※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

そこでキレるか? “暴走老人”が後を絶たない理由

東海道新幹線放火事件の容疑者の男はひとり暮らしの71歳だった。ストレスや不満を最終的に犯罪行為などで解消する“暴走老人”は後を絶たない。最近注目された事件とその背景から見えてくるものは…。

《「暴走老人」》
2007年に芥川賞作家の藤原智美さんが発表した『暴走老人!』(文藝春秋)で話題となった言葉。同書は、ささいなことで突然怒りを炸裂させる老人の実態と彼らを生み出している社会背景について考察。「家族の姿や親しい者への存在が感じられない」点が“暴走老人”の共通点という。

“暴走老人”最近の事例とその言い分

71歳の男、電車内で隣席の乗客に包丁を突きつける

JR京浜東北線の電車内で、71歳の男が隣に座っていた会社役員のタブレット端末をめぐってトラブルになり、持っていた袋から取り出した包丁を突きつけた。男は銃刀法違反で逮捕され、「脅かそうと思って包丁を出した」と供述(2015年6月)

タブレット端末めぐりトラブルに 京浜東北線の刃物男 非番の警官が取り押さえる

74歳の女、近隣女性に怒鳴り散らすなどの嫌がらせを繰り返す

大阪府羽曳野市の74歳の無職女が府迷惑防止条例違反などの容疑で逮捕、起訴された。近所の30代の女性宅前で「この女はヒステリーで怖い。近づかない方がいい」と叫んだり、女性の外出につきまとったりしたとされる(2015年6月)

近隣女性に怒鳴り散らし嫌がらせ、74歳女を起訴 迷惑防止条例違反罪

65歳の男、近隣住民の車90台のタイヤをパンクさせる

大阪府高石市で2015年4月から6月にかけ、車のタイヤがパンクさせられる事例が続発し、府警は近所の65歳の男を器物損壊容疑で逮捕。男は1人暮らしで「親族から陰口を言われたり、年金が少なくなったりしたことでイライラしていた。鬱憤を晴らすためだった」などと供述

「鬱憤晴らしだった」タイヤパンク男を逮捕 周辺の90台連続被害に関与か 大阪

67歳の男、上の階の住人の玄関ドアに水鉄砲で自分の尿をかける

神戸市須磨区のマンションで2015年3月~6月、8回にわたり、上の階に住む無職男性(55)方の玄関ドアに、水鉄砲で自分の尿をかけた67歳の無職の男が建造物損壊容疑で逮捕された。男は1人暮らしで、「生活音がうるさかった」などと供述。

近隣トラブル? 水鉄砲で自分の尿を玄関ドアに発射 容疑で67歳の無職男を逮捕

60代の男、列車内で喫煙。車掌と口論になり、備え付けのテーブルを破壊

北海道のJR根室線池田-豊頃間を走行していた札幌発釧路行き特急スーパーおおぞら5号の車内で2015年1月、60代の男が喫煙。喫煙を注意した車掌と口論になった際、備え付けのテーブルを壊したため、警察は器物損壊の疑いで男を逮捕。車内は全面禁煙だった。現場検証のため、列車は浦幌駅に93分間停車した。

乗客「喫煙」で特急93分間停車 注意の車掌と「口論」テーブル壊す

専門家に聞く“暴走老人”が生まれるワケ

独居高齢者増え「不満を抱えると、はけ口を見つけられない」

東京工業大の影山任佐名誉教授(臨床犯罪学)は、少子高齢化や核家族化を背景に、地域や親族から孤立する独居の高齢者が増えていると指摘した上で「(高齢者が)何らかの理由で不満を抱えてしまうと、はけ口を見つけられないまま、最終的に犯罪行為で解消してしまう」という。

【衝撃事件の核心】連続90件「パンク犯」 捕らえた男は隣人の衝撃

若者とのコミュニケーションギャップに「ストレス」

甲南大学准教授(社会学)の阿部真大氏は「戦後の厳しい時代をくぐりぬけてきた世代と、今の若い人とは価値観が違って当然。シニアが若い人とコミュニケーションをとると、そのギャップにストレスを感じる。それが被害者意識を増大させ、品格を欠いた発言をしてしまう」と分析する。

「元気な子産めないわよ」と妊婦を立たせ優先席坐った高齢者〔2014年12月5日 ポストセブン〕

ひとり暮らしの高齢者世帯、10年で1.5倍に

2014年は595万9千人(世帯)。75歳以上は20.3%が独居世帯

厚生労働省の「平成26年国民生活基礎調査」によると、ひとり暮らしをしている高齢者は595万9千人(世帯)と、10年前(373万人)の1・5倍に増加。65歳以上の38%が夫婦のみの世帯、17・4%がひとり暮らしの独居世帯となっており、75歳以上で見ると、独居世帯の割合は20・3%にまで増加する。

高齢者世帯数、子育て世帯を初めて上回る 「生活苦しい」世帯も6割超

高齢者を“暴走”させないためには

「行政や地域が『生活支援』を名目に高齢者にかかわりを持つことが重要」

東京工業大の影山名誉教授(臨床犯罪学)は「健康面や経済的な問題など、独居高齢者は何らかの課題を抱えている。行政や地域が、『生活支援』を名目に高齢者にかかわりを持つことが重要で、その過程で高齢者をコミュニティーに参加させ、社会との接点を見いだしていくことが結果的に犯罪防止にもつながる」と話す。

【衝撃事件の核心】連続90件「パンク犯」 捕らえた男は隣人の衝撃

「犯罪白書」は、窃盗事犯者について「特性等を踏まえた処遇が大切」とする

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