※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

薬物、スマホ、買い物まで…「○○依存」はなぜ生まれる?

薬物からスマートフォンまで―「依存症」を引き起こすものとは一体何か。身近に薬物中毒に苦しむ様子を見てきた英国のジャーナリストが、「『依存症(addiction)』の反対は 『繋がり(connection)』」と提唱し、反響を呼んでいる。

《依存症》
ある物事に依存し、それがないと身体的・精神的な平常を保てなくなる状態。アルコール依存症のような物質に対するものと、インターネット依存症のように行為に対するもの、共依存のように人間関係に対するものがある。

英ジャーナリスト、「依存症」の“常識”を一蹴

ヨハン・ハリ氏、TED(テド)で講演

2015年6月、学術・エンターテイメント・デザインなど様々な分野の人物がプレゼンテーションを行なう「テド・カンファレンス」で、英国人ジャーナリストのヨハン・ハリ氏が、「『依存症』―間違いだらけの常識」と題した講演を行い、反響をよんでいる。

薬物依存症患者を助ける方法を探して世界中をまわり、答えを出した

ハリ氏は、身近にいる薬物依存症患者を助ける方法はないかと考え、世界中の経験者や依存症について研究している研究者に会いに行き、3万マイルを旅して、たくさんの人に会い彼が気付いたことは、「依存症について知られている全てのことは間違っている」ということだった。

《TED(テド:Technology Entertainment Design)》

カナダのバンクーバーで、毎年大規模な世界的講演会を主催している非営利団体。TEDが主催する講演会「テド・カンファレンス」では、過去にビル・ゲイツ、アル・ゴア、ボノ、ジェームス・キャメロンなど数多くの世界の著名人らが講演に立っている。講演動画はネット上で無料配信されている。

「『依存症』の反対は 『繋がり』」

「薬物依存の原因は、薬物依存者の置かれた生活環境にある」

ハリ氏は、 20世紀に行われた一連の実験結果(マウスの実験)が導いた、「薬物依存の原因は、薬物成分に依存性物質が含まれるから」といった定説に対し、「薬物依存の原因は、薬物依存者の置かれた生活環境にある」と結論付けた1970年代の実験(マウスに孤独感を与えず交尾も自由に行える環境『ネズミの楽園』で「麻薬入りの水」と「水」を与える実験)を紹介。

「何かと繋がろうとするのが人間の本能」

ハリ氏がオランダのピーター・コーエン教授から聞いた話によれば、「人は他人と心を通い合わせ繋がることを自然と求める動物。それがうまくできない人はトラウマや孤立、虐待などが原因となり 安心感を求め 人間以外に繋がる対象を探し始める」とし「何かと繋がろうとするのが人間の本能」という。

「大事にしたい人間関係」が依存症を回避させる

これを受けハリ氏は、TED会場の来場者に対して「例えばウォッカを飲み続けることはできるがそれをしない」のは「誰かに止められているからではなく、大事にしたい仲間や人間関係があるから」ではないかと問いかけた。

ポルトガルの成功事例「毎朝必ずベッドから起き出す理由を与える」

また、ハリ氏によると、ポルトガルでは、ある中毒者のために仕事を作り、薬物依存者が小さなビジネスを始められるよう小さなローンを組めるようにし、「毎朝必ずベッドから起き出さなければいけない何かを与える」ことによって、「広い社会での人間関係や繋がりを再発見できるようになった」と話す。その結果ポルトガルでの薬物注射の利用が50%減った、という報告もあるという。

依存症の人に対し「あなたともっと繋がりたい」と伝えること

ハリ氏は、周りの依存症の人に対し「あなたともっと深く関わり合いたい」というメッセージを伝えることが重要とし、「『依存症(addiction)』の対極にあるのは『しらふ』ではなく『繋がり(connection)』」と述べた。

現代社会と依存について「スマホも同じ」

ハリ氏は、「私たちは、スマートフォンや買い物など、様々な種類の『依存』に陥りやすい文化の中にいる」とし、SNSやインターネットで誰とでも繋がりやすい(はずの)現代社会について、マウスの実験を行ったブルース・アレクサンダー博士の言葉を引用した。「我々の作った社会は、多くの人にとって人生が 『ネズミの楽園』とはかけ離れ、他に何もない孤独なオリのようなものになっている」。

わかりやすい動画も公開、多くの興味関心をひいている

デザイン事務所とコラボし動画を作成、世界に配信

ヨハン・ハリ氏は、デザイン事務所が運営する科学系動画サイト「Kurzgesagt」と協力し、「依存症」についての自身の見解をアニメーションでわかりやすく解説。11月25日時点で400万回以上再生されている。

Everything We Think We Know About Addiction Is Wrong〔YouTube 2015年10月29日公開〕

「依存症について、私たちが知っていると考えることは全て間違っている」(字幕付き)

あなたは大丈夫? 「スマホ依存」「ネット依存」

「ネットがもたらす万能感、自信過剰な意識が一因」(専門家)

2012~13年の厚生労働省研究班の調査によると、ネット依存の傾向がある中高生は全国に推計約52万人。その一因には、「ネットがもたらす万能感、人生経験の未熟さや自信過剰な意識がある」と専門家は指摘する。

ネットの万能感 「世間を知っている」と自信過剰に〔2015年11月19日 朝日新聞〕

「ネットにのめりこむ生活は精神に異常をきたす」(精神科医)

モスクワの主任精神科医ボリス・ツィガンコフ教授は、インターネットにのめりこむ生活は精神に異常をきたすとして、「人間というのは社会現象だ。他の人と交流せなばならないし、それは血の通い、感情のこもった交流でなければならない。ところがバーチャルな人格との交流にのめりこんでしまい、外界との接触がコンピューター画面を通して行なわれると、これはすでに異常である」と指摘している。

世界的に蔓延するインターネット依存症〔2015年6月6日 Sputnik〕

「ネット依存症か分かる10の質問」が改めて話題に

心療内科を舞台とした漫画「マンガで分かる心療内科」の第59回「『ネット依存症』か分かる、10の質問」(2012年公開)が、ネット上で再び話題に。

私は全部当てはまりました…「ネット依存症か分かる10の質問」が話題〔2015年5月6日 KAI-YOU〕

反響を呼んだ漫画公式のツイッター

自分は「ネット依存症」だと思う?

最近では、ある自治体の調べで、ネット依存が日常生活へ影響を及ぼすこともわかりました。あなたは自分を「ネット依存症」だと思いますか?

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