夫が性欲の塊に見える 「産後クライシス」の原因と回避策

ドラマや芸能人の離婚などでたびたび話題となる「産後クライシス」。出産を機に一度冷めた愛情は戻りにくいともいわれる。原因と対処法をおさらいすることで離婚の危機を回避しよう。

《産後クライシス(産後危機)》
子供が生まれた後に夫婦の愛情が急速に冷え込む現象。出産によって妻が受ける心身のダメージや、夫の家事や育児への関わり方について、夫婦間で意識が大きくずれ、関係が悪化する。NHKが名付け、朝の情報番組「あさイチ」で2012年9月に特集をしたところ、約2700通のメールとファクスが届き、大きな反響を呼んだ。〔西日本新聞より

こんなことがあったら「産後クライシス」

「しゃべるのも苦痛」と夫の帰宅前に就寝

会社員の山崎由希さん(28)=仮名=は「出産前は2人で出かけたりすることがとても楽しかったのに、今は考えられない」と話し、2人目の子作りが難しい状況。夫の隆さん(31)と接触するのを避けるため、夜は隆さんの帰宅前に寝るようにしている。一方で隆さんも「もう俺のことは好きじゃないのかな」と悩む。

「夫と一緒にいるのもイヤ」「性欲の塊に見える」…産後豹変する妻たち

「求めてくる夫が性欲の塊のように思える」

会社員の岡本結子さん(28)=仮名=は「仕事から帰った後も育児や家事でへとへとなのに、求めてくる夫が性欲の塊のよう」と話す。互いの仕事の都合で妊娠中から別々に生活、結子さんが産前産後に5カ月間帰省していたこともあり、家族3人の生活が始まると「世話しなければいけない相手が1人増えた」と負担感を覚えた。

「夫と一緒にいるのもイヤ」「性欲の塊に見える」…産後豹変する妻たち

あなたは? ひとつでも該当すれば「産後クライシス」

  • 出産後、セックスレスだ
  • もっと夫に育児や家事を手伝ってほしいと思っている
  • 友人や知人の夫を見ると、自分の夫との違いを感じて焦る
  • 出産後も父親の自覚のない夫にイライラする
  • 出産前後で夫が浮気をした

夫婦問題研究家の岡野あつこ氏が、「産後クライシス」のセルフチェックリストを提案。ひとつでもあてはまるものがあれば、産後クライシスに陥っている可能性があるとする。

実録!「産後クライシス」で悩む妻たち〔2014年5月27日 All About〕

いま一度、「産後クライシス」とは

出産後に夫婦ともに互いへの愛情が急速に下がる現象のこと

「産後クライシス」とは、出産後に夫婦ともに互いへの愛情が急速に下がる実態のことを指す。特に妻から夫への愛情の低下が大きいことが特徴。

「産後クライシス(危機)」で夫婦に何がおこる?!〔2015年1月14日 ベネッセ教育総合研究所〕

子供が2歳になると夫は半数、妻は3人に2人が相手への愛情を感じなくなる(調査結果)

ベネッセ教育総合研究所が2006~09年、初めての子供が生まれる前(妊娠後期)から、2歳児になるまでの夫婦約300組の4年間の変化を追跡調査した。結果、妊娠中には男女とも同じ割合で「愛している」と感じていたのが、子供が2歳になると男性は半数、女性は3人に1人しか愛情を感じなくなることが判明。

「産後クライシス(危機)」で夫婦に何がおこる?!〔2015年1月14日 ベネッセ教育総合研究所〕

子供が0~2歳のうちに離婚する夫婦が多いという調査結果も

5年ごとに母子家庭の実態を調査する厚生労働省の「全国母子世帯等調査結果報告」(2011年)では、離婚時の末の子供の年齢は「0~2歳」が最も多く35・1%を占めている。その次が「3~5歳」の20・9%。子供が小さいときほど、離婚を選択する夫婦が多いことが分かり、出産との因果関係を指摘する意見もある。

「夫と一緒にいるのもイヤ」「性欲の塊に見える」…産後豹変する妻たち

しかも米国に比べて、日本女性の愛情の下がり方は著しい

発達心理学を専門とするたお茶の水女子大学の菅原ますみ教授は、出産後に夫婦間の愛情が下がる現象について、米国では男女同じように下がると話す。つまり、「女性の下がり方の著しさ」は日本独特の減少。菅原氏は「日本の男性の家事育児に費やす時間が世界的にみて最低の水準にあることが関係している」と指摘する。

"産後クライシス"ひょっとしてあなたも?!〔2012年9月12日 NHK情報サロン〕

一度愛情が冷めると、20年を超えても関係が戻らない夫婦も多い

菅原ますみ教授が257人の家族を23年にわたって追跡調査した結果、ひとたび出産後に愛情が冷めてしまうと、20年以上たってもその関係が戻らない夫婦がとても多いということがわかった。同氏は、子供が思春期の時期に、さらに下がる傾向があることも指摘している。

「産後クライシス」は、いつ終わるのか?〔2013年11月18日 東洋経済ONLINE〕

産後、妻からの愛情を感じられなくなったことに耐えきれず、夫が浮気したことなどで離婚に至るケースもある

産後、妻からの愛情を感じられなくなったことに耐えきれず、夫が浮気したことなどで離婚に至るケースもある

気になる「原因」は…

妻が、産後の夫の育児や家事の分担に強い不満を持つ

産後クライシスの主な原因について、2012年9月にその特集を組んだNHK「あさイチ」取材班は「出産した妻が、産後の夫の赤ちゃんへのかかわり方や家事の分担に、強い不満を持つことから起こる」とする。

日本人を襲う「産後クライシス」の衝撃〔2013年11月11日 東洋経済ONLINE〕

母乳の出をよくするホルモンの分泌中は女性の性欲がなくなる

女性の母乳の出をよくするホルモン、プロラクチンは排卵を抑制し、授乳を続けている間は次の子供ができない仕組み。分泌中は性欲がなくなるのが一般的。育児工学が専門の小谷博子・東京未来大准教授は「産後の女性が夫に嫌悪感を抱くのは、生物学的にみても当然のこと」と断言する。

「夫と一緒にいるのもイヤ」「性欲の塊に見える」…産後豹変する妻たち

女性は「母性のスイッチ」が入り、目の前の子供に集中する

小谷博子氏(前出)によると、女性は出産を経て母性のスイッチが入り、目の前の赤ちゃんに集中する。24時間ずっと緊張状態が続く生活に疲れ、夫にまで気を配れなくなるという。

「夫と一緒にいるのもイヤ」「性欲の塊に見える」…産後豹変する妻たち

出産後、妻の夫に対する評価軸が180度変わることに夫が気付かない

産後の女性は出産で体力が落ちている上に睡眠不足、さらに育児不安に苛まれ、体力的にも精神的にも辛い時期。NHK「あさイチ」取材班によると、女性は、「愛してくれているのなら辛さを察して助けてくれるだろう」と思い、男性が出産前と同様に仕事を優先すると、「助けてくれない」「愛してないのね」と感じるという。

"産後クライシス"ひょっとしてあなたも?!〔2012年9月12日 NHK情報サロン〕

妻がイラっとくる夫のNGワードとは

  • 「手伝おうか」
  • 「うんちしてるよー」「泣いてるよー」
  • 「俺も自分の時間が欲しいんだよ」
  • 「仕事だからしょうがないだろ」

"産後クライシス"ひょっとしてあなたも?!〔2012年9月12日 NHK情報サロン〕

育児中の妻は何を思う? ネット上の「声」

「生活180度変わるし、ホルモンバランスが崩れた精神状態たるや尋常じゃない」

「夫はようやくカーチャンの寝かしつけ疲労感を理解したらしい」

「赤子の世話で手一杯の時期に夫にやられたことって、ほんと一生忘れない」

産後の女性は出産で体力が落ちている上に睡眠不足、さらに育児不安に苛まれ、体力的にも精神的にも辛い時期

産後の女性は出産で体力が落ちている上に睡眠不足、さらに育児不安に苛まれ、体力的にも精神的にも辛い時期

夫に家事や育児への意識をもってもらうには

妻は自分が何をして欲しいかを言葉で伝える

夫が察してくれるのを待たずに自分の状態や、して欲しいことを具体的に伝えることが大事。産後、精神的に追い詰められている時、夫から「察してもらうじゃなくて、言葉にしてもらわないとわからない」と指摘され、夫と話し合うようになり関係が回復したという例があったという。

"産後クライシス"ひょっとしてあなたも?!〔2012年9月12日 NHK情報サロン〕

夫が家事・育児をしたらほめる

NHK「あさイチ」が行ったアンケートの結果、「産後クライシスが起きなかった」という妻たちの中には、姑に細かく指図されるのが嫌だった体験から夫をひたすらほめることで伸ばしているという女性もいた。

"産後クライシス"ひょっとしてあなたも?!〔2012年9月12日 NHK情報サロン〕

夫に一度家事育児を任せたら、細かい部分には口を出さない

昭和女子大現代ビジネス研究所の治部れんげ研究員は「男性の『手伝う』発言は、家計の多くを夫に任せ自分の収入は家計を『助ける』程度と考える女性の意識と表裏一体」と指摘。「妻も一度夫に家事育児を任せたら、細かい部分には口を出さないようにしては」と話す。

おれは「残念」な夫? 家事を「手伝う」、意識にずれ〔2015年3月24日 朝日新聞デジタル〕

⇒ネットではこんな“声”も

幸せそうな“ママ友”のSNS投稿で、自分の家庭は違うと悲観しない

産後クライシスを今後の夫婦生活の“チャンス”と捉える

夫がどうしても家事・育児に参加しないときは? 専門家に聞く

夫婦問題の悩みを解決するカウンセリング事業や、カウンセラーを育成する「岡野あつこのライフアップスクール」などを運営する、「カラットクラブ」代表取締役。NPO日本家族問題相談連盟理事長。1991年よりカウンセリング事業を開始、2万5000件以上のカウンセリング実績をもつ。

夫婦問題研究家・岡野あつこ氏

夫婦問題の悩みを解決するカウンセリング事業や、カウンセラーを育成する「岡野あつこのライフアップスクール」などを運営する、「カラットクラブ」代表取締役。NPO日本家族問題相談連盟理事長。1991年よりカウンセリング事業を開始、2万5000件以上のカウンセリング実績をもつ。

ちはる、元夫とのセックスレスが離婚原因 結婚&離婚解体

夫に「イクメン」を期待しすぎない

岡野あつこ氏は、「夫にイクメンを期待しすぎて、妻がストレスをため、夫婦関係がギクシャクしては元も子もない」と指摘。「イクメン」はブームといわれているほど多数派ではないことを認識し、「ひとりで育児をしているのは私だけ」などと考えないようにしないほうが良いとする。

向井理と国仲涼子が「産後クライシス」にならない方法

母親に「子育ての苦労話」を聞く

岡野氏は、「親の子育ての話を聞くことによって有難みを実感したり、『そんなに大変だった時代と比べれば、今の苦労なんてたいしたことないかも』と元気になったりして、産後クライシスを回避する手助けになる」ともアドバイスする。

向井理と国仲涼子が「産後クライシス」にならない方法

「男女は別の生き物」と心得る

「たとえ夫婦であっても、価値観が違うもの。さらに、男女は別の生き物なので理解しあえなくて仕方がないもの、と思っていたほうが夫婦間の危機は格段に減らせる」と岡野氏は話す。

向井理と国仲涼子が「産後クライシス」にならない方法

《イクメン》

育児に積極的な男性を指す言葉で、2010年の「新語・流行語大賞」でも入賞。厚生労働省は、男性が育児休暇を取得しやすい環境づくりを目指し同年6月に「イクメンプロジェクト」を立ち上げている。

育MEN~イクメンプロジェクト~〔厚生労働省〕

回避できず夫婦関係が泥沼化してしまったら

時間が解決、第三者の介入など…乗り越え方は夫婦それぞれ

夫婦関係が泥沼化したケースの中には、時間が解決したという幸運なケースもあれば、医師やカウンセラーなどの第三者が介入したケースもある。

「産後クライシス」は、いつ終わるのか?〔2013年11月18日 東洋経済ONLINE〕

カウセリングを受けるのもひとつの解決策

夫も構ってくれなくて、自分だけで悩みを抱えてしまい、夫婦間がうまくいかなくなってきた場合は、カウセリングを受けるのもひとつの解決策。「対面」「電話」「メール」「出張」「座談会」など形式もさまざま。

離婚原因にもなりうる…夫婦の危機“産後クライシス”を乗り切るには?〔2015年3月19日 Spotlight Media〕

夫の立場も「つらい」と理解することも大事

子育てに熱心な父親の中には「パタニティー・ブルー」(父親の産後うつ)になる人も

子育てに熱心な父親が憂鬱な気分になる「パタニティー・ブルー」(父親の産後うつ)もある。恵泉女学園大の大日向雅美教授は「ホルモン分泌との関係が深い母親の産後うつと違い、父親の場合は社会文化的現象。父親の子育てが普通になり、気軽に相談できる態勢が整えば負担は軽くなるのでは」と話す。

子育てパパの孤独…目立つ“パタニティー・ブルー”

子育て支援制度を使う父親への職場での嫌がらせも問題化

イクメンという言葉が広まっても男性の育休取得に対する社会の目はまだ冷たい。男性が子育て支援制度を使おうとすると嫌がらせをされる「パタニティー・ハラスメント」も問題になっている。

子育てパパの孤独…目立つ“パタニティー・ブルー”

「産後クライシスを家族だけの問題として捉えずに解決すべき」(高岡純子氏)

ベネッセ教育総合研究所の高岡純子氏は、「企業における家族への理解や継続的な支援が不可欠」とし、産後クライシスは「家族だけの問題として捉えず、子育て支援に携わるすべての人々とともに解決する必要がある」と指摘する。

「産後クライシス(危機)」で夫婦に何がおこる?!〔2015年1月14日 ベネッセ教育総合研究所〕

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