歳を超え、野山を駆け巡る体力が年々衰えてきている。

ハンターが絶滅する!?~見直される“狩猟文化”~〔2013年2月14日 クローズアップ現代〕

そこで、環境省は若手猟師を確保するため各地でイベント

増加する鳥獣被害をふまえ、環境省は、人と野生鳥獣が共存し続けるための鳥獣保護管理の担い手を確保することに取り組み、その一環として、「狩猟の魅力まるわかりフォーラム」などのイベントを各地で開催。

狩猟のまるわかりフォーラムとは〔環境省〕

大日本猟友会は女性向けウェブマガジンを開設

大日本猟友会は、女性猟師を増やそうと、2013年夏からウェブマガジン「目指せ!狩りガール」を開設。ジビエ料理好きな東京在住の女性会社員が、ふとしたきっかけからハンターを目指し、自ら仕留めた獲物の肉料理をみんなにふるまうまでのあれこれを描く。

【ウェブマガジン】目指せ!狩りガール

「目指せ!狩りガール」のFacebook

ありちゃん日記vol.5の公開です。狩猟と言っても様々な方法がありますがありちゃんが選んだのはチーム猟である巻き狩りです。お父さんよりも年上のハンターさんと一緒に山に行く。なんか怒られそうとか、溶け込める?なんて不安もありました…http://kari-girl.com/diary/vol5.php

Posted by 目指せ!狩りガール on 2016年1月28日

その甲斐あって?女性猟師の数は確実に増加

昨年10月の「狩猟サミット」、参加者の25%が女性

2015年10月に開催された「第3回狩猟サミット」の参加者は、32都道府県から総勢177名。年齢は20代30%、30代40%、40代18%と若く、平均年齢は35.1才。このうち女性の参加者が46名(25.9%)を占めた。

急増する狩猟女子、国産ジビエの意外な潜在力〔2015年12月10日 日経ビジネス〕

狩猟免許所持者の高齢化が進む一方で、約10年間で女性は倍増

環境省によると、狩猟免許の所持者は1979年度で約44万7千人だったが、2012年度は約18万人と半減し、6割余りが60歳以上と高齢化が進む。一方で女性の所持者は2001年度の953人から12年度には2037人に倍増。

いま話題の「狩りガール」 生の実感求め…免許取得10年で倍増

2009年度から急増する女性の免許所持者

狩猟をするには“ハードル”もあるが…

適性・知識・技能試験がある上、狩猟税、手数料などの出費も

狩猟免許4種類いずれにおいても身体能力をテストする「適性試験」、鳥獣保護に関する法令や猟具の知識などを問う「知識試験」、猟具の取り扱い方など実技を見る「技能試験」がある上、狩猟を行う地域の都道府県へ申請書類を提出し、狩猟税、手数料などを支払う「狩猟者登録」も必要。

「狩猟免許」取得への道〔2014年8月16日 R25〕

猟銃を使う場合は、都道府県の公安委から「猟銃・空気銃所持許可証」の交付を受けなければいけない

わな・網の狩猟免許をもつ長濱世奈さんは、「猟銃・空気銃所持許可証」を得るのに「1年かかることも少なくない」と話す。身元を調べるため、「家族や上司や隣人に警察から電話がいったり、家の様子を見に来られたり報告させられたり」するとも。

狩りガールブームにおもうこと。〔2014年1月22日 Huffington Post〕

“ハードル”乗り越えてでも女性が猟師を志す理由とは?

「共存にはやはり駆除が必要」「地域貢献の一つ」

北海道初山別村でエゾシカ猟を行う“新人”猟師、村役場勤務の吉田百花さん(23)は、学生時代に野生動物の保護管理を学び狩猟免許を取得、15年10月に猟銃を手にしたといい、「共存にはやはり駆除が必要。その手段に銃がある」と話す。同じく新人の坂本香菜子さん(23)は、「これも地域貢献の一つ」と語る。

女性ハンター増加中 新人の1割を占める〔2016年1月18日 朝日新聞〕

「シカ肉が好きなので、自分で獲って食べてみたい」

狩猟免許を取得したという女優の杏さんは、駆除しながらも産業廃棄物になっているシカなど野生動物の現状について「人が食べる機会が増えたり、ドッグフードにしたりともっと使い道があれば、命を循環させられると思う」と言い、「私は鹿肉が好きなので、自分で獲って食べてみたい」と話す。

杏、狩猟の免許を取得「自分で獲って食べてみたい」〔2015年2月17日 テレビドガッチ〕

「農作物への鳥獣被害を減らしたい」

福井県高浜町の美容師で同町議会議員の児玉千明さん(25)は2014年に免許取得。きっかけは、猟師や農家と一緒に鳥獣被害を考える講習会に参加したこと。「猟師の先輩を見習って、鳥獣被害を減らしたい」と話す。

高浜の鳥獣被害防げ 若者ハンター志願 町も若返りを後押し〔2014年9月22日 中日新聞〕

「狩猟は命をいただく仕事。その意義や魅力を伝えたい」

奈良女子大「ハンティングサークル」の発起人である同大大学院1年の竹村優希さん(23)は、2016年中の狩猟免許取得を目指しているが、「狩猟は命をいただく仕事。その意義や魅力を伝えたい」と話す。

奈良女子大ハンティングサークルに県支援金〔2016年2月22日 毎日新聞 / Yahooニュース〕

「自分で捌いたってだけで愛情が違う!」(児玉千明さんのFacebookより)

NEWスライサーがいい仕事をしてくれます。自分で捌いたってだけで愛情が違う!なんて美しいの!尊敬する先輩方に頂いた物ですこれが自分で獲ったものなら…!ぐぬぬそんな事を考えながら今年もあっという間でした。たくさんのはじめて...

Posted by 児玉 千明 on 2014年12月31日

女性猟師に聞く、あなたにとって「狩猟」とは?

「自然の中を皆で駆け回って、獲物を分かち合う瞬間に幸せを感じる」

山梨県猟友会青年部の勝俣麻里加さん(25)は、「狩猟犬が鹿を発見して、吠えると、皆で一斉に獲物に向かって走っていく。自然の中を皆で駆け回って、獲物を分かち合う瞬間に幸せを感じる」と、狩猟の魅力を話す。

県猟友会青年部・勝俣麻里加さん /山梨〔2015年9月30日 毎日新聞〕

「仕留めた瞬間が爽快」

北海道白糠町で父親ともに親子ハンターとして活躍する松野千紘さん(25)は、年間400頭以上のシカを仕留め、道外の飲食店などに卸すほか加工販売も行う。猟友会白糠郡支部で唯一の女性猟師で、「仕留めた瞬間が爽快」と笑顔でその醍醐味を語る。

すご腕 父娘ハンター 鹿捕獲年400頭 ジビエ提供も 北海道の松野さん 〔2016年1月29日 日本農業新聞〕

「撃ち損ねたシカと目が合うと、悔しさと闘志がわき起こる」

大阪府門真市の国見綾子さん(28)は週末ごとに福井県南西部の山間部に入りニホンジカを狙う。父親も猟師の資格を持ち、幼い頃に獲物の肉のおいしさを知った。「狩りは自分とシカとの闘い。撃ち損ねたシカと目が合うと、悔しさと闘志がわき起こる」と話す。

いま話題の「狩りガール」 生の実感求め…免許取得10年で倍増

「たくさんのヒトの理解と動物の命をいただくことで成り立っている文化」

網・わなの狩猟免許をもつ長濱世奈さんは、狩猟は「たくさんのヒトの理解と、動物の命をいただくことで成り立っている文化」と綴る。長濱さんが共に狩りをした猟友会の人々は、獲物を一切無駄にせず、食べる際は必ず神棚に感謝するのだという。

狩りガールブームにおもうこと。〔2014年1月22日 Huffington Post〕

「ただの殺生と違うからこそ精神性がとても大事」

兵庫県朝来市の吉井あゆみさんは狩猟を生業とするプロの猟師。料理店などから注文を受けて山に入ることも多い。「狩猟は伝統文化。ただの殺生と違う。だからこそ精神性がとても大事で、それをきちんと受け継がなければあかんでしょうね」と話す。

現代の“First Penguin”女猟師・吉井あゆみさんが貫くプロの猟師とは?〔2016年2月10日 えい出版社〕

「命を頂くことで私たちは自分の命をつないでいる」

神奈川県川崎市出身の原薫さんは、森林作業員として働くかたわら、仲間たちと一緒に山に入り猟をする。原さんは「食肉用で飼育される豚や牛と、山の中を歩き回る猪や鹿。どちらも同じ命。その命を頂くことで私たちは自分の命をつないでいる」と話す。

木こり系女猟師、原薫さんが笑顔でつなぐ山の命〔2016年2月17日 えい出版社〕

「殺生を誰かがやってくれているおかげで肉を食べることができるんだと実感」

趣味のクレー射撃を機に狩猟を始めた大阪府東大阪市の会社員、藤崎由美子さん(46)は、猟師がイノシシを余すところなくさばく様子を見たとき、「殺生を誰かがやってくれているおかげで肉を食べることができる」と実感、気負いや抵抗感が抜け落ちたという。

いま話題の「狩りガール」 生の実感求め…免許取得10年で倍増

とはいえ男性でさえ大変な狩猟、女性猟師の悩みも…

女性猟師の悩みは、トイレと仕留めた後の肉や内臓の運搬

巻き狩り猟でのトイレは特に困る。猟師歴18年の松浦友紀子さん(41)は「我慢するか、途中で素早く済ませるしかない」と明かす。成獣なら100キロ超のシカの運搬については「無理なときは仲間に協力をお願いすればいい。そこはコミュニケーション能力」と話す。

女性ハンター増加中 新人の1割を占める〔2016年1月18日 朝日新聞〕

《巻き猟(まき猟)》

まき猟は、セコ(獲物を追う役)とマチ(見張り役)に分かれてグループを組んで猟を行う。吉井あゆみさんによると、3~4人から20人単位と規模はさまざまという。

シカ、イノシシ……日本にわずか「女マタギ」の生き方〔dancyu 2013年8月号〕

射撃の研修会で腕を磨く女性猟師たち=大阪府泉南市の大阪総合射撃場

射撃の研修会で腕を磨く女性猟師たち=大阪府泉南市の大阪総合射撃場

注目まとめ

    アクセスランキング

    もっと見る

    ピックアップ

      どう思う?

      「どう思う?」一覧

      注目のテーマ