※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

「ずさん」なID配布、偽サイト…国勢調査ネット回答、大丈夫?

5年に一度、日本国内に住むすべての人を対象に職業や性別などを聞く国勢調査。そのインターネット回答が9月10日から始まった。本格的なネット調査は今回が初めてだが、利用案内の「無防備な配布方法」への批判や、偽サイトの出現など問題点も浮上。回答する側も自衛が必要だ。

《国勢調査》
日本に住んでいるすべての人及び世帯を対象とする国の最も重要な統計調査。国内の人口や世帯の実態を明らかにするため、5年ごとに行われている。今年からインターネットで回答できる「スマート国勢調査」を全国で開始。

国勢調査とは

今年で20回目…5年に一度、大正9年から続く国の調査

平成27年国勢調査は、大正9年に行われた我が国最初の国勢調査から数えて20回目。時代の変化を配慮し、統計法(総務省)には、5年ごとに実施することが規定されている。

平成27年国勢調査〔総務省統計局〕

統計を作成するための最も基本となるデータに

国勢調査から得られる様々な統計は、国や地方公共団体の政治・行政で広く利用され、民間企業や研究機関などでも経営や研究などの基礎データとして幅広い用途に利用されている。また、国勢調査の結果は、将来人口推計や国民経済計算(内閣府)など、他の統計を作成するための最も基本となるデータとして用いられる。

平成27年国勢調査〔総務省統計局〕

公正な行政を行うために正確な回答が必要…虚偽報告は罰則も

国勢調査において、国民から正確な回答が得られないと、統計が不正確なものに。 そのようなことになれば、国勢調査の結果を利用して立案・実施されている様々な政策や将来計画が誤った方向に向かったり、行政の公平性や効率性が失われたりするおそれがある。統計法では、報告を拒んだり虚偽の報告をしたりした場合の罰則も規定されている。

【Q&A】仕事が忙しい場合でも,国勢調査に答えなければならないのですか〔総務省統計局〕

今年の日程はコチラ

【方法1】インターネット回答
  ⇒9月10日~9月12日 「インターネット回答の利用案内」の配布
  ⇒9月10日~9月20日 インターネット回答
【方法2】調査票での回答
  ⇒9月26日~9月30日 調査票の配布
  ⇒10月1日~10月7日 調査票の提出

今年からネット回答を本格導入、IDとパスワード配布

約5200万世帯に青色の封筒を配布

記入漏れや一人暮らし世帯の回収率アップを図り、今回から初めてパソコンやスマートフォンを使ったネット回答を全国で導入。9月12日までに、全約5200万世帯にIDとパスワードを知らせる青色の封筒を配布。10日からネットでの回答受け付けを始めた。

国勢調査、封せず個人情報配布 IDなど盗み見の恐れ〔2015年9月15日 朝日新聞〕

封筒の配布は手渡しが原則…不在の場合に限って郵便受けへの配布も

総務省によると、封筒の配布は手渡しが原則。ただし、不在の場合に限って郵便受けへの配布を認めている。その際も封はしないが、必ず封筒を二つ折りにし、郵便受けからはみ出さないように指導しているという。

国勢調査、封せず個人情報配布 IDなど盗み見の恐れ〔2015年9月15日 朝日新聞〕

ところが…「無防備な配布方法」に憤りの声

誰でも抜き取れそうな形で…ツイッターに“証拠写真”

ツイッターなどネット上には、マンションの集合ポストに、誰でも抜き取れそうな形で多数の封筒が差し込まれている写真が複数投稿された。

国勢調査のパスワード入り用紙、無防備に郵便受けに? 総務省「調査員の指導、行き届かなかったかも」〔2015年9月14日 ITmedia〕

ポストからはみ出る封筒…「国がやっているとは信じられない」

配る調査員は全国で約70万人だが、指導が徹底されていなかった。大阪市内の男性会社員(26)は11日夜、マンションの世帯ポストからはみ出ていた青色の封筒を発見。「国がやっているとは信じられないくらい、ずさんな仕事ぶりだ」と憤った。

国勢調査、封せず個人情報配布 IDなど盗み見の恐れ〔2015年9月15日 朝日新聞〕

各地から苦情電話…担当者「調査員の指導が徹底できていなかった」

総務省には各地から苦情電話が相次いでおり、担当者は「調査員の指導が徹底できていなかった。ご心配をおかけして申し訳ない」と話す。

国勢調査、封せず個人情報配布 IDなど盗み見の恐れ〔2015年9月15日 朝日新聞〕

なぜ封されていなかった?…訪問配布が前提だったため

ネット上では投函された封筒に対して「なぜ封をしていない」という意見も寄せられた。担当者は「調査員が実際に説明する際に、封を空ける面倒をはぶくためだった」と訪問配布が前提の対応だったと説明している。

国勢調査、大量ポスティング 総務省「個人情報は漏れません」〔2015年9月14日 withnews〕

配布方法「見直していきたい」とも

担当者は「今回、本格的にネット調査を導入したのが初めてだった。調査自体は評価する意見も頂いているので、やり方については見直していきたい」と話し、配布方法の改善を今後検討するとのこと。

国勢調査、大量ポスティング 総務省「個人情報は漏れません」〔2015年9月14日 withnews〕

高市総務大臣「すべての自治体に注意喚起」

高市総務大臣はこれを受け、「一部の調査員が配布した書類が郵便ポストからはみ出しているという報道を拝見し、きのう、すべての自治体に対し注意喚起をした」と述べ、書類が郵便ポストからはみ出すなどして抜き取られることがないよう、すべての自治体に注意を呼びかけている。

総務相 国勢調査の書類配布で注意呼びかけ〔2015年9月15日 NHK〕

「怖いんだけど」

「紙が口空いたままポストに」

「宛名無し封なしのガバガバセキリュティ」

個人情報流出の懸念は?

第三者に渡っても個人情報などが漏れる心配はない

回答用のID・初期パスワードには個人情報は含まれておらず、第三者に渡っても、個人情報などが漏れる心配はないという。ネット回答する際は、IDと初期パスワードでログインし、世帯人数や氏名、住所、電話番号などを回答し、パスワードを再設定した上で内容を送信する―という流れになっている。

国勢調査のパスワード入り用紙、無防備に郵便受けに? 総務省「調査員の指導、行き届かなかったかも」〔2015年9月14日 ITmedia〕

回答内容が閲覧されたり、改ざんされることはない

パスワードが再設定されると初期パスワードではログインできなくなるため、回答済みの世帯の初期パスワードを持っていても、回答内容を閲覧したり、改ざんすることはできない仕組みになっている。

国勢調査のパスワード入り用紙、無防備に郵便受けに? 総務省「調査員の指導、行き届かなかったかも」〔2015年9月14日 ITmedia〕

ただし、初期パスワードを盗み取った第三者が、その世帯員になりすますリスクはある

回答前の世帯のIDと初期パスワードを盗み取った第三者が、その世帯員になりすまして情報を入力し、パスワードを再設定して情報を送信してしまう―というリスクはある。その場合、初期パスワードが使えなくなってしまい、本来の世帯員がログインできなくなってしまう。もしそういった事態が起きた場合は統計局に連絡すれば、調査して対応するという。

国勢調査のパスワード入り用紙、無防備に郵便受けに? 総務省「調査員の指導、行き届かなかったかも」〔2015年9月14日 ITmedia〕

一方で、回答用ページの「偽サイト」も出回った

偽物が登場…総務省は制作者に削除依頼

今回からオンラインでの回答が始まった国勢調査だが、偽物サイトも出回っていた。アドレスの一部を変えると偽サイトに飛ぶというもので、画像ファイルが貼られただけの簡単なものだが「調査を妨害するもの」として、総務省は削除要請を出す事態になった。

国勢調査、さっそく偽サイト 画像に「偽物だよ!」総務省が削除要請〔2015年9月14日 withnews〕

作成した男、詐欺への「注意喚起のため公開」したが「深く反省」

偽サイトは、都内でITコンサルティングなどを手がけるベンチャー企業代表の男性が、ITが苦手な友人にフィッシング詐欺への注意を喚起しようと考え作成・公開したもの。URLはTwitterなどで拡散され、アクセスした人から「良い啓発になる」「もうちょっとやり方があるのでは」などと賛否が巻き起こり、製作者は「大きな騒ぎとなってしまい、深く反省しております」とサイトを削除した。

国勢調査の“偽サイト”作った意図は? 総務省から削除依頼…「騒ぎになり深く反省」と制作者〔2015年9月15日 ITmedia〕

《フィッシング詐欺》

送信者を詐称した電子メールを送りつけたり、偽の電子メールから偽のホームページに接続させたりするなどの方法で、クレジットカード番号、アカウント情報(ユーザID、パスワードなど)といった重要な個人情報を盗み出す行為のこと。フィッシングはphishingという綴りで、魚釣り(fishing)と洗練(sophisticated)から作られた造語であると言われている。

フィッシング詐欺に注意〔総務省〕

ネットで回答…危機感抱くユーザーも

男性は取得したドメインの無償譲渡も…総務省は「不要」と回答

制作した男性は総務省の担当者に、偽サイト用に取得したドメインの無償譲渡も申し出たが、「不要」との回答だったという。同省の担当者によると、公式サイトと類似したドメインは100ほど取得しており、男性には、取得したドメインを悪用しないよう依頼したという。

国勢調査の“偽サイト”作った意図は? 総務省から削除依頼…「騒ぎになり深く反省」と制作者〔2015年9月15日 ITmedia〕

総務省「24時間体制でサーバ監視」…とはいえネット回答に危機感

総務省は、民間のフィッシングサイトの封鎖サービスを利用したり、24時間体制でサーバを監視し、外部からの攻撃に備えるといったことを行っているという。9月15日時点で、情報詐取などの被害は確認していないとしているが、偽サイトの一件を受けネットでは、ネット回答に関して危機感を抱くユーザーも。

国勢調査の“偽サイト”作った意図は? 総務省から削除依頼…「騒ぎになり深く反省」と制作者〔2015年9月15日 ITmedia〕

「同じドメインを悪意ある人が取得してたら…」

「危機感ないのかね?」

「実施する側もセキュリティをしっかり」

《回答する側も自衛が必要》

国勢調査のセキュリティは、総務省に万全な対策を求めていくことはもちろん、回答する側も、回答ページのURLを何度も確認して正式なサイトかチェックしたり、正規サイトのQRコードからアクセスするようにするなど、自衛する必要がありそうだ。

国勢調査の“偽サイト”作った意図は? 総務省から削除依頼…「騒ぎになり深く反省」と制作者〔2015年9月15日 ITmedia〕

ネット以外も…調査員装い「不審電話」相次ぐ

「預金は…」「保険は…」偽国勢調査員が電話で個人情報聞き出す

和歌山県は9月11日、国勢調査員を名乗って電話で個人情報を聞き出す事案があったと発表。同課によると、10日午後3時ごろ、県内の女性宅に「紀の川市役所税務課のイイダ」と名乗る男から電話があり、「預金残高は1千万円以上か、以下か」「保険に入っているか」などと質問。女性は質問に答えたが、その後不審に思って同市役所に連絡し発覚。

「預金は1千万円以上か」国政調査員かたり個人情報聞き出す〔2015年9月12日 産経ニュース〕

全国で75件、特殊詐欺などに悪用される恐れ

総務省によると4月以降、全国で少なくとも75件発生しており、同省は特殊詐欺などに悪用される恐れがあるとして注意を呼びかけている。

偽国勢調査にご注意! 全国で75件〔2015年9月9日 読売新聞〕

総務省が「かたり調査」に対して注意を喚起している

総務省統計局のホームページでは、「国勢調査では、金銭を要求することはありません」「国勢調査をよそおった不審な訪問者や、不審な電話・電子メールなどにご注意ください」などと、注意喚起している。

国勢調査をよそおった「かたり調査」にご注意ください!〔総務省統計局〕

《「かたり調査」とは》

国勢調査など、政府の統計調査を装い、世帯を訪問して記入した調査票をだまし取ったり、世帯の家族構成などを電話で聞き出す不正行為のこと。
国勢調査の調査員は、総務大臣によって任命された非常勤の国家公務員。調査員は、顔写真つきの「調査員証」や国勢調査の「腕章」を必ず身に着けている。 不審に思ったときは、「調査員証」に記載してある名前を基にお住まいの市町村に問い合わせすれば、市町村で身元の確認を行われる。

【Q&A】「かたり調査」とはどういうものですか〔総務省統計局〕

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