この秋築地→豊洲市場へ、いまだ絶えない「不安」とは?

築地市場の豊洲への移転は今年11月に迫っている。新市場の建設が着々と進む一方、いまだに一部から不安の声が聞かれる。また、一般客でにぎわう「場外」は築地に残るが、移転後はどう変わるのか。

《築地市場》
昭和10(1935)年に開設され、世界最大級の魚市場として知られる。敷地は約23万平方メートル。銀座など大消費地に隣接し、水産物では2013年の1日当たり取扱数量が1779トン、取扱金額は15億5千万円に上る。施設が老朽化し、手狭になったことから、16年11月上旬に豊洲新市場に移転する。

そもそも築地市場の豊洲移転とは?

開場80年超、老朽化などから2001年に移転決定

築地市場は開場から80年以上が経過し、多くの施設が耐用年数を超え、狭い場内は混雑するなどの問題を抱えている。1991年から現在地での再整備に取り組んだが、工事の長期化や整備費の増大などで1996年に中断。2001年、豊洲への移転を決定した。

豊洲新市場建設について 移転整備の経緯〔東京都中央卸売市場〕

豊洲市場、11月7日にオープン予定。築地の「場外」は残る

築地市場の移転先「豊洲市場」は、今秋11月7日に開場する予定。1000近くの業者が移るとみられ、11月4,5日を臨時休業とし、通常休業と合わせた3~6日に引っ越し作業をする。隣接する場外市場は残る。

移転先名称は「豊洲市場」 来年11月7日に開場

《「場内」と「場外」の違い》

築地市場の「場内」は、主にプロの買い付け人が買い物をする場所で、競りや卸売り用の生鮮食品が販売されている。「場外」は、一般の人が買い物や食事が楽しめる商店街で約400店が並ぶ。

初心者向け 築地市場の「場内」と「場外」の違いとは〔2015年9月27日 MATCHA〕

移転のため最後となった築地の中央卸売市場での初競り=2016年1月5日

移転のため最後となった築地の中央卸売市場での初競り=2016年1月5日

正月用の食材などを求める大勢の買い物客でにぎわう東京・築地の場外市場=2015年12月30日

正月用の食材などを求める大勢の買い物客でにぎわう東京・築地の場外市場=2015年12月30日

いまだ一部から移転批判

かつてのガス製造工場跡地、すでに土壌汚染対策を実施

豊洲市場用地にはかつて東京ガスの製造工場があり、ベンゼンなどの有害物質による土壌汚染が判明。都は849億円を投じて汚染対策工事を実施し、2014年11月に工事を完了。有害物質が不検出、基準値以下であることが確認された。

豊洲市場予定地 土壌汚染対策工事が完了〔2014年11月27日 日テレNEWS〕

しかし、一部市場関係者らは「不十分」と主張

築地市場の関係者や消費者団体などでつくる「守ろう!築地市場パレード実行委員会」の水谷和子氏は、都の土壌汚染対策で調査しないまま残されている区画があると指摘する。

築地関係者が怒りの公開質問状!ずさん極まる豊洲新市場の帯水層調査〔2016年2月24日 DIAMOND online〕

11月移転に批判「不慣れな新市場で繁忙期を迎えるべきではない」

年末商戦を直後に控えた時期の移転だけに、築地仲卸・大仲社長の今井稜輔氏は、「不慣れな新市場で1番の繁忙期を迎えるべきではないし、買い出し人のほうも戸惑ってしまいます。都に翌年2月など閑散期に変更するよう要望します」と話す。

豊洲新市場開場の陰に「築地仲卸人の苦悩あり」〔2016年1月18日 PRESIDENT online〕

舛添都知事「この時期がベスト」と予定通り

舛添都知事は移転時期をめぐる過去の長い議論をふまえ、「年末の忙しくならない時期、そういうことを考えて、この時期がベスト」「今のところ、基本的に動かす予定はない」と語った。

豊洲市場への移転 来年11月7日「変更の予定なし」〔2012年12月5日 産経ニュース〕

《豊洲市場》

延べ床面積は築地の約1.7倍の約51万平方メートル(管理棟などを含む)。壁がなく開放型の築地とは違い、外部と仕切られた屋内閉鎖型の施設で、商品の品質・衛生管理が強化されているのが特徴。

築地市場「最後の師走」に悲喜こもごも〔2015年12月26日 毎日新聞〕

豊洲新市場のイメージ(東京都中央卸売市場のホームページより)

豊洲新市場のイメージ(東京都中央卸売市場のホームページより)

豊洲新市場にこんな「不安」も

業者撤退の「千客万来施設」は同時開業ならず

新市場の“目玉”とされた「千客万来施設」は昨年、運営予定だった大和ハウスと喜代村(「すしざんまい」を展開)が相次ぎ撤退。再公募で事業者は「万葉倶楽部」に決定したが、平成30年以降の開業予定となり、豊洲市場開場との同時開業は断念。

温泉、ホテル、江戸の街並み…豊洲市場の観光拠点、運営事業者が決定

車以外は不便なアクセス…始発6時の「ゆりかもめ」しかない

豊洲市場へは新交通ゆりかもめしかなく、車以外は不便な場所にある。新橋駅始発は午前6時。市場は明け方6時前には活気づくため、市場で働く人はもとより、自転車で買い出しに来ていた料理人や、電車で移動する個人の買い出し人は不便さを訴える。

豊洲新市場開場の陰に「築地仲卸人の苦悩あり」〔2016年1月18日 PRESIDENT online〕

床積載荷重に問題?「床が抜けてしまうかも」との指摘

新市場で仲卸業者が入るエリアの床積載荷重の限度は、1平方メートル当たり700キロだが、築地を行き交う荷物運搬用の小型車「ターレー」は積載貨物を含め約2トンに及ぶ。東京中央市場労組執行委員長の中澤誠氏は、「今のまま開場すれば、床が抜けてしまうかもしれない」と指摘する。

豊洲新市場に“”衝撃欠陥” 積み荷の重さで床が抜ける恐れ〔2016年2月24日 日刊ゲンダイ〕

他にも意外なところに「余波」?

住処とエサを失ったドブネズミが銀座へ大移動の懸念

築地市場の豊洲移転に伴い、中央区はネズミ駆除に乗り出す。ねずみ駆除協議会会長の矢部辰男氏は、「住処とエサを失ったドブネズミが営巣のために銀座まで大移動する可能性は十分ある」と、駆除しきれなかった場合の“ネズミ騒動”を危惧する。

築地市場移転で巨大ドブネズミが銀座へ大移動の懸念〔2016年2月18日 ポストセブン〕

吉野家「1号店」は築地?豊洲? 気をもむ店員やファン

築地市場の一角にある牛丼チェーン吉野家「築地店」はグループ発祥の店。1923(大正12)年の築地市場開業時から営業してきたが、11月に豊洲に店を移す。店舗移転を前に、「1号店」と呼ばれてきた称号をどう残すか、店員やファンが気をもんでいる。

市場移転…築地?豊洲? 吉野家「1号店」、「うまい」残し方は〔2016年2月27日 東京新聞〕

移転後の築地は?

新施設「築地魚河岸」、10月15日にオープン

築地のにぎわいを守るため、新たな商業施設「築地魚河岸」が10月15日に開業する。水産・青果業者61店が入る予定で、中央区の担当者は「食のプロに支持される施設になると思う。一般客や観光客の方にもお越しいただければ」と話す。

築地場外の新施設名称が「築地魚河岸」に 61業者が入居〔2015年10月6日 銀座経済新聞〕

隅田川沿いに「船着き場」や「テラス」を設置へ

都は、築地市場の隅田川沿いの荷揚げ用桟橋を解体し、2024年までに船着き場やテラスを新設する。大型観光船が利用できるターミナルを想定。カフェなどが出店できるテラスも設置する方針だ。

東京都、水の都へ名所づくり 築地に船着き場やテラス〔2016年1月9日 日本経済新聞〕

跡地に「スタジアム」建設案も

スポーツ報知によると、東京ドーム約5個分ある築地場内の跡地利用を巡り、大手不動産会社が野球場やサッカー場などのスポーツ施設とショッピングモールなどの商業施設を併設する建設計画を進めているという。

築地市場跡地に“スタジアム”建設案…五輪後に再開発へ〔2016年1月6日 スポーツ報知〕

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