若い世代の「iQOS」利用も見込むという

人気沸騰…「加熱式たばこ」 喫煙スタイルを変えられるか?

「加熱式たばこ」の人気が沸騰している。フィリップモリス(PM)が販売する「iQOS(アイコス)」は品薄のため、2度も販売エリアの拡大を延期。JTが投入した新製品も出荷を一時停止する事態に。煙や灰を出さない新型たばこは新たな喫煙スタイルを形成するか。

《日本国内の喫煙者率》
たばこ産業の「全国たばこ喫煙者率調査」2014年版によると、成人男性の平均喫煙率は30.3%で、1966年のピーク時の83.7%と比較すると、48年間で53ポイント減少したことになる。 2014年の喫煙率が一番高い年代は40歳代で38.5%だった。〔健康・体力づくり事業財団

「iQOS」全国展開、2度も延期

全国展開したものの、品薄続く

フィリップモリスジャパン(PMJ)は、東京や愛知、大阪などの12道府県で2015年9月から先行販売していた加熱式たばこ「iQOS(アイコス)」の販売地域拡大を16年2月に延期、同年3月にも再び延期した。2016年4月中旬に全国展開が開始されが、同年5月現在も、品薄状態が続いている

加熱式たばこ「iQOS(アイコス)」 販売地域拡大 再延期のお知らせとお詫び〔2016年3月14日 PHILIP MORRIS INTERNATIONAL〕

※フィリップモリスジャパンHPより

※フィリップモリスジャパンHPより

10万人以上が紙巻きたばこからiQOSに切り替えたと推計

新製品は0.5%のシェアが取れれば成功と言われるたばこ市場で、iQOSは、2016年1月末時点で東京都が推定2.4%、12都道府県で1.6%に達し順調に拡大。PMJによると、推定で10万人以上の成人喫煙者が紙巻きたばこから完全にiQOSに切り替えたとされる。

〔焦点〕たばこ大手2社、「煙なき」戦いで火花 市場一変の可能性も〔2016年2月22日 ロイター〕

「iQOS」は、加熱用ホルダーと充電器、たばこのセット

iQOSはたばこそのものではなく、たばこを加熱するためのホルダーを含めたセットの名称。ホルダーに専用の短いたばこ「マールボロヒートスティック」を差し込み、内部の金とプラチナの板で加熱して蒸気を吸い込む。

加熱式たばこ「iQOS」 やめるか否か…喫煙者に第3の選択肢

フィリップモリスの加熱式たばこ「iQOS」は本体セットが9980円。吸い口が紙巻きということが同製品の最大のセールスポイントともいえる

フィリップモリスの加熱式たばこ「iQOS」は本体セットが9980円。吸い口が紙巻きということが同製品の最大のセールスポイントともいえる

iQOS専用の短いたばこ「マールボロヒートスティック」は4種類で各20本入り460円

iQOS専用の短いたばこ「マールボロヒートスティック」は4種類で各20本入り460円

そもそも「加熱式たばこ」とは

たばこの葉を電気加熱し蒸気を吸い、蒸気を吐き出す

「加熱式たばこ」とは、たばこの葉を棒状の専用器具(長さ10センチ前後)で電気加熱し、ニコチンを含む蒸気にして吸うたばこ。「新型たばこ」「次世代たばこ」とも呼ばれる。口から吐き出すのは煙ではなく蒸気。

<新型たばこ>路上は規制?容認?議論の火種〔2016年1月8日 河北新報〕

煙も灰も出ず、屋内の空気も汚れない

iQOSは火を使わないため煙や灰が出ず、臭いも少ないとされる。2015年12月に発表されたフィリップモリスの試験結果によると、使用時の屋内空気の汚れはいずれも国内やEUの規定を大幅に下回り、iQOSは「屋内空気環境に悪影響を与えない」という。

「iQOSは屋内空気に悪影響与えない」 フィリップモリスが試験結果

有害物質は紙巻きたばこに比べ9割減

紙巻きたばこの煙の主成分は水とニコチン、そして有害物質の集合体であるタール。一方、iQOSの場合は「蒸気中の成分のほとんどは水とニコチン、グリセリン」(フィリップモリス)で、有害物質は紙巻きたばこに比べて平均9割減という。これは加熱温度が、紙巻たばこは約800度という高温であるのに対し、iQOSは約350度という低温であるため。

有害物質9割減!?フィリップモリス次世代タバコの勝算〔2015年8月20日 DIAMOND online〕

ニコチンの量は変わらず

iQOSのニコチンの量は紙巻きたばことほとんど変わらない。これは喫煙の満足感を残しつつ毒性物質の量を減らしているため。健康を大きく損なう恐れのあるものを断ち、代用品でリスク低減を図る「ハームリダクション」という考えがもとになっている。

加熱式たばこ「iQOS」 やめるか否か…喫煙者に第3の選択肢

ニコチンを含まない溶液を加熱する「電子たばこ」とは異なる

たばこ葉を蒸す方式の新型商品は「たばこベイパー(蒸気)」と呼ばれ、溶液を電気式の吸引器で加熱するタイプは「電子たばこ」と呼ばれる。欧米ではニコチン入りの溶液が認められ普及が進むが、日本ではニコチンが医薬品成分に指定されているため、厚労省の承認・認可が必要なため、あまり普及していない。

〔焦点〕たばこ大手2社、「煙なき」戦いで火花 市場一変の可能性も〔2016年2月22日 ロイター〕

欧米で人気の電子たばこだが、製品によっては紙巻たばこよりも高い濃度のホルムアルデヒド(発がん性物質)が検出された例もあり、世界保健機構(WHO)は2014年、健康リスクが否定できないと注意を呼びかけた

欧米で人気の電子たばこだが、製品によっては紙巻たばこよりも高い濃度のホルムアルデヒド(発がん性物質)が検出された例もあり、世界保健機構(WHO)は2014年、健康リスクが否定できないと注意を呼びかけた

有害物質9割減!?フィリップモリス次世代タバコの勝算〔2015年8月20日 DIAMOND online〕

《たばこの有害成分と発生の仕組み》

フィリップモリスインターナショナル(PMI)のCSO(最高科学責任者)、パイチュ氏は「ニコチンには依存性があるものの、病気の主な原因ではない」といい、「有害なのは、ホルムアルデヒド、ベンツピレン、一酸化炭素などの化学物質。これらの成分の多くは、タバコの葉が燃焼する時に発生する」と指摘する。

燃焼させない新世代タバコの健康リスク――開発チームに迫る〔2015年10月22日 HARBOR BUSINESS online〕

販売開始から8カ月…iQOSに対する反応は?

「煙たくない」「お茶を煎ったような香り」

「部屋が臭くない!」「妻にタバコ臭いと言われなくなった」

「吸い殻がゴミ箱に捨てちゃえる」「灰で服が汚れたりしない」

「満足感は大きい」「ヘビースモーカーには物足りない」

「普通のたばこがマズいと感じるように」「『うますぎぃぃいい』とはならない」

「吸う量が減った」「家でも吸えるので量が増えた」

「吸うまでに時間がかかる」「車内で使いづらい」

「次行くまでに充電が必要」「充電しわすれ率が意外と高い」

「充電器がでかいし重い」「ポケットから落ちそうに」

「カートンと本体で約1万円は高い」「コスパ悪い」

「くわえタバコができなくて困る」「くわえてたら吸い口折れた」

「ヒートスティックが4種類しかないのが寂しい」

国内シェア第1位のJTも3月に発売

「Ploom TECH」予想上回る人気で、早くも出荷を一時停止

日本たばこ産業(JT)は2013年12月から加熱式たばこ「Ploom(プルーム)」を発売、16年3月から「Ploom TECH(プルーム・テック)」に切り替え、福岡市と一部販売店とオンラインショップで販売を開始。しかし注文数が予想をはるかに上回り同月8日から出荷を停止、6月下旬から数量限定で再開するという。

JT、火を使わない加熱式たばこ「プルーム・テック」出荷再開〔2016年5月11日 財経新聞〕

葉が入ったカプセルを蒸気が通過する仕組み

従来のPloomは、iQOSと同様にたばこ葉を加熱するものだったが、Ploom TECHは葉を加熱せず、たばこ葉が詰まったカプセルを蒸気が通過し、たばこの味や香りが出るという異なる技術を用いている。

〔焦点〕たばこ大手2社、「煙なき」戦いで火花 市場一変の可能性も〔2016年2月22日 ロイター〕

JT独自の技術を用いた加熱式たばこ「Ploom TECH(プルーム・テック)」。たばこ葉が詰まった専用のカプセルは3種類で各460円

JT独自の技術を用いた加熱式たばこ「Ploom TECH(プルーム・テック)」。たばこ葉が詰まった専用のカプセルは3種類で各460円

禁煙エリアでも吸える?

厚労省と販売2社「自治体の判断」

禁煙エリアでの新型たばこ(たばこベイパー=蒸気の出るもの)の規制をめぐっては、厚労省健康課は「条例である以上、あくまで自治体が判断する」。また、フィリップモリスジャパンとJTも「行政や施設管理者の判断すること」などとコメントする。

路上禁煙条例 「煙なしでアウト」の理屈とは〔2015年12月25日 毎日新聞〕

条例目的が判断の分かれ目か

仙台市などは、たばこの火による危害防止を図る条例を基に「危害の恐れはない」と規制から外す一方、横浜市はポイ捨て防止を目指す条例を根拠に「吸い殻が出る」と規制。条例目的が判断の分かれ目になっているようだ。

<新型たばこ>路上は規制?容認?議論の火種〔2016年1月8日 河北新報〕

主な自治体と規制状況

自治体:規制の有無 規制または規制しない理由
東京都千代田区:規制 タバコ葉を使用、たばこ税が課税されている。ポイ捨て防止
神奈川県横浜市:規制 ポイ捨て防止
大阪府大阪市:規制せず 路上喫煙防止条例を基に「火による周囲への危険性がない」
愛知県名古屋市:規制せず 路上喫煙禁止条例を基に「やけどのおそれや被服を焦がすなど危険な行為」に当てはまらない
宮城県仙台市:規制せず たばこの火による危害防止を図る条例を基に「危害の恐れはない」

〔2016年1月8日 河北新報〕

東京都内には禁煙エリアでもiQOSが吸える飲食店も

フィリップモリスジャパンはiQOSを禁煙エリアでも吸える飲食店を「iQOS Welcome Place」として認定。すでに「トラベルカフェ」や「リキッドルーム」のようなライブハウスで実施。トラベルカフェでは「iQOS ONLY」席が用意されているという。

ほとんど空気を汚さない!? フィリップ モリス加熱式たばこ『iQOS』の試験結果発表〔2015年12月10日 ガジェット通信〕

今後、「加熱式」が伸びていくのか?

PMは「害の少ないたばこ」3種類を開発中

フィリップモリス(PM)では、iQOSを「リスクを低減する可能性のある商品(RRP)」として位置付け、科学的実証を続けているほか、iQOSのほかにも3種類の「害の少ないたばこ」の開発研究を行っている。

有害物質9割減!?フィリップモリス次世代タバコの勝算〔2015年8月20日 DIAMOND online〕

PMJ社長「全てのたばこを切り替えることが将来の大きな目標」

フィリップモリスジャパン(PMJ)のポール・ライリー社長は、「全てのたばこを(加熱式に)切り替えることが将来の大きな目標だ」と語る。

「全てのたばこを加熱式に」=フィリップモリスのライリー社長〔2016年4月4日 時事通信〕

健康リスク低減たばこ開発加速の背景に世界的な紙巻きたばこ敬遠

たばこメーカーが、加熱式たばこなどの代替物を躍起になって開発する背景には、世界的な紙巻きたばこ敬遠の流れがある。日本でも1996年度の約3500億本をピークに販売数量は減少を続けており、2014年度は約1800億本と半分にまで落ち込んだ。

有害物質9割減!?フィリップモリス次世代タバコの勝算〔2015年8月20日 DIAMOND online〕

野村證券アナリスト「JTが本腰を入れてくれば、需要喚起になる」

野村証券アナリストの藤原悟史氏は「喫煙人口が増えるわけではないため、どの程度の人が置き換わるかがポイント。まだ読み切れない」としながらも、「JTが本腰を入れてくれば、需要喚起になる」とみる。

〔焦点〕たばこ大手2社、「煙なき」戦いで火花 市場一変の可能性も〔2016年2月22日 ロイター〕

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