奈良のシカVS人間 「せんべい販売所襲わない」はデマだった

「奈良のシカは、鹿せんべい販売所を襲わない」という噂がネット上でもまことしやかに流れている。しかし、愛護会などによると「全くのデマ」とのこと。シカとせんべい販売所の間では、日々“目に見えない戦い”が繰り広げられているという。

《奈良のシカ》
奈良公園(奈良市)に生息するシカ(ニホンジカ)は国の天然記念物に指定されている野生動物。所有者はいないが、個人が捕まえたり、傷つけたりすることは違法行為となっている。生息数は平成26年7月時点で1362頭に上る。

「奈良のシカは、せんべい販売所襲わない」との噂…

「絶対にせんべい屋には行かないんだよね」タモリさんも言ってた

「販売所は全く襲撃しない奈良の鹿の習性はナゾすぎる」

「鹿と鹿せんべい販売所との癒着を感じる」

噂はデマだった、販売所を襲うシカたち

観光客の少ない平日、売り物の鹿せんべいに手を出す

鹿せんべいを販売して10年という女性によると、観光客の多い休日は、シカは販売所に並べられている鹿せんべいに手を出さない。ところが、観光客が少ない平日、鹿せんべいがもらえずに空腹になると、売り物を狙い出すという。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

「シカに背を向けた一瞬に盗られる」と販売所関係者

販売員が所属する奈良公園行商組合の井中重信組合長は、「シカのふんをほうきで掃こうとして背を向けた一瞬に盗られた、という話をよく聞く。人の目が離れる瞬間を狙っているのではないか」と話す。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

経験の浅い販売員が狙われる

経験の浅い販売員が狙われることが多く、慣れないうちは「シカが怖い」と話す人もいるという。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

販売所へ群がるシカ。売り物のせんべいを狙うことも珍しくないという=奈良市

販売所へ群がるシカ。売り物のせんべいを狙うことも珍しくないという=奈良市

シカと販売員の“見えない戦い”

手を鳴らしたり、言い聞かせたり!?…シカを教育

ある女性販売員は「ちゃんとシカを“教育”して、油断しなければ狙われることはない」と話す。シカの前でパンパンと手を鳴らしたり、「口で言って聞かせる」ことで、販売所を狙ってはいけないとシカに覚えさせることができるのだという。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

割れた鹿せんべいをあげたり…うまくシカをコントロール

観光客が少ないときには、売り物にならない割れた鹿せんべいをやる販売員もいるという。さまざまな工夫を凝らして、うまくシカをコントロールしている。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

シカは本気じゃない?「何十枚食べようが、おやつみたいなもの」

愛護会の吉岡豊獣医師によると、シカ1頭が1日に食べる草は約5キロ。鹿せんべいの1枚の重さは約3~4グラムしかない。「何十枚食べようが、シカにとってはおやつみたいなもの」という。シカにとって鹿せんべいは、生きるための糧とは少し違うのかもしれない。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

鹿せんべいは、奈良のシカを支えている

シカが激減した過去も…鹿せんべいは貴重な収入源

奈良のシカは明治初め、鹿苑で飼育していたが野犬侵入や病気、餌不足などで38頭に激減。第2次大戦末期にも食糧難などから密猟が相次ぎ再び激減した。住民によるシカの保護は、「奈良の鹿愛護会」の前身「春日神鹿保護会」を設立された1891年から始まり、鹿せんべいは愛護会の貴重な収入源となっている。

鹿せんべいは貴重な財源 奈良とシカの物語〔日本経済新聞〕

売り上げは年間3千万円、シカの保護などに充てられている

鹿せんべいは、愛護会が販売する証紙で束ねて売られている。この証紙の売り上げは年間約3千万円にも上り、けがをしたシカの保護や、出産の補助などの費用に充てられている。

「奈良のシカはせんべい販売所襲わない」はデマ…日々“目に見えない戦い”

鹿せんべい(Thinkstockより)

鹿せんべい(Thinkstockより)

奈良のシカが抱える問題

生息数は微減、交通事故死は85頭「なお多い」

「奈良の鹿愛護会」は昨年7月、生息するシカの数が前年より31頭少ない1362頭だったと発表。死因で最も多いのは病気で153頭。交通事故死は85頭にのぼり、愛護会は「交通事故による死亡頭数は減ったが、件数そのものはなお多い」とした。

奈良公園のシカ、昨年より微減 交通事故死なお85頭〔産経ニュース〕

ポイ捨てゴミ誤飲、人間の食べ物を与えられて死ぬシカも

「奈良の鹿愛護会」によると、シカはビニール袋などのゴミをエサと勘違いして誤飲する事があるという。また、「鹿せんべい以外の人の食べ物を与えられて死ぬシカもいるので、保護のためにも協力をお願いしたい」と呼びかけている。

「奈良のシカ」が抱える問題〔奈良の鹿愛護会〕

シカにいたずら…首にネックウオーマー巻かれる

冬には、シカの首にネックウオーマーなどが巻かれる被害も。保護団体は「ネックウオーマーなどが木の枝に引っ掛かり、シカの首が絞まる危険性がある」と、シカへの安易な接触をやめるよう訴えている。また、角にカバンを引っかけたり、口に輪ゴムをはめたりするいたずらもあるという。

シカにいたずらやめて ネックウオーマーやネックレス巻かれる“被害”

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