17日の記者会見であいさつするトヨタ自動車のジュリー・ハンプ常務役員=愛知県豊田市

モルヒネより強い?トヨタ女性役員逮捕で注目のオキシコドンとは

トヨタの女性役員による密輸事件で一気に注目を集めた医療用麻薬「オキシコドン」。米国ではより一般的に処方される鎮痛剤で著名人の服用例も指摘されるが、その効力はモルヒネより強いとされ、乱用増加も問題視されている。

《医療用麻薬》
不正麻薬・覚せい剤と異なり、有効性・安全性が確認され、国が承認した薬剤。がんなどの痛みを緩和・取り除くために処方される。麻薬中毒のイメージから敬遠する人もいるが、医療用の麻薬は、痛みがある状態で使用すると中毒にならないことがわかっている。(緩和ケア.netより)

トヨタの女性常務役員、麻薬取締法違反容疑で逮捕(6月18日)

EMSを使いオキシコドンを含む錠剤57錠を密輸した疑い

トヨタ自動車の常務役員で、米国籍のジュリー・ハンプ容疑者(55)は6月11日、国際スピード郵便(EMS)を使い、オキシコドンを含んだ錠剤57錠を米国内の空港から成田空港へ密輸したとされる。EMSは、容疑者が滞在している都内のホテルに送られていた。

トヨタ初の米女性役員を麻薬密輸容疑で逮捕 「麻薬輸入と思ってない」と否認

錠剤が入った小包を「ネックレス」として輸入。錠剤は3カ所に隠されていた

錠剤が入っていた小包は「ネックレス」の品目で輸入されていた。小包の中には縦7センチ、横10センチ、高さ3センチ程度の紙製とみられる小箱が入っていた。小箱の中には玩具とみられるネックレスやペンダントが入っており、錠剤は箱の底や一緒に入っていた紙袋、ペンダントケースの底の3カ所に隠されていた。

トヨタ女性役員逮捕 隠蔽工作か 小包「ネックレス」として輸入 錠剤を3カ所に

「麻薬を輸入したとは思っていません」と容疑を否認(6月19日現在)

警視庁によると、容疑者は逮捕当時「麻薬を輸入したとは思っていません」と話し、現在は「弁護士が来たら詳細を話す」としている。

トヨタ女性役員逮捕 隠蔽工作か 小包「ネックレス」として輸入 錠剤を3カ所に

密輸入したとされる「オキシコドン(オキシコンチン)」とは

がんなどの強い痛みを緩和する目的で使われる医療用麻薬。処方箋があれば入手可能

通常の鎮痛剤が効きにくいがんなどの強い痛みを緩和する目的で使われる医療用麻薬。商品名は、オキシコンチン、オキノーム、オキファスト。「オキシコンチン」は錠剤で、体内で徐々に溶け出すことで効果が持続する。「オキノーム」は散剤で、錠剤よりも即効性があり、急激な痛みを緩和するために処方される。「オキファスト」は注射剤。

オキシコンチン、オキノーム、オキファスト(オキシコドン)の作用機序:オピオイド系鎮痛薬〔薬の情報〕

アヘンから抽出される化学物質が原料。摂取すると感覚がまひし、眠気を誘う

厚生労働省監視指導・麻薬対策課などによると、オキシコドンは、アヘンから抽出される化学物質が原料。摂取すると感覚がまひし、眠気を誘う作用などがある。

トヨタ女性役員逮捕 乱用すると依存の恐れ がんの痛み緩和に使用

鎮痛剤としての効力は同量のモルヒネよりも強く、効果は1.8倍といわれる

医療用麻薬としては、モルヒネが有名であり、がんの痛みに対してモルヒネ製剤は多く使用される。しかし、オキシコドンの効力は同量のモルヒネより強く、その1.8倍といわれる。

オキシコンチン、オキノーム、オキファスト(オキシコドン)の作用機序:オピオイド系鎮痛薬〔薬の情報〕

乱用すると依存症となる恐れがある

健康な人がオキシコドンを使用した場合、中毒などの問題が起こることがある。ただし、激しい痛みのある人の場合、医療用麻薬を使用しても依存などはほとんど問題にならないことがわかっている。オキシコドンは投与量を増やすと、それに伴って鎮痛効果が強くなる。

オキシコンチン、オキノーム、オキファスト(オキシコドン)の作用機序:オピオイド系鎮痛薬〔薬の情報〕

日本をはじめ多くの国では規制対象にある

厚労省監視指導・麻薬対策課によると、オキシコドンは「細かい制度は国によって違うものの、多くの国で規制されている」という。日本国内では、麻薬として医療機関などで厳重に管理され、医師の処方なしに入手することは難しい。

トヨタ女性役員逮捕 砕いて吸うとヘロインと似た感覚に…米国でオキシコドン乱用者が増加

治療のためなら、個人が海外から輸入することも可能。しかし、厚労相への申請などが必要

治療のためであれば、個人が自身の荷物として海外から輸入することは可能だが、その場合も事前に医師の診断書を添えて厚労相に申請し、許可を得なければならない。厚労省監視指導・麻薬対策課によると、オキシコドンを輸入した麻薬取締法違反事件は珍しいという。

トヨタ女性役員逮捕 砕いて吸うとヘロインと似た感覚に…米国でオキシコドン乱用者が増加

米国では、歯科治療後の鎮痛用など、一般的な痛み止めとして、処方される機会が多い

米国でも医師の処方が必要となるが、処方される機会は多く、米国在住の大西睦子医師によると、歯科治療後の痛み止めや高齢者の慢性疼痛(とうつう)の治療などに広く使われているという。

トヨタ女性役員逮捕 砕いて吸うとヘロインと似た感覚に…米国でオキシコドン乱用者が増加

※イメージです。オキシコンチンの写真ではありません

※イメージです。オキシコンチンの写真ではありません

トヨタ女性役員逮捕 隠蔽工作か 小包「ネックレス」として輸入 錠剤を3カ所に

一般的ゆえ、米では処方薬物の乱用者が増加

オキシコドンは砕いて吸うとヘロインと似た感覚が得られるとして、乱用者が拡大

米国在住の大西睦子医師によると、オキシコドンは、砕いて吸うとヘロインと似た感覚が得られるとして、米国内での乱用者が拡大。「街中で違法に売られている」(大西氏)という。

トヨタ女性役員逮捕 砕いて吸うとヘロインと似た感覚に…米国でオキシコドン乱用者が増加

2009年に死去したM・ジャクソンもオキシコドンとデメロールを併せて、毎日服用していた

2009年6月に死去した、マイケル・ジャクソン氏も、「オキシコンチン(オキシコドンの商品名)」と「デメロール(麻薬性鎮痛剤メペリジンの商品名)」を毎日服用していたという。ジャクソン氏は、デメロールを注射されてから1時間後に死亡した。

M・ジャクソン急死:米国人に広まる「処方薬中毒」とは〔WIRED〕

エアロスミスのボーカル、S・タイラーは、手術後に処方された睡眠薬と鎮痛薬への依存の過去を告白

ロックバンド「エアロスミス」のボーカル、スティーヴン・タイラーは2008年、インタビューで、睡眠薬中毒の治療のために自分の意志で更生施設に入院したことを明らかにした。足の手術のあとに鎮痛剤と睡眠薬を処方され、その中毒になったという。「中毒になっていた。そんな自分が好きになれなかった」と説明している。

M・ジャクソン急死:米国人に広まる「処方薬中毒」とは〔WIRED〕

米の研究機関「12歳以上の米国人1600万人が過去1年間に、鎮痛剤を医療目的以外で1回以上使用」

米国立薬物乱用研究所は、12歳以上の米国人1600万人が過去1年間に、オキシコドンなどの痛み止めを医療目的以外で1回以上使用していると警鐘を鳴らしている。

トヨタ女性役員逮捕 砕いて吸うとヘロインと似た感覚に…米国でオキシコドン乱用者が増加

医療従事者という立場を利用しオキシコドンなどを入手、依存に苦しむ看護師を描いた全米人気ドラマも

米では、全米人気チャンネルで2009年6月から放送を開始し、絶賛を浴びているブラックコメディ・ドラマ「ナース・ジャッキー」がある。ヒロインは、薬物依存に苦しむ看護師のジャッキー。仕事と家庭生活の両方で多忙な毎日を送るジャッキーはストレス解消のため、医療従事者という立場を利用してオキシコドンなどの薬を入手。それがバレて離婚を言い渡されるなどの悪循環を描いている。

【WOWOW】全米で大絶賛 「ナース・ジャッキー6」〔産経ニュース〕

《処方薬依存症》

睡眠薬のほか、モルヒネやアヘンのような働きをする鎮痛剤など、処方薬の乱用がやめられなくなる薬物依存症。

米ロックバンド「エアロ・スミス」のボーカル、スティーブン・タイラー=2014年11月

米ロックバンド「エアロ・スミス」のボーカル、スティーブン・タイラー=2014年11月

日本では睡眠薬や抗うつ薬による「処方薬依存」が問題化

富山県では処方薬の過剰摂取者が、薬を盗もうと病院に侵入する事件が発生

富山県高岡市では睡眠薬の過剰摂取者が、薬を盗もうと病院に侵入する事件も発生。元看護助手の女性(60)が、通院していた医院に薬を盗む目的で侵入したなどとして、建造物侵入や窃盗の罪に問われ、2013年、懲役1年10月、執行猶予3年の判決が言い渡された。

処方薬で依存症 治療や減薬 指針なく患者増〔中日新聞〕(2013年11月5日)

仕事のストレスによる不眠から睡眠薬の処方を受け始め…処方量では足りなくなり、病院をはしごして受診も

判決や夫の話によると、元看護助手は、十数年前から仕事や生活のストレスで不眠症になり、内科医院で睡眠薬の処方を受け始めたが、服用を続けるうちに効き目が薄れた。処方量では足りず、数カ所の医院をはしごして受診し、薬を入手していた。

処方薬で依存症 治療や減薬 指針なく患者増〔中日新聞〕(2013年11月5日)

処方薬依存の患者の85%が精神科で乱用薬を入手している現状が

国立精神・神経医療研究センターや東京大学などの研究者が2014年に行った「全国の精神科医療施設における薬物関連精神疾患の実態調査」の最新報告書では、過去1年以内に主に処方薬を乱用した患者の85%が、精神科医療機関で乱用目的の薬を入手したことも分かった。

乱用処方薬トップ5発表 佐藤記者の「新・精神医療ルネサンス」〔ヨミドクター〕

《処方される睡眠薬の依存性》

睡眠薬や抗不安薬による依存症では、使い続けると薬への耐性ができて効きにくくなり、量を増やすうちに依存する例が多い。日本国内で主流の睡眠薬はベンゾジアゼピン系。飲みすぎると死に至ることもあった旧来の薬よりも安全だが、依存症の恐れはある。最近は依存性の低い新薬も出てきたが、数は少ない。

処方薬で依存症 治療や減薬 指針なく患者増〔中日新聞〕(2013年11月5日)

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