(画像と本文は関係ありません、Thinkstockより)

「女の幸せ」やはり出産なのか? 幸福度調査で意外な結果

大手広告代理店の「博報堂」が実施した独自の「幸福度調査」から、女性が考える「幸せ」について意外な結果が見えた。しかも、その女性の幸福度は都道府県別でみると「西高東低」の傾向が―。社会での「女性活躍」を推進する安倍政権だが、法案と現代女性との考えに“ギャップ”はないのだろうか。

《女性活躍法案》
大企業や国、自治体に女性登用のための独自の数値目標設定と公表を義務付ける法案。従業員301人以上の民間企業が採用者や管理職に占める女性の割合、労働時間や勤続年数の男女差など、自社の現状を分析。その上で、これらを将来的にどれだけ改善するか、最低でも1項目を選んで企業ごとに独自の数値目標を設定し、行動計画に明記するよう義務付ける。2014年10月に衆院本会議で審議入りしたが衆院解散で成立を断念。

博報堂が女性の幸福度に着目した調査を実施

■独自の“幸福度指標”使用した「地域しあわせラボ リサーチレポート第4号・地域しあわせ風土調査」とは

博報堂は、慶応大大学院システム・デザインマネジメント研究科の前野隆司教授が考案したオリジナルの“幸福度指標”を使用し、共同で地域に3年以上居住している全国の男女1万5000人(20~64歳、単身赴任者と学生を除く)を対象に、2014年2月~3月にかけてインターネット上で調査。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

■「ほっとする」「やってみよう」などの指標を5段階で自己評価

同調査の対象項目は、人が地域で暮らす「しあわせ」の指標を、下記の表の5つ。それぞれの項目に対し5段階(「非常によく当てはまる」「少し当てはまる」など)で自己評価してもらった。さらに5つの指標と、住んでいる地域や風土との関係をそれぞれ問い、合わせて数値化。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

調査対象項目 その項目が象徴すること
(1)『ほっとする』 安全と安心
(2)『あなたらしく』 独立とマイペース
(3)『なんとかなる』 前向きと楽観
(4)『ありがとう』 つながりと感謝
(5)『やってみよう』 自己実現と成長

【調査結果】女性は職業によっても幸福度が変わる

■職業別の「しあわせ指数」(男女総合)

職業 ポイント数
自営業 801
専門職 792
公務員 783
専業主婦 706
会社員・会社役員 663
パート・アルバイト 648
無職 526

■男性は職業による幸福度に違いなし=女性は職業で変わる

男性にしぼった調査結果では、会社員と自営業、公務員、専門職で幸福度に違いはなかったという。女性は、結婚、出産だけでなく職業によっても幸福度が変わる傾向が強いよう。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

■「やはり子育てとの両立が難しいのでは」

調査の主催者、博報堂のソーシャルデザイン専門組織「hakuhodo i+d」の代表、筧裕介さん(39)は、人事異動などで「仕事の範囲が決まっていない会社員の仕事は、やはり子育てとの両立が難しいのでは」と会社員・会社役員の女性が、専門職や自営業の女性と比べて幸福度が低い理由を推測する。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

女性の幸福度についての調査をまとめた「issu+design/hakuhodo i+d」の筧裕介さん

女性の幸福度についての調査をまとめた「issu+design/hakuhodo i+d」の筧裕介さん

【調査結果】女性は結婚しないよりしたほうが幸せ?

■未婚・既婚による女性の「しあわせ指数」

結婚の有無 ポイント数
未婚女性 619
既婚女性 718
※男女全体の「しあわせ指数」平均651

■既婚女性の幸せ指数は未婚女性より100高い

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

【調査結果】女性は「子供3人」がもっとも幸せ

■子供の数による女性の「しあわせ指数」

子供の数 ポイント数
子供0人 629
子供1人 697
子供2人 717
子供3人 773
子供4人 737(2人よりも高い)

■子供の数が増えるごとに幸福度がアップ

4人以上になると、737と少し下がるが、それでも2人よりも高い。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

【調査結果】女性は「安全・安心」と「感謝」を重視

■「ほっとする」と「ありがとう」の指標で男女差「大」

【1】『ほっとする』(安全と安心)【2】『あなたらしく』(独立とマイペース)【3】『なんとかなる』(前向きと楽観)【4】『ありがとう』(つながりと感謝)【5】『やってみよう』(自己実現と成長)の指標のうち、男女差が大きいのは「ほっとする」と「ありがとう」の2つ。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

■「女性は人への感謝の気持ち、豊かな人間関係をもつことで幸せを感じる傾向が強い」

博報堂の筧さんは「子供を産み育てやすい地域は、3世代同居だったり、地域社会があったりと、人とつながる豊かさにより、幸せを感じやすい」と分析する。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

【調査結果】女性の幸福度は「西高東低」

■都道府県別「女のしあわせ」ランキング《ベスト10》

順位 県(ポイント)
1位 沖縄県 (932)
2位 鹿児島県(814)
3位 熊本県 (791)
4位 宮崎県 (784)
5位 兵庫県 (768)
6位 福岡県 (728)
7位 京都府 (714)
8位 高知県 (708)
9位 神奈川県(707)
10位 長崎県 (706)

■都道府県別「女のしあわせ」ランキング《ワースト10》

順位 県(ポイント)
1位 群馬県 (588)
2位 香川県 (605)
3位 福島県 (610)
4位 岐阜県 (616)
5位 茨城県 (623)
6位 岡山県 (627)
7位 徳島県 (627)
8位 大阪府 (634)
9位 埼玉県 (636)
10位 愛知県 (636)

■「合計特殊出生率」と「都道府県別結果」の相関性が深いことが判明

都道府県別ランキングを女性に絞ってみると、トップ3は男女総合と同じ。一方、ワースト3には、群馬、香川、福島の3県が入った。つまり、女性の「しあわせ指数」は西高東低の傾向で、一生の間に女性が生む子供の数「合計特殊出生率」の都道府県別結果と相関性が深かった。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

《合計特殊出生率》

一人の女性が一生に産む子供の平均数を示す。

調査結果で導き出された「もっとも幸せな生活スタイル」とは

■子供は3人、世帯年収1000万円以上

調査結果から得た印象は、親や親族、友人知人が近くにいてネットワークがあり、自営業で結婚していて子供は3人、世帯年収1000万円以上が、最も幸福度指数が高くなりそうな生活スタイル。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

「キャリアウーマン志向」はマイノリティー?

■「日本全体で見るとキャリア追求する女性は少数派」

調査の主催者でリポートの編集長である筧さんは「女性の声というと、世間的にはどうしても都会のキャリア志向の人の声が大きく聞こえがちですが、大都市で大企業に勤めてキャリアを追求する人は日本全体で見るとマイノリティー」と分析する。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

■「幸せを実感できるかでまちづくりを」

筧さんは「子供を産み育てやすい社会は、社会の幸せでもあり、個人の幸せでもある」と話した上で「自治体が、若い世代の定住や移住を促進するためには『若い女性が少ない地域』『若い女性はいるけど結婚しない地域』『結婚はするけど子供の数が少ない地域』の3種類別に、それぞれが対策を作る必要がある」とアドバイスする。

「女の幸せ」はやはり出産か…現代女性の幸福度、地域別は“西高東低”

調査結果を受け…「女性管理職増」は女性を幸せにするか?

■出産時期ためらい高齢出産のリスクに直面する現実

莫大なお金を投じ、高度不妊治療の末に産んでも一人が限界だったりする。20代、30代と仕事一筋で走り続けたいわゆるバリキャリの編集者の女性(42)は、高度不妊治療で40代で第1子をもうけたが、まだ凍結卵子が残っている。「息子に兄弟を」との思いの一方、この秋に昇進したという。

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女性は仕事と子育てを両立したいわけではない?

■結婚・出産を機に“自発的に”退職

厚生労働白書によれば、第1子出産前後に約6割が退職。同白書が紹介する退職理由の1位は「家事・育児に専念するため、自発的に辞めた」。

少子高齢時代 子育て女性「働きたくない」…男中心の企業文化を排せ

■3歳以下の子供がいる女性の半数以上「働きたくない」

2007年に内閣府が公表した「女性のライフプランニング支援に関する調査報告書」によると、3歳以下の子供がいる女性の「理想の働き方」は、「働きたくない」が57・6%だった。「残業もあるフルタイムの仕事」を希望した人はわずか0・5%、「フルタイムだが残業のない仕事」も6・2%である。出産後は家事・育児に専念することを前提としている女性は少なくない。

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実態とのズレがある「配偶者控除見直し」

《「配偶者控除」の見直し》

現行の配偶者控除は、年収103万円以下の妻を持つ世帯に適用される。課税所得の計算前に、夫の年収から38万円を控除する仕組み。妻が専業主婦の世帯などは夫の所得税や住民税が抑えられる。一方で、主婦が控除を受けられる範囲に就労時間を抑えるケースもあり、女性の働く意欲をそいでいるとも指摘された。政府はこの「103万円の壁」を取り払い、女性(配偶者)の社会進出を促進しようとしている。

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■「配偶者控除が縮小・廃止されても、主婦は仕事を増やさないのではないか」

大阪市に家族を残し、東京に単身で赴任した会社員の男性(36)は「配偶者控除が縮小・廃止されても、主婦は仕事を増やさないのではないか」と疑問を投げかける。男性の妻は出産後、年収103万円以内で働いてきたが「夫が単身赴任の場合だけでなく、残業や休日出勤の多い家庭では、子育てをしながら妻がフルタイムで働くのはとても大変だ」と指摘する。

配偶者控除見直し 女性働く? 不満噴出「実態分かってない」

「管理職と子育ての両立は“スーパーウーマン”でなければ不可能」

■スーパーウーマンでも越え難いほどの社会の現実や課題

産経新聞社・奈良支局のデスク、木村さやか氏は、「女性登用」を掲げる安倍晋三政権にはさまざまな意見があるとした上で「仕事と家庭を両立している友人らは皆、涙ぐましい努力を重ねている。一方、『3人目が生まれた』『親の介護が必要』とやむなく離職した友人も多い」と話す。同氏は「『スーパー』でなくてもいい社会を」と願う。

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