首位争いから一気に圏外…東京ディズニーRを脅かす“不安”

「日本版顧客満足度指数」調査の結果、7年にわたりトップ争いを演じてきた東京ディズニーリゾート(TDR)が「上位10社」圏外にランクされる“波乱”が起きている。TDRの“王者”の座を脅かしている“不安”とは?

《日本版顧客満足度指数(JCSI)》
サービス産業生産性協議会が実施する、日本の小売サービス業32業種・上位企業約400社を対象にした日本最大規模の消費者調査。〔YOMIURI ONLINE

顧客満足度で「トップ10」圏外へ

TDRには2009年以来、劇団四季とトップを争ってきた“実績”がある

日本最大規模の消費者調査「日本版顧客満足度指数(JCSI)」の、顧客満足度(CS)上位企業のランキングで、2009年以来、劇団四季とトップを争ってきた東京ディズニーリゾート(TDR)が、トップ10位のリストから外れた。

「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し〔2016年1月16日 YOMIURI ONLINE〕

顧客満足度指数(CSI)ランキング

2014年順位/企業・ブランド名(指数) 2015年暫定順位/企業・ブランド名(指数)
1位 劇団四季(84.6) 1位 劇団四季(87.5)
2位 東京ディズニーリゾート(82.7) 2位 宝塚歌劇団(84.5)
3位 宝塚歌劇団(82.1) 3位 コープ共済(81.9)
4位 コープ共済(81.9) 3位 ヨドバシ.com(81.9)
5位 都道府県民共済(81.0) 5位 帝国ホテル(80.9)
6位 amazon.co.jp(80.7) 6位 都道府県民共済(80.7)
6位 オルビス(80.7) 7位 信住SBIネット銀行(79.8)
6位 ヨドバシ.com(80.7) 8位 リッチモンドホテル(78.6)
6位 帝国ホテル(80.7) 9位 クックパッド(78.5)
10位 スーパーホテル(79.8) 10位 オルビス(78.4)
11位 東京ディズニーリゾート(77.9)
※2015年7~8月の調査

「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し〔2016年1月16日 YOMIURI ONLINE〕

入場者数も減少(2015年度上半期)

TDRの入場者数は2012年度以降過去最高の水準で推移、30周年を迎えた13年に大きく伸び、14年は3137万人と過去最高を記録。しかし、15年度上半期(4~9月)は1437万人と、前年同期に比べて5%減少した。運営会社オリエンタルランドはその要因を、ショー「ワンス・アポン・ア・タイム」が2年目を迎えたことに加え、猛暑などによる客足の鈍化と説明する。

東京ディズニー、「独り負け」に潜む深謀遠慮〔2015年11月1日 東洋経済ONLINE〕

値上げしたのに混雑…“転落”主要因は値頃感の低下?

投資家やアナリストらは、高まる混雑率がTDRの顧客満足度(CR)を下げていると指摘。また「強気の」入園料値上げが入場者数の減少に影響を及ぼしている可能性がある。その一方、増えつづける入場者数に対しパークの面積は大きく拡張できていないため過密状態に。

東京ディズニー、「混み過ぎ」で客離れ?〔2015年11月4日 日経BP〕

他にも「感動指数と失望指数の変化」などあげる専門家も

JCSI調査結果を分析した法政大学経営大学院の小川孔輔教授は、TDRの“異変”の要因として、(1)感動指数と失望指数の変化、(2)サービス品質評価指数の低下、(3)顧客のマナー低下と雰囲気の悪化―も挙げる。ディズニーのブランド価値は「『非日常的な世界での驚きと感動』だったはず」とし、特に(1)を問題視する。

「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し〔2016年1月16日 YOMIURI ONLINE〕

実際、アトラクションは2~3時間待ちが常態化…

TDRではアトラクションの2~3時間待ちが常態化し、「500分待ち」が発生することもあるという。長年勤務する従業員は、スタッフ数を抑える閑散期は、料理の作り置きを余儀なくされるなどと話す。リピーター客は、(人件費のかかる)パレードやショーの減少を指摘。園内の客を分散化させるショーなどの減少がアトラクションの混雑に拍車をかける。

ディズニー値上げは妥当か 大混雑で見える“ほころび”〔2015年3月2日 DIAMOND online〕

《TDR入園料の値上げ》

TDRの運営会社オリエンタルランドは、2014年4月に東京ディズニーランドと東京ディズニーシーの入園料を大人6200円から6400円に200円値上げ。15年にも値上げし、2016年1月現在、大人の入園料は6900円。数年後に開業する予定の新テーマパークのため、同社は約5000億円の資金が必要になるが、その原資を値上げと増客で獲得しようとしているとみられる。

「夢の国」東京ディズニーリゾートに異変の兆し〔2016年1月16日 YOMIURI ONLINE〕

日本経済新聞によると、TDRは東京ディズニーランドの人気エリア「ファンタジーランド」の面積を2倍に広げ、アトラクションを複数設置。シーには北欧がテーマの新エリアを設ける。アトラクションはそれぞれ2017年度以降に順次開業予定

日本経済新聞によると、TDRは東京ディズニーランドの人気エリア「ファンタジーランド」の面積を2倍に広げ、アトラクションを複数設置。シーには北欧がテーマの新エリアを設ける。アトラクションはそれぞれ2017年度以降に順次開業予定

一方で、軒並み好調な競合のテーマパーク

TDR客数減少が「驚きをもって受け止められたのは、競合施設が同時期、好調に推移したから」(東洋経済)

TDRの2015年上半期の入場者数は1437万人で前年同期比5%の減少だった。東洋経済記者は、TDRの客数減少が「驚きをもって受け止められたのは、競合のテーマパークが同じ時期、軒並み好調に推移したからだ」と分析する。

東京ディズニー、「独り負け」に潜む深謀遠慮〔2015年11月1日 東洋経済ONLINE〕

6年連続値上げも、USJ入場者数は過去最高を記録

大阪市にあるユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の入場者数は2011年以降4年連続で増加。6年連続で入園料を値上げしているにもかかわらず、2014年は過去最高の1270万人を達成。15年上半期は前年同期比約18%増の654万人で上半期過去最高を記録した

USJ入場者、「ハリー」効果で過去最多 TDRは減少〔2016年10月2日 朝日新聞〕

USJは「家族連れを取り込めるようになった」(専門家)

テーマパークの運営に詳しい立命館大学の石崎祥之教授(観光学)は、一時不振だったUSJの“復活”について、「開業当初は『ジョーズ』や『ジュラシック・パーク』など映画に頼った展開で大人向けだった。それがアニメやゲームを取り入れたことで、家族連れを取り込めるようになった」としている。

好調USJ、値上げは限界? 立命館大・石崎祥之教授〔2016年1月4日 産経ニュース〕

ハウステンボスも人気回復、6年連続で入場者数増加

長崎県佐世保市にあるハウステンボス(HTB)は、旅行大手エイチ・アイ・エス(HIS)傘下に入り、2009年に141万人まで落ちていた入場者数が、15年は300万人を突破しそうな勢い。人気回復で、入園料の値上げにも踏み切り、現体制下ですでに7回行われた。

ハウステンボス、アニメ映画製作に参入 入場者数300万人達成へ

朝日新聞によると、2014年7月にできた「ハリー・ポッター」の施設が引き続きUSJの集客に貢献。漫画「進撃の巨人」やアニメ「エヴァンゲリオン」をテーマにした期間限定のアトラクションも人気で、梅雨の閑散期に客を呼び込んだ

朝日新聞によると、2014年7月にできた「ハリー・ポッター」の施設が引き続きUSJの集客に貢献。漫画「進撃の巨人」やアニメ「エヴァンゲリオン」をテーマにした期間限定のアトラクションも人気で、梅雨の閑散期に客を呼び込んだ

ORICON STYLEによると、USJは、“コスプレOK”でお祭り気分で楽しめる企画や、次々とアトラクションをブラッシュアップさせていくスピード感も評価されている

ORICON STYLEによると、USJは、“コスプレOK”でお祭り気分で楽しめる企画や、次々とアトラクションをブラッシュアップさせていくスピード感も評価されている

2015年夏、ハウステンボスで親子連れに人気を集めるプール

2015年夏、ハウステンボスで親子連れに人気を集めるプール

「夢の国」支える従業員らの“苦悩”

TDR従業員の9割はバイト、しかも1年間でその半数が退職

TDRで数々の人材教育を手がけてきた福島文二郎氏による著書「9割がバイトでも最高のスタッフに育つディズニーの教え方」によれば、オリエンタルランドの正社員数は約2000人だが、対してバイトの人数は約1万8000人。しかも、バイトは1年間で半分の約9000人が退職するという。

ディズニーランド、美談に隠されたブラックな実態~バイトを魔法にかけ無報酬で酷使?〔2013年8月29日 Business Journal〕

解雇を通告した従業員から「偽装請負」を訴えられたことも

2014年、7~17年間パフォーマーを務めていた従業員7人が「ショーのリニューアル」を名目に、TDRのエンターテイメントプログラム運営業務の請負業者から雇い止め(解雇)を通告された。彼らは同年2月に組合、オリエンタルランド・ユニオンを結成。「形式的には請負労働だったものの、実際には派遣労働だった」と訴えたが、オリエンタルランド側は「その事実はない」と反論。

長年働いたパフォーマー7人が「偽装請負」主張 〔2014年5月23日 J-CAST〕

深夜清掃バイト死亡事故も発生…「『安全』より『効率』優先」か

2015年10月、東京ディズニーシーで深夜清掃員として勤務していたアルバイト男性が園内の人工水路で死亡しているのが見つかった。TDR現役キャスト(従業員)の三木大輔氏は「一番最優先にしなければならない『安全』が軽視され、『効率』が優先されてしまっているのが現状」と人手不足による過酷労働を指摘する。

<TDL現役キャストが直言>意外?東京ディズニーリゾートの従業員不足が死亡事故の原因〔2015年10月29日 メディアゴン〕

「利益を最大化しようと人件費をギリギリまで圧縮」(労働組合)

オリエンタルランド・ユニオンは「殺到する来場者に対し、運営側は利益を最大化しようと人件費をギリギリまで圧縮しているために最低限のキャストで対応している。そのため、キャストは疲弊してサービスが低下している」と話す。

ディズニーR崩壊寸前?異常な混雑で長い行列だらけ 飲食店は険悪、泣き出す子供…〔2015年3月19日 Business Journal〕

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