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だまされ、自ら命を絶つ…オレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇

昨年、全国で約559億4千万円の被害があった特殊詐欺。ニュースで報じられるのは被害金額の大きさがほとんどだが、その陰で、被害者が自殺するという悲劇が起きている。

《特殊詐欺》
警察庁は親族などを装う「オレオレ詐欺」、サイト利用料名目などで現金を要求する「架空請求詐欺」、融資名目の「融資保証金詐欺」、医療費控除が受けられるなどと詐取する「還付金詐欺」の4類型を「振り込め詐欺」と定義。社債や未公開株取引を装う「金融商品等取引」「ギャンブル必勝法情報提供」「異性との交際あっせん」「その他」を加えた計8類型を総称したものが「特殊詐欺」とされる。

増える特殊詐欺被害

今年は過去最悪ペースで増えている

特殊詐欺被害は今年1~2月で約73億4200万円。過去最悪だった昨年を上回るペースで増えている。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

オレオレ詐欺被害、90%以上が高齢者

警察庁によると、昨年の特殊詐欺被害の78・8%(1万540件)が65歳以上の高齢者。このうち、オレオレ詐欺で被害を受けた高齢者は全体の実に92・1%を占めていた。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

詐欺被害の陰で…被害者が自殺するという悲劇

住職でNPO法人「自殺防止ネットワーク風」理事長の篠原鋭一さんは、平成7年から自殺に関する電話相談を受け付けているが、近年はオレオレ詐欺にまつわるものが急激に増えているという。

オレオレ詐欺にまつわる自殺相談急増

住職でNPO法人「自殺防止ネットワーク風」理事長の篠原鋭一さんは、平成7年から自殺に関する電話相談を受け付けているが、近年はオレオレ詐欺にまつわるものが急激に増えているという。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

身内から激しく非難された末に自殺…

オレオレ詐欺の被害者が自殺する大きな理由は、金銭的な問題ではなく、親族に詰問されたことがきっかけだという。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

【相談ケース(1)】「夫の後を追います」と繰り返す女性

近畿地方の30代女性は「夫をかたるオレオレ詐欺で250万円をだまし取られた」という。現金を工面してくれた両親は女性をなじり、なりすまされた夫は鬱病を発症し自殺。女性は自責の念にさいなまれ、「夫の後を追います」と繰り返した。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

【相談ケース(2)】「おばあちゃんを責めてしまった」と涙

北陸地方の30代男性は、祖母がオレオレ詐欺にだまされて150万円をだまし取られ、自殺したという。男性や家族は祖母を責め、やがて祖母は命を絶った。「おばあちゃんは犯罪者じゃないのに」電話の声はいつしか、泣き声に変わっていた。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

【相談ケース(3)】「だました人間より俺の方が悪いのか」

70代の父親がオレオレ詐欺に引っかかり自殺したという関東地方の男性は、父親が生前、「だました人間より俺の方が悪いのか」と言っていたという。500万円をだまし取られ、身内から激しく非難された末に自殺していた。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

篠原鋭一さんが自殺者の遺族から聞き取ったメモには、家族を責めたことを悔やむ言葉が並ぶ

篠原鋭一さんが自殺者の遺族から聞き取ったメモには、家族を責めたことを悔やむ言葉が並ぶ

高齢者が狙われる背景

1人暮らし増加…孤立しがちな社会情勢

平成26年の高齢社会白書によると、1人暮らしの高齢者は、昭和55年には高齢者全体の8・5%だったが、平成24年には16・1%にまで増加している。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

「家族を思う純粋な気持ち…責めないでほしい」

家族からも見捨てられ、社会とのつながりがなくなったと絶望したとき、被害者は自殺へと走る。「だまされてしまったのは家族を思う純粋な気持ちがあるからで、いいも悪いもない。だから、被害者を責めないでほしい」と篠原さん。

【衝撃事件の核心】自ら命を絶つオレオレ詐欺被害者もう一つの悲劇…「なぜだまされた」責められ

「年寄りがカネを持ってて何の意味がある」罪悪感のなさ

「高齢者がカネを持っていて何の意味がある。俺たちがそのカネで日本の経済を回してやっているんだ」摘発された振り込め詐欺グループのリーダーは、悪びれもせず、こううそぶいた。振り込め詐欺犯に共通するのは「罪悪感のなさ」だと捜査関係者は言う。

「年寄りがカネを持ってて何の意味がある」振り込め詐欺に共通する“罪悪感のなさ”

詐欺の啓発活動に新たな動き

少年少女らに「だまさないように」呼びかけ

これまで警察は高齢者などの潜在的被害者に「だまされないように」呼びかけてきたが、警視庁では少年・少女ら潜在的加害者を対象に「だまさないように」呼びかける、全国初の取り組みを始めた。

振り込め詐欺、都内の被害高止まり 目立つ「上京型」

だまされた女性は自殺…「それでも君はやりますか?」

警視庁の啓発ドラマは、先輩に誘われ、アルバイト感覚で「受け子」役になった高校生の物語。警察に逮捕されて少年院に送られ、だまされた女性は自殺してしまう。具体的な断り方の解説も加え、「それでも君はやりますか?」と呼びかける内容になっている。

振り込め詐欺、都内の被害高止まり 目立つ「上京型」

主人公の高校生がスーツを着て詐取金を受け取る啓発DVDのワンシーン

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