死と隣り合わせ お酒の危険な飲み方…リスクを知って身を守ろう

※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

飲酒によるトラブルが後を絶たない。度重なる警告にもかかわらず「アルハラ」は横行し、イッキ飲みによる急性アルコール中毒で命を落とす若者らも続出。死と隣り合わせという危機感はあまりに希薄だ。

《急性アルコール中毒》
厚労省によると、「アルコール飲料の摂取により生体が精神的・身体的影響を受け、主として一過性に意識障害を生ずるものであり、通常は酩酊と称されるものである」と定義されている。若年者・女性・高齢者などでリスクが高まり、とくに大学生や新社会人では一気飲みとして飲酒させられ、死亡に至るケースが毎年発生している。

飲酒を強要する「アルハラ」が横行

イッキ飲み、上下関係…学生の死亡招く悲劇

楽しいはずの飲み会を苦しく、つらい場に一変させるのが、イッキ飲みをはじめとする「アルハラ(アルコール・ハラスメント)」だ。大学生の飲み会は上下関係が災いしてアルハラが横行、急性アルコール中毒による死亡者を生み出す「危険地帯」がいまだに残る。

飲酒を強要する「アルハラ」に警鐘、学生の死亡招く悲劇…身を守るには

アルハラは、肉体的・精神的に大きなダメージを与える「人権侵害」

アルハラとはアルコール・ハラスメントの略。飲酒にまつわる人権侵害。命を奪うこともある。子供を飲酒事故で亡くした親らでつくる市民団体「イッキ飲み防止連絡協議会」は以下にアルハラの定義5項目をあげる。

アルハラの定義5項目〔イッキ飲み防止連絡協議会〕

たとえば、こんな言動はNG!

  • 「おまえのビール量が減っていない、飲んでいない、もっと飲め!!」(社会人男性Aさん)
  • 「飲めば仲間に入れてやる」(50代男性Bさん)
  • 挨拶がおもしろくないと一気、おもしろければ褒美として一気(匿名希望Cさん)

アルハラ・エピソード集〔イッキ飲み防止連絡協議会〕

多くの学生が無謀な飲酒で命を落としている

「イッキ飲み防止連絡協議会」によれば、1983年以降で112人、直近10年間でも34人の大学生や専門学校生などが無謀な飲酒で命を落としているという。

大学イッキ飲みの悪習健在「バケツに日本酒、焼酎を配合」も

《東大サークルの事例》

2012年、東大テニスサークルの飲み会で、埼玉県北本市の教養学部2年の高原滉(当時21歳)さんが、アルコール度数25%の焼酎約1リットルを一気飲みし、急性アルコール中毒で死亡した。メンバーは高原さんを放置したまま飲み続け、異変に気付き救急車を呼んだのは翌午前2過ぎ。高原さんは搬送先病院で死亡が確認された。

東大サークル一気飲み死亡、両親が賠償提訴 倒れても放置「見殺しにされた」

イッキ飲み「強要」制止しなければ犯罪?

暴行や脅迫による強要は「強要罪」

暴行や脅迫によるイッキ飲みの強要は、強要罪。暴行や脅迫はなくとも、新入社員を酔わせてつぶすため「恒例だから」などとしてイッキ飲みを強要し、急性アルコール中毒や意識障害を起こさせると、傷害罪になる。仮に意図的でなかったとしても、イッキ飲みが危険な行為であることは既に常識として、少なくとも過失傷害罪が成立するという。

「イッキ飲み」 周りで見過ごしたら犯罪か?〔水戸法律事務所〕

イッキ飲みをせざるを得ない状況に陥らせた場合も、共犯として処罰されることがあり得る

周囲ではやし立てるなどして、新入社員がイッキ飲みをせざるを得ない状況に陥らせた先輩たちも、共犯として処罰されることがあり得る。状況次第で、強要した先輩と同等の共同正犯か、正犯者を精神的に後押しした幇助犯(従犯)あるいは傷害現場助勢罪に。

「イッキ飲み」 周りで見過ごしたら犯罪か?〔水戸法律事務所〕

忘年会シーズン…危険増す「師走」

都内で毎年1万人以上が救急搬送 最多は12月

東京消防庁の調べによると、毎年年間1万人以上が救急車で病院に運ばれている。「急性アルコール中毒」が原因で救急搬送される人は12月がもっとも多いという結果が出ている。

他人事ではない「急性アルコール中毒」〔東京消防庁〕

男女とも20代が多く、経験の浅さから、無謀な飲酒をしてしまうことなどが理由にあげられる

また、急性アルコール中毒で搬送された人を年代別に見てみると、男女ともに20歳代の人数が多い。理由として、グループで盛り上がって飲酒する機会が多いこと、また経験の浅さから自分の適量が分からず、無謀な飲酒をしてしまうことなどが考えられる。

他人事ではない「急性アルコール中毒」〔東京消防庁〕

「大丈夫」は危険…リスクを知って身を守ろう

酒を飲んでのスポーツ、入浴、薬…死に至る事態も

  • お酒を飲んでスポーツをするのは危険
  • 酔ったままお風呂に入ったり、入浴中に飲んだりすると、心臓発作につながることも
  • 薬を服用中の人がお酒を飲むと、薬の種類によって、効きすぎたり、効かなくなったり、場合によっては、生命にかかわるような事態になることも

こんな時には、飲まないで〔SUNTORY〕

空腹の状態で飲酒すると、血中アルコール濃度が急上昇

空腹の状態で飲酒すると、胃や小腸からアルコールがいきなり吸収され、血中アルコール濃度が急上昇してしまう。また、短時間に大量に飲酒すると、肝臓でのアルコールの処理が追いつかず、さらに上がってしまう。

イッキ飲みの危険性と要因〔KIRIN〕

「鍛えて強くなる」が、実は落とし穴

「飲んでいるうちに平気になった」という話は実は危険。アセトアルデヒドはミクロゾームエタノール酸化酵素(MEOS)という酵素でもある程度分解され、鍛えることによってその力が強くなるが、MEOSは数週間お酒をやめていると元の状態に戻ってしまう。しかも、MEOSを使いすぎると肝障害を起こしやすくなるとも。

アルコール分解酵素が少ない?お酒を飲めない体質って?〔2015年5月2日 いしゃまち〕

「まだ飲める」は危険

飲酒してからアルコールが脳に到達するまで、およそ30分から1時間かかるといわれている。大量のアルコールを飲んでいてもすぐに酔いの症状が表れないため、「まだ飲める」と思いこんでいるときに泥酔や昏睡を招く量のアルコールを飲むと、急性アルコール中毒になってしまう。

イッキ飲みの危険性と要因〔KIRIN〕

急性アルコール中毒の危険サイン

身体的な症状としては激しい腹痛が起こることもあり、下痢やおう吐がひどくなることも。立っていられない時は助けを呼ぶのが賢明。まっすぐに立てない、座れない、ろれつが回っていないなども急性アルコール中毒の危険サイン。周りにそういう人がいたらすぐに対策を。
(1)動悸が激しくなる
(2)気分が悪くなり、吐き気がする
(3)意識が遠のいていくような感じ
(4)呼吸が浅くなり苦しい
(5)腹痛が起こり下痢をする

すぐ赤くなる人は要注意!「急性アルコール中毒」危険症状5つ〔2015年2月14日 美レンジャー〕

《アルコール代謝の個人差》

お酒に強いか弱いかは、実は体質によって決まっている。アルコールが体内に入ると、アセトアルデヒドに分解されるが、この物質は毒性が強く、顔面の紅潮、頭痛、吐き気、頻脈などの不快な症状を引き起こす。アセトアルデヒドを分解するのが、アルデヒド脱水素酵素(ALDH)。1型と2型とあり、血中の濃度が低い時には、2型(ALDH2)が活躍。ところが、日本人の場合、約40%の人がALDH2の働きが弱い「低活性型」でお酒に弱く、4%が全くない「不活性型」で全くお酒を飲めない人だと言われている。このタイプの人たちは、ごく少量のお酒でも、気分が悪くなってしまうので、無理に飲むことはもちろん、このタイプの人たちにお酒を無理強いすることは、絶対に慎むように。

アルコール代謝の個人差[お酒に強い人、弱い人]〔SUNTORY〕

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