店で提供=安全か?鶏生肉で多発…カンピロバクター食中毒に注意

※画像と本文は関係ありません(Thinkstockより)

GW中のイベント「肉フェス」で鶏肉のすしを食べた男女が、難病の発症原因になることもあるカンピロバクター食中毒を発症した。この騒動が改めて浮き彫りにしたのは、飲食店が提供する鶏生肉を食べることのリスクといえる。

《「肉フェス」でカンピロバクター食中毒》
4~5月に開かれたイベント「肉フェスお台場2016春」で提供された「ハーブチキンささみ寿司」を食べた8~41歳の男女49人が、下痢や嘔吐などの食中毒を発症。患者からカンピロバクターを検出しており、加熱が十分でなかった可能性がある。〔産経新聞

「カンピロバクター」とその食中毒の症状

市販鶏肉の6~8割から検出、食中毒の中で最多の発生件数

カンピロバクター食中毒の中でも多いのが、鶏肉が原因となっているケース。市販の鶏肉の6~8割から菌が検出されたとの調査結果も。厚生労働省によると、2014年に発生した原因物質が判明している食中毒のうち、カンピロバクターは最も件数が多く全体の3割。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

鶏や牛、豚など家畜の腸管内に生息している細菌

カンピロバクターは、ニワトリやウシ、ブタ等の家畜・家きん類の腸管内に生息する細菌。また、犬や猫などのペットもカンピロバクターを保菌していることがあり、ペットに触れた手で手洗いを十分にせず調理することなどにより感染する可能性も。

カンピロバクターによる食中毒にご注意ください〔食品安全委員会(内閣府)〕

鶏の場合、内臓を抜くときに身肉が汚染

鶏の場合は、丸鶏から内臓を抜くとき、内臓を傷つけたりすると身肉(みしし)が腸管内に常在するカンピロバクター菌に汚染されてしまう。

「肉フェス」食中毒騒動でわかった「鶏生食」の恐ろしさ――ギラン・バレー症候群との関係も〔2016年5月11日 HARBOR BUSINESS online〕

カンピロバクター菌の電子顕微鏡写真。細長いらせん状のらせん菌(食品安全委員会事務局 資料)

カンピロバクター菌の電子顕微鏡写真。細長いらせん状のらせん菌(食品安全委員会事務局 資料)

2~7日後に発症。症状は下痢、発熱、嘔吐

カンピロバクターによる食中毒は、原因となる食品を食べてから2~7日(平均3~4日)たってから発症するのが特徴だ。主な症状は腹痛や下痢、発熱、嘔吐など。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

難病「ギラン・バレー症候群」を発症することも

腸管出血性大腸菌のように重篤化で死亡することはほとんどないが、症状が治まってから1~2週間後に、ギラン・バレー症候群を発症することがある。日本では、ギラン・バレー症候群患者の約3割がカンピロバクター感染が原因とみられている。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

《ギラン・バレー症候群》

主に筋肉を動かす運動神経が障害され、手や脚に力が入らなくなる難病。約7割は回復するが、中には後遺症で歩行に介助が必要となる人もいる。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

主な感染経路とは

加熱が不十分な食肉や汚染された飲料水で感染

生だったり、加熱が不十分な食肉(特に鶏肉)やレバー(鶏、豚)などの臓器を食べること、カンピロバクターに汚染された飲料水等を飲むことにより人に感染する。カンピロバクターは、冷蔵または冷凍温度下でも長期間生存し続けるが、65度以上で数分間加熱することで死滅する。

カンピロバクターによる食中毒にご注意ください〔食品安全委員会(内閣府)〕

汚染された肉を扱った調理器具

菌に汚染された鶏肉を食べることのほかに、例えば、汚染された鶏肉を扱ったまな板や包丁に付いた菌が生で食べる野菜などに付着する「交差汚染」もある。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

飲食店やBBQが発生原因に

鶏のささ身を湯引きした料理での発症事例も

東京都台東区の飲食店で2015年4月下旬、コース料理を食べた約50人のうち23人がカンピロバクターによる食中毒を発症。鶏のささ身を湯引きしてポン酢であえた料理が原因とみられる。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

9秒間の湯通しでは菌が生き残っていたという実験結果も

東京都健康安全研究センターが鶏のささ身を使い、9秒間湯通ししたところ、外側の色は白く変化したが内部は生肉の色のまま。菌も生存していた。軽く湯を通す程度の加熱では食中毒になる恐れがある。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

9秒間湯通しした鶏ささ身。内部の菌は生存していた(東京都健康安全研究センター提供)

9秒間湯通しした鶏ささ身。内部の菌は生存していた(東京都健康安全研究センター提供)

焼き鳥やBBQでの生焼けの鶏肉にも注意

屋外でバーベキューを楽しむ機会などが増える夏にかけても、カンピロバクターによる食中毒が増加する。焼き鳥やバーベキューなど加熱して食べる料理でも生焼けのことがある。食べる前に肉の内部の色を見て、火がきちんと通っているかを確認しよう。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

20分加熱した骨付きの冷凍鶏もも肉。外側はこげているが中心部は生の状態(東京都健康安全研究センター提供)

20分加熱した骨付きの冷凍鶏もも肉。外側はこげているが中心部は生の状態(東京都健康安全研究センター提供)

飲食店で提供される鶏生肉は安全か?

「湯引きしているから大丈夫」 認識の甘い飲食店

鶏のささ身を湯引きしてポン酢であえた料理が原因でカンピロバクター食中毒が起きた東京都台東区の飲食店は「刺し身と違い、湯引きしているから大丈夫だと思っていた」と話しているという。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

「新鮮だから大丈夫」は危険…鮮度は無関係

「新鮮だから大丈夫」と鶏肉を生で提供する飲食店もあるが、カンピロバクターに汚染されている場合は、鮮度に関係なく食中毒となる可能性が高い。また、菌量が少なくても発症することがあるため注意が必要。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも

台東保健所生活衛生課「『飲食店で提供されるものは安全』と思っている消費者は多い」

台東保健所生活衛生課は「『飲食店で提供されるものは安全』と思っている消費者は多い。鶏肉は中までしっかり火を通したものを提供してほしい」と飲食店に呼びかけている。

鶏肉で多発する「カンピロバクター」食中毒 難病の原因にも 

識者「生で食べると危ないことを教える人がいなくなった」

食の安全・安心財団理事長の唐木英明氏は、「食をめぐる状況が変化し、生で食べると危ないことを教える人がいなくなった。その結果、豚の肉やレバーを生で提供する店が増えてきた」と指摘している。

「豚肉の生食禁止」の是非 法律で禁止する必要はあるのか 

飼育・解体方法により菌が検出されない鶏肉もあるが数が少ない

兵庫県・丹波の「高坂鶏」など、処理後1カ月熟成させても食中毒菌が検出されない鶏肉もある。完全無菌状態で、鶏を腸が破れないように丈夫に飼育する環境を整え、汚染を防ぐような解体方法で処理するという。しかし、こうした鶏はごくわずか。

「肉フェス」食中毒騒動でわかった「鶏生食」の恐ろしさ――ギラン・バレー症候群との関係も〔2016年5月11日 HARBOR BUSINESS online〕

家庭での調理、予防法は

  • (1)肉は十分に加熱(65度以上で1分以上、目安は中まで肉の色が変わる程度)
  • (2)肉と他の食品と調理器具などを分ける
  • (3)生の肉に触った後は十分手を洗う

カンピロバクターによる食中毒にご注意ください〔食品安全委員会(内閣府)〕

注目まとめ

    アクセスランキング

    もっと見る

    ピックアップ

      どう思う?

      「どう思う?」一覧

      注目のテーマ