自動運転で高速道路への合流もできるトヨタ自動車の実験車=6日、東京都江東区有明のTFTホール(会田聡撮影)

“両手放し”の未来は近い? トヨタの自動運転車に乗ってみた

トヨタ自動車が、高速道路の入口から出口までドライバーの操作なしで走行する自動運転車の実験車を公開した。自動運転車については、政府も普及を後押ししており、業界最大手のトヨタが実用化に踏み切ることで、開発競争が加速しそうだ。

《自動運転車》
人間の運転なしで自動で走行できる自動車。日本政府や米国運輸省道路交通安全局(NHTSA) では、自動化のレベルを(レベル0)自動化なし(1)特定の機能を自動化(2)複合機能の自動化(3)半自動運転(4)完全自動運転の5段階で定義している。

トヨタ、高速走行する自動運転車を市販へ

東京五輪が開かれる2020年をめどに実用化を発表

トヨタ自動車は10月6日、東京五輪が開かれる2020年をめどに高速道路でドライバーがハンドルやアクセル、ブレーキを操作しなくても走行する「自動運転車」を実用化すると発表した。

トヨタ、2020年に高速走行する自動運転車実用化へ

人工知能(AI)や衛星利用測位システム(GPS)を利用する

運転支援システムは車載のカメラやレーダーのほか、人工知能(AI)や衛星利用測位システム(GPS)を利用。周囲を走る車両の位置や道路上の白線を正確に把握し、高速道路で車線の変更や本線への合流を判断する。

トヨタ、2020年に高速走行する自動運転車実用化へ

自動運転で高速道路の出口へ向かうトヨタ自動車の実験車(左)=6日、東京都江東区の有明インターチェンジ周辺(会田聡撮影)

自動運転で高速道路の出口へ向かうトヨタ自動車の実験車(左)=6日、東京都江東区の有明インターチェンジ周辺(会田聡撮影)

記者が体験 高速道向け自動運転車の実演走行

「自動運転に入ります」両手を離す運転手、走り続ける実験車

10月6日、トヨタは開発した自動運転の実験車両を報道陣に公開。首都高速道路で実演走行に記者が助手席に乗って体験した。「自動運転に入ります」。運転手は首都高速道路に入り、ハンドルの走行モード切り替えボタンを押すと両手を離した。両足もペダルから外すが、実験車は目的地に向け走り続けた。

トヨタ自動運転車に乗ってみた! 想像以上の安定感 合流や車線変更も楽々

自動で方向指示器、首都高にすんなり合流

同乗したのは東京都江東区周辺の首都高速「有明」から「福住」の両インターチェンジ間の約8キロ。自動走行を始めて早速、ナビの音声が「合流します」と案内。自動で方向指示器がつくとすんなりと本車線に入った。

トヨタ自動運転車に乗ってみた! 想像以上の安定感 合流や車線変更も楽々

地図情報を基に急カーブ前には減速、驚きの安定性

トヨタの担当者は「車体の前後左右に計11個のレーダーなどを搭載し、ほかの車両や車線を検知して最適な走行をするんです」と説明。その後も基本は法定速度で左車線を走行しつつ、地図情報を基に急カーブ前には減速、約10分間の体験中に危険を感じることはなく、想像以上に安定した走行に驚かされた。

トヨタ自動運転車に乗ってみた! 想像以上の安定感 合流や車線変更も楽々

トヨタ自動車が報道関係者に実演公開した「自動運転車」の車内=6日午後、東京都内

トヨタ自動車が報道関係者に実演公開した「自動運転車」の車内=6日午後、東京都内

トヨタ自動車の実験車で高速道路で自動運転中にハンドルから手を離すドライバー。「実用化には課題がある」(担当者)というが、高速道路に“両手放し”の運転手があふれる未来は近いと実感した、と助手席に同乗した産経新聞の記者は話す。

トヨタ自動車の実験車で高速道路で自動運転中にハンドルから手を離すドライバー。「実用化には課題がある」(担当者)というが、高速道路に“両手放し”の運転手があふれる未来は近いと実感した、と助手席に同乗した産経新聞の記者は話す。

【動画】高速道路で自動運転、トヨタが最新技術を公開〔TBS〕

自動運転車、他のメーカーも続々参入

新たな移動手段として普及に期待

トヨタ自動車が10月6日に実用化の方針を明らかにした自動運転車は他の自動車メーカーも2016年以降に相次いで投入する計画を打ち出している。安全性の向上や渋滞緩和だけでなく、新たな移動手段となる可能性もあり、普及が期待される。

自動運転車、政府も後押し トヨタ・グーグル続々参入 渋滞緩和に期待 課題は法整備

日産は、混雑した市街地を走行できる技術を投入する方針

日産自動車は2016年に渋滞時の高速を、2020年に混雑した市街地を走行できる技術を搭載した車両を投入する方針だ。海外勢でも独アウディが2017年に渋滞時の高速を走行する自動運転車を市販する。

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交通状況を把握して最適な判断を下す人工知能など、共同研究にも力

自動運転では交通状況を把握して最適な判断を下す人工知能(AI)や、車両の位置を確認する高精度な地図ソフトが欠かせない。トヨタはAIの研究を強化するため米マサチューセッツ工科大などと協力。アウディやBMWなどドイツ勢は共同でフィンランドのノキアのデジタル地図事業を買収することを決めた。

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広がる自動運転市場…2020年には5000万台に成長も

5段階に分かれる自動運転システム…米の国家道路交通安全局が自動化レベルを定義

自動運転を実現するために日米欧の主要自動車メーカーをはじめ、政府などの関係機関は本気だが、そもそも、自動運転とはどのようなシステムなのか。先進国の共通認識である、米政府の国家道路交通安全局(NHTSA)が定義した内容には5つのレベルがある。

「自動運転」時代に日本メーカーは勝てるのか〔2015年10月2日 東洋経済ONLINE〕

レベル0:車の運転に関してコンピュータが介在しない状態
レベル1:自動ブレーキなど部分的にコンピュータが介在する状態
レベル2:操舵(ハンドル機能)が複合的に加わった状態
レベル3:半自動運転。条件次第ではドライバーは監視義務から開放可
レベル4:完全自動運転

レベル1の自動運転システムは、2020年に5000万台が搭載

矢野経済研究所によると、滑り防止装置、自動ブレーキなど「レベル1」の自動運転システムは、日本でも2013年ごろから急速に普及が進み始めたタイプの運転支援システムで、2020年には搭載台数が世界全体で4984万8000台に拡大するという。

完全自動運転=レベル4は2030年以降に実用化、ネックは法整備〔2015年7月14日 MONOist〕

レベル2の自動運転システムの搭載も進み、渋滞や駐車にも対応

2015年から2017年にかけては、高速道路における渋滞時の低速追従自動走行、自動駐車システムなど「レベル2」の自動運転システムが高級車を中心に搭載が活発化する見込み。特に米国市場では、日米欧各国の自動車メーカが自動走行試験を実施中で今後の採用が進み、2020年のレベル2の自動運転システム世界搭載台数は360万台に拡大すると予測する。

自動運転システム世界市場に関する調査結果 2015〔矢野経済研究所〕

レベル3の半自動運転、Googleが開発進める自動運転車が代表例

ちなみにNHTSAは、Googleが開発を進めている自動運転車について、レベル3の条件付き自動運転システムの代表例としている。Google自身が目標としているのはレベル4の完全自動運転だが、現在公道走行試験などを行っている自動運転車については、NHTSAからレベル3として捉えられているということだ。

完全自動運転=レベル4は2030年以降に実用化、ネックは法整備〔2015年7月14日 MONOist〕

今夏に公道で試験走行を開始した米グーグルの自動運転車(グーグル提供・共同)

今夏に公道で試験走行を開始した米グーグルの自動運転車(グーグル提供・共同)

日本政府も後押し

安倍首相が東京五輪までの自動運転車の実用化を表明

政府も国家戦略特区プロジェクトとして神奈川県で自動運転タクシーの実証実験に乗り出し、10月4日には安倍晋三首相が東京五輪までの自動運転車の実用化を表明。官民一体の開発は日本の産業競争力強化にもつながる。

自動運転車、政府も後押し トヨタ・グーグル続々参入 渋滞緩和に期待 課題は法整備

地図情報の高度化技術などで日本が世界をリードすることに期待も

安倍首相は、技術革新の事例として自動車の自動運転を挙げ、地図情報の高度化技術などで日本が世界をリードすることに期待し、「2020年の東京には自動運転車がきっと走り回っている。ぜひ見に来てほしい」とアピールした。

安倍晋三首相 東京五輪までに「自動運転車」普及 科学技術のフォーラムで

「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」で発言する安倍晋三首相=10月4日午前、京都市左京区の国立京都国際会館(志儀駒貴撮影)

「科学技術と人類の未来に関する国際フォーラム(STSフォーラム)」で発言する安倍晋三首相=10月4日午前、京都市左京区の国立京都国際会館(志儀駒貴撮影)

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