女性が凍死…五輪選手も愛用「クライオセラピー」ってどうなの?

米国で、体を超低温にさらすことで筋組織や皮膚の再生を促すとして関心が高まっている「クライオセラピー(冷却療法)」の装置内で女性が「凍死」する事故が起きた。2014年アジア五輪では日本の選手団の施設にも導入され話題となったこの冷却療法とは?

《「クライオセラピー(冷却療法)」の広がり》
欧州の一部ではここ20年にわたり採用され、米国では現在、ニューヨークやロサンゼルスなどを中心に各地で提供するサロンや施設が増えている。日本には1978年に導入されたといわれるが、欧米ほど一般化はされていない。

米国で「クライオセラピー」装置内で女性が“凍死”

サロン従業員が冷却装置に入ったまま死亡、翌日に発見された

事故が起きたのは、米ラスベガスにあるビューティーサロン「リジュブナイス」。同店の従業員、チェルシー・エイクサルバシオンさん(24)は10月初め、電話ボックス大のクライオセラピー装置の中で死亡しているのを出勤してきた同僚に発見された。前日の勤務終了後、仕事の疲れを癒やそうと装置に入ったとみられる。

人気上昇中の全身凍結療法で女性が「凍死」、米当局が調査へ〔2015年10月29日 AFP〕

遺体は「かちかち」…警察は療法の安全面などの調査開始へ

地元メディアによるとチェルシーさんの遺体は「かちかちに凍っていた」。警察は彼女の死に不審な点はないとし、捜査を打ち切ったが、ネバダ州当局は、クライオセラピーの安全面などに関する調査を行うと発表した。

人気上昇中の全身凍結療法で女性が「凍死」、米当局が調査へ〔2015年10月29日 AFP〕

クライオセラピーとは? 施術方法と期待される効果

マイナス150度以下の冷気が出るカプセルに入り全身を数分間冷やす

気化した液体窒素を使い、マイナス150度からマイナス190度の超低温で全身を数分間冷やす療法。冷気が充満するカプセル型のマシンに入り治療を行う。

クライオセラピーで米女性が「凍死」、日本のがん治療でも採用されている凍結療法とは〔2015年10月30日 Mocosuku Woman〕

美肌、アンチエイジングに効果があるといわれ、セレブらが愛用

同施術の提供者などによると、冷気に対する防御反応によって末梢血管が急速に収縮し、外気に戻ると血管が温度差で拡張。その変化によって血流が非常に良くなり、全身の皮膚に大きなメリットを生じさせるという。急速に冷却された皮膚ではコラーゲンの生成が促進され、肌のハリが生まれるほか、アンチエイジング効果も期待できる。ハリウッドなどのセレブにも愛用者が多い。

セレブも愛用。マイナス190℃の冷気が充満したカプセルに入って行う最先端の治療法〔2014年10月20日 Numero TOKYO〕

筋肉疲労を回復させる効果もあるとされ、世界のトップアスリートにも愛用者は多い

スポーツ分野では、筋肉疲労の改善やパフォーマンスの向上に効果があるされ、2014年9月の仁川アジア大会では、日本選手団の施設に、クライオセラピーができる超低温カプセルが導入され話題になった。陸上のウサイン・ボルト選手や、ハンマー投げの室伏広治選手なども利用しているという。

アジア大会で日本選手団の支援施設に初導入された「超低温カプセル」とは?〔2014年9月13日 THE HUFFINGTON POST〕

日本へはリウマチの治療法として1978年に導入された

関節リウマチの治療法としてクライオセラピーが日本に導入されたのは1978年。身体の熱を取り除くことで患部の温度を下げ、炎症を抑える効果があるとされる。

【阿部純子のトレンド探検隊】マイナス190℃の冷気を浴びる超低温療法「クライオセラピー」を体験〔2014年12月19日 @DIME〕

欧州の一部ではここ20年にわたり行われ、米国ではいまサロンなどが増加中

全身クライオセラピーは、20年にわたり欧州の一部で採用されてきた治療法。現在、米国ではニューヨークやロサンゼルスなど、国内各地にトリートメントを提供するサロンが増えている(AFP)。

Cryotherapy: The deep freeze health treatment taking America by storm〔2015年9月26日 INTERNATIONAL BUSINESS TIMES(英語)〕

ちなみに日本では、がんの「凍結治療」の用途のほうが一般的

がんにおける「凍結療法」とは、すべての細胞は凍らせると細胞膜が破壊され死ぬという原理を利用したもの。特殊な針に高圧のガスを通すと針の先端がマイナス185度になり周囲の細胞が凍結する。治療は1時間程度、針を刺すだけなので傷跡もほとんど残らないという。

IVR検査 がんを凍らせる“凍結療法”〔国立がん研究センター 中央病院〕

【動画】米国内で関心高まる「クライオセラピー」

米ABCニュースは5月、新たな健康法として同国内でクライオセラピーに関心が高まっていると報じている。

しかし科学的効果は未解明…療法めぐり賛否も

「アスリートが多用する氷風呂よりも痛みが少なく効果的」(米NYサロンの経営者)

米ニュージャージー州ウェインでクライオセラピーを提供するサロンの経営者、Sal Buscema氏は、多くのアスリートが運動後に浸かるという氷風呂(アイスバス)よりも痛みが少なく、より効果的だと話す。「凍えるような感覚は(冷却用のカプセルから出れば)普通に戻るうえ、入る前よりも体が柔軟になる」とも。

Cryotherapy death calls benefits of the health trend into question〔2015年10月28日 CNN(英語)〕

「深部体温まで下げるほどの時間は入らないので、ダメージを受ける可能性は極めて低い」(日本のクリニック院長)

仁川アジア大会の日本の施設に導入された機器を、日本で初めて導入し、2014年9月からクライオ外来を開始した六本木の「カヴァロ クリニック」宮谷孝幸院長は「皮膚の表面温度は下がっても、深部体温まで下げるほどの時間はカプセルに入らないので、ダメージを受ける可能性は極めて低いといえる」という。

マイナス190℃の冷気を浴びる超低温療法「クライオセラピー」を体験〔@DIME〕

「利用者をきちんと監視していれば、凍死のような事故は起こりにくい」(米NYサロンのCEO)

ニューヨークを拠点とするサロン「クライオライフNYC」のCEOで共同創設者のJoanna Fryben氏は、「クライオライフではすべての工程を監視のもとに行われ、利用者はカプセルの中に3分以上いることが許されていない。ラスベガスのサロンで起きた“凍死”のようなことは同社では起こりにくい」と指摘する。

Cryotherapy death calls benefits of the health trend into question〔2015年10月28日 CNN(英語)〕

「医学的効果は証明されていない上、わずかだが、施術による筋組織の炎症もみられる」(英ポーツマス大の研究員)

英ポーツマス大学スポーツ科学部のシニア研究員、ジョセフ・コステロ氏は、「クライオセラピーがアスリートらの疲労回復に効果があるか否かを述べるにはまだ十分な根拠がないない」とした上で、同療法には、筋力がアップするときのものとは異なる筋組織へのダメージや炎症などがわずかながら見られると指摘する。

Cryotherapy death calls benefits of the health trend into question〔2015年10月28日 CNN(英語)〕

実際どうなの? 日本で施術を受けた人の感想に注目

六本木のクリニックで、女性ライターがクライオセラピーを体験

クライオセラピーを体験しに女性ライターが六本木の「カヴァロ クリニック」を訪問。同クリニックでは医師の診察のもと症状に応じて、全身低温療法の「クライオボディ メニュー」(1回=23,000円)と、局所低温療法の「クライオスポット メニュー」(1回=12,000円)による施術を行っている。

【阿部純子のトレンド探検隊】マイナス190℃の冷気を浴びる超低温療法「クライオセラピー」を体験〔2014年12月19日 @DIME〕

全身にマイナス190℃の冷気を浴びる「クライオボディ」を体験。手袋、靴下を着用して下着1枚になりバスローブを羽織る。カプセルに入るときはバスローブを脱ぐ。身長に応じて入る時間が変わるが、女性の場合は1分半、男性の場合は2分が目安

全身にマイナス190℃の冷気を浴びる「クライオボディ」を体験。手袋、靴下を着用して下着1枚になりバスローブを羽織る。カプセルに入るときはバスローブを脱ぐ。身長に応じて入る時間が変わるが、女性の場合は1分半、男性の場合は2分が目安

カプセルの中へ。カロリーを消費させる働きのある褐色細胞を活性化させるため、それが集まるわきの下に冷気が当たるよう、野球ボール1個分ほどのすき間を空けて、とのアドバイスを受ける

カプセルの中へ。カロリーを消費させる働きのある褐色細胞を活性化させるため、それが集まるわきの下に冷気が当たるよう、野球ボール1個分ほどのすき間を空けて、とのアドバイスを受ける

カプセル内の気温は徐々に下がっていくが、入った瞬間にすでに寒い! アドバイスを受け、カプセルの中をぐるぐると回ってみる。気温は下がるが、寒いというより肌がピリピリとする感じ

カプセル内の気温は徐々に下がっていくが、入った瞬間にすでに寒い! アドバイスを受け、カプセルの中をぐるぐると回ってみる。気温は下がるが、寒いというより肌がピリピリとする感じ

回っていたらあっという間に1分半が終了。一番ピリピリを感じた太ももが赤くなっていたが、それ以外はとくに変化はなく、手袋とソックスをつけていた手足はぽかぽかの状態のまま。カプセルを出て数分すると、全身が温かくなってきた

回っていたらあっという間に1分半が終了。一番ピリピリを感じた太ももが赤くなっていたが、それ以外はとくに変化はなく、手袋とソックスをつけていた手足はぽかぽかの状態のまま。カプセルを出て数分すると、全身が温かくなってきた

顔やデコルテ、肩、腕、脚など、気になるところにマイナス150℃の冷気を当てる「クライオスポット」メニューもトライしてみた

顔やデコルテ、肩、腕、脚など、気になるところにマイナス150℃の冷気を当てる「クライオスポット」メニューもトライしてみた

終了後の写真では、真ん丸だった顔の輪郭が若干すらっとしたような…? 体は、もともと暑がり体質とはいえ、この日は気温が8℃ほどにもかかわらず、外でも全身のぽかぽか感が持続。「いつもより入眠も早くコンディションの良さが実感できた」と女性ライター

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