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増える外国人客、足りないホテル…「民泊」は解決策になるか

外国人観光客が急増するなか、都心などではホテル不足が深刻となっている。そこで注目されているのがマンションの空き部屋などを宿泊施設として活用する「民泊」だが、人気が高まるにつれ、さまざまな問題が浮上している。

《民泊》
自宅やマンションに空き部屋がある個人が、そのスペースを旅行者に有料で宿泊施設として提供するサービス。2008年に米国で始まった旅行者と貸し手を結びつけるウェブサービス「Airbnb(エアビーアンドビー)」が広めた宿泊形態で、2014年には日本法人も発足し、全国で1万件以上の物件が登録済み。ホテルや旅館に泊まるよりも安価なこともあり、外国人観光客の間などで人気が高まっている。

増える外国人客、足りないホテル…

訪日外国人客数、年間1800万人超のペース…3年前の倍以上に

日本政府観光局が発表した今年上期(1~6月)の訪日外国人客数は、過去最高の913万9900人となり、年間では1800万人を超えるペース。3年前までは年間900万人前後だったが、倍以上となっている。

1~6月の訪日外国人客数、914万人 上期は過去最高

都心部ではホテル不足深刻化…「1泊3万円」のビジネスホテルも

東京や大阪などの都心部では、訪日客の急増によってホテルの客室不足が深刻化している。観光庁によると、東京や神奈川、大阪、京都では昨年のホテルの客室稼働率は80~90%。今年4月、大手ビジネスホテルは都心の施設に「1泊3万円」と強気の価格を設定した。

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《ホテルの客室稼働率》

ホテルコンサルタントの堀口洋明氏によると、客室の埋まり具合を示す数値である客室稼働率の月平均が80%を超え出すと、満室になる日が出てくる。宿泊施設の立地などによっても異なるが、都市立地であれば稼働率85%を超えると満室になる日が週に3日間は出てくる。

「ホテルが満室で予約できない」は本当か?〔2015年8月11日 トラベルボイス〕

ホテル不足で注目される「民泊」

民家の空き家、マンションの空き部屋などを安価で提供

民家の空き家や、マンションの空き部屋を宿泊場所として提供する「民泊」が急速に広がっている。築30年の一軒家を所有する女性は、地元を訪れる外国人観光客のためになるならと1人1泊4千円ほど民泊を行っている。また、マンションの空き部屋を、1部屋1万円程度で貸し出すケースも出てきている。

どうする 宿泊施設の不足〔2015年7月30日 NHK〕

旅行者と貸し手を結びつけるマッチングサイトで急速に拡大

民泊は急速に拡大した背景には、部屋を借りたい外国人観光客と、貸したい空き部屋のオーナー(ホスト)を、インターネットで効率的にマッチングする「Airbnb(エアビーアンドビー)」などのマッチングサイトの存在がある。国内でのホスト数は1万3千件を超え、利用者も大幅に伸びているという。

増える外国人旅行者、高まる「民泊」ニーズ〔2015年8月22日 J-CASTニュース〕

外国人観光客の急増に伴い、「民泊」の利用者が増えている

外国人観光客の急増に伴い、「民泊」の利用者が増えている

しかし「民泊」には法の壁が

旅館業法に抵触する恐れ…有償で宿泊先を提供する場合、自治体の許可が必要

住宅ジャーナリストの榊淳司氏は「有償で宿泊先を提供する場合、旅館業法に基づいて消防設備などを整備するなどして自治体の営業許可を取らなければならない。いまは当局が静観しているが、今後の展開次第では、サービスが大幅に規制される恐れもある」と指摘する。

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旅館業界は猛反発「重大な事故や事件を起こしてからでは遅い」

旅館業法を遵守してきた全国旅館ホテル生活衛生同業組合連合会(全旅連)は「私たちは人命の尊重、安心・安全を第一に考えてやっている」とし、営業許可を取らず、法的に防災・防犯に必要な設備を持っていない民泊業者を批判。重大な事故や事件を起こしてからでは遅いとしている。

500万円儲ける一般人も出た「自宅民宿」 旅館業界を激怒させる「Airbnb」とは〔2014年12月24日 ASCII〕

無許可営業で摘発された事例も 東京・足立区で130万円を売り上げ

簡易宿泊所を無許可で営業したとして昨年5月、警視庁保安課は旅館業法違反容疑で東京都足立区の英国籍の男性を逮捕。3階建ての自宅の1~2階を簡易宿泊所として9人分のベッドを設置。1泊2500~6千円で提供し、約130万円を売り上げていた。

簡易宿泊所を無許可経営、外国人観光客狙い 英国人を逮捕 警視庁

ヤフーは、長野での別荘仲介サービスが中止に追い込まれた

昨年5月、長野県内の別荘を旅行者向けに提供するヤフーの新規事業が中止に追い込まれた。空いている期間を旅行者に貸し出すことで有効利用し、観光客の増加も期待されたが、長野県から「旅館業法に抵触する」との指導があり、サービスは中止になった。

民泊ビジネス:「想定外の事態」に変革迫られる日本社会〔2015年8月30日 毎日新聞〕

《旅館業法》

お金を取って客を宿泊させる場合、都道府県知事から営業許可を取るよう定めている。フロントの設置や寝室の面積など必要な施設について一定の基準を満たさなければ許可は得られない。Airbnbなどのサービスを利用した場合、宿泊場所の提供者(ホスト)と旅行者の「仲介者」である同社ではなく、ホストが旅館業法に抵触する可能性が指摘されている。

訪日外国人急増 「民泊」、法の想定外〔2015年8月31日 毎日新聞〕

「民泊」めぐりトラブルも

賃貸マンションを“また貸し”…家主とトラブルに

一部賃貸マンションでは、借主本人は部屋に住まず、“また貸し民泊”という形で利益を得ているケースも。通常、家主の許可なくまた貸しで利益を得ることは禁じられているが、借主は「泊まっているのは友達だ」と主張、退去をめぐりトラブルになった。

外国人がマンションで宿泊トラブル〔2015年9月21日 フジテレビ〕

旅行者が大騒ぎ、マンション共用部を散らかすなどマナー違反多発

一部の分譲マンションでは、見ず知らずの他人が出入りすることを警戒する住人も多い。ゲストの旅行客が部屋で大声を出して騒いだり、共用部を使用して散らかしたまま去るといったマナー違反が多発している。

分譲マンションからAirbnbを排除できるか〔2015年8月26日 東洋経済ONLINE〕

犯罪の温床になる可能性…「何らかの法整備が必要」との指摘

前出の榊氏は「旅館業法では帳場の設置を義務づけている。誰がどこに泊まっているのかわからなければ、犯罪の温床にもなりかねない。万が一、事故が起きたら補償の問題が出てくる。今後、何らかの法整備が必要になる」と指摘する。

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増える「民泊」、国や自治体は…

実態を調査中…旅館業法「改正する可能性も」

厚労省は昨年7月、各都道府県に対し、旅館業法の順守を求める通知を出した。だが、省内では「民泊は旅館業法ができた当時(1948年施行)は想定していなかったサービス。法律そのものを改正する可能性もある」との声も。実態調査を進めており、来年度中にどう対応するかの結論を出す方針。

訪日外国人急増 「民泊」、法の想定外〔2015年8月31日 毎日新聞〕

地方振興の起爆剤として期待、規制緩和で民泊を許可

民泊は地方観光振興の起爆剤として期待され、今年6月に政府が閣議決定した規制改革実施計画では、イベント開催時に宿泊施設の不足が見込まれた場合、自治体の要請があれば旅館業法の許可を受けずに、一般家庭の自宅を有償宿泊施設として提供することが可能にした。

暮らしやまちづくりはどうなる? 規制緩和策の身近なポイント

東京五輪に向け…特区の大田区「民泊」認める条例制定へ

東京五輪開催で外国人観光客の増加が見込まれるなか、大田区は9月29日、民泊を一定の条件で認める条例を制定する方針を表明。国家戦略特区による規制緩和を利用し、安全性確保のため、施設への立ち入り権限などの規定を設けたうえで、マンションや住宅の空き部屋などを宿泊施設として活用する。

東京五輪で「民泊」容認へ ホテル不足解消狙う 東京・大田区

《国家戦略特区》

安倍政権が成長戦略に盛り込んだ制度で、地域限定の規制緩和で国内外から投資や人材を呼び込み、国際競争力が高い産業と経済拠点の育成を目指す。指定を受けたのは(1)大阪、京都、兵庫の3府県全域から成る「関西圏」(2)福岡市(3)新潟市(4)兵庫県養父市(5)東京都の一部と神奈川県全域、千葉県成田市から成る「東京圏」(6)沖縄県-の6つ。

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