カセットテープ、ブームの兆し!今、再評価されるワケは

デジタル化が進み、多くの人が定額ストリーミングで音楽を聴く時代に、カセットテープ人気が再燃しつつある。中高年によるただの懐古的な動きではなく、普及していた時代をリアルタイムで知らない若者までがその魅力にハマっているようだ。その理由を探る。

《市場が縮小していたカセットテープ》
1962年に発売され、70年代頃から音楽メディアとしても浸透。アーティストがカセットテープでリリースした作品をそのまま聴くこともあれば、自分で録音してオリジナルのテープを作る楽しみもあり広く普及したが、82年に登場したCDの台頭により、その市場は次第に縮小。2000年代には音楽ファイル圧縮技術、mp3も浸透し次第に姿を消していった。〔日経スタイル

カセットテープ人気が再燃?

渋谷や中目黒で取扱店やイベント増加

ビームスが展開する音楽部門「ビームス・レコーズ」が、2015年3月にカセットテープを集めた企画展を開催。14年に渋谷にオープンしたHMVレコードショップではアナログレコードとともにカセットテープを精力的に取り扱う。また15年夏には中目黒に中古カセットテープ専門店「ワルツ」がオープン。

人気再燃カセットテープ ノイズや面倒くささも新しい〔2016年4月18日 日経スタイル〕

「レコードの比じゃないくらいの伸び」(HMVレコード店)

HMVレコードショップ渋谷では「カセットテープは前年比で言うとレコードの比じゃないくらい伸びている」(竹野智博店長)という。アマゾンでCDとDVDの販売を立ち上げた経験を持つ角田太郎氏が店主を務めるワルツには、愛好家はもちろん、名の知れたミュージシャンから若い学生、外国人まで、様々な客層が連日訪れるという。

次の音楽ビジネスの鍵を握る? 2016年・東京カセットテープブーム〔2016年6月7日 HereNow〕

ユニコーンや大貫妙子…カセット作品リリースするアーティストも

大貫妙子は、自身が1977年に発売したセカンドアルバム「SUNSHOWER」をカセットテープで再販。ユニコーンもTBSドラマ「重版出来!」の主題歌「エコー」で、A面が楽曲、B面がカラオケという構成の「カセットシングル」をリリースしている。

車載「カセットデッキ」に新製品 中高年には説明不要・オートリバース機能も〔2016年9月10日 しらべぇ〕

「カセットって懐かしい」

カセットにダウンロードコードを付けてのリリースも

アーティストの中には、CDのおまけとしてカセットテープを付けたり、テープにダウンロードコードを付けたりするリリースが増えているそうだ。

なぜ今さら? 若者がカセットテープに注目する理由〔2014年4月15日 日刊SPA!〕

70~80年代のアナログメディアがなぜ今?

世界的なトレンド…日本では2015年頃から

HMVレコードショップ渋谷の竹野氏は、同店がオープンした2014年頃から「米国をはじめとする外国ではカセットテープの売れ行きは好調だった。日本で盛り上がりを感じるようになったのは15年のはじめ頃」と話す。

人気再燃カセットテープ ノイズや面倒くささも新しい〔2016年4月18日 日経スタイル〕

米国ではインディーズで流行、いまやメジャーでもカセット版発売

米国ではインディーズレーベルやバンドの間で、カセットテープにダウンロードコードを付けて売る方法が流行。全米レコード協会(RIAA)が認定する「ゴールド&プラチナムディスク」を獲得したアルバムでカセット版も発売される例が増えセールスも好調。ジャスティン・ビーバーやカニエ・ウェストも発売している。

かつて愛用されていたカセットテープが復活の兆し! 〔2016年2月27日 ROCKET NEWS24〕

一時落ち込んだテープの売り上げ、英国では7年で10倍に

英国では2007年にカセットテープの売り上げが20万個まで落ち込んだが、15年には200万個まで戻った。欧米では「アーバンアウトフィッターズ」といった衣料雑貨チェーン店やオンライン上で販売されている。

Cassettes roll back into fashion: Format follows vinyl with huge boost in sales…〔2016年2月21日 DailyMail(英語)〕

小ロットで発注可能…インディーズには好都合

カセットテープ専門の音楽レーベル「ゾンビ・フォーエバー」を運営する森幸司氏は、「工場の都合上、CDは最低でも1000枚ぐらいからしか生産できず」、インディーズレーベルにはセールスのノルマが高すぎる一方、カセットは発注された数だけの生産が可能なため「在庫を抱えることがなく、赤字になりにくい」と説明する。

カセット専門レーベルは「パフォーマンスじゃない」〔2016年8月18日 R25〕

再評価されている理由は?

「モノとしての存在感が、若い世代には新鮮に映った」

カセットテープ収集家の松崎順一氏は「カセットテープの前にレコードのリバイバルが起こった。レコードはCDよりもサイズが大きく、凝ったジャケットを眺めたりする楽しみが評価された。カセットも、CDとは異なるパッケージやコンパクトな外観が、リアルタイムにそれを経験していない若者には魅力的に映った」と分析。

人気再燃カセットテープ ノイズや面倒くささも新しい〔2016年4月18日 日経スタイル〕

「手間をかけて聴くことで音楽とじっくり向き合える」

ワルツ店主の角田氏は「カセットテープで音楽を聴くには、テープをラジカセに入れて、再生ボタンを押すという所作が伴う。(そんな)手軽ではない部分が評価されている」と話す。手間がかかる分、「音楽とじっくり向き合えるともいえる」とも。

なぜ今「カセットテープ」が人気を呼んでいるのか?〔2016年7月4日 日刊SPA!〕

「空気を内包したような“サーッ”というノイズがいい」

米国のエクスペリメンタルロック・バンド、バトルスのメンバーであるイアン・ウィリアムス氏は、カセットテープは「空気を内包したような“サーッ”というノイズが入っている。CDが出たとき、あの雑音がなかったから高音質とされたけど、今聴いてみるとあのノイズがいい」と言う。

いつかバトルスの作品も、カセットテープで出るかも!?〔2016年2月29日 CasaBrutus〕

「周波数特性の狭さが前に出てくるエネルギー感の強さ」

カセットやラジカセはオーディオ好きの間でもブーム。AV評論家の小原由夫氏は「カセットテープをデジタルアーカイブ化する際に…その魅力を再認識した人は多い」といい、「カセットの音は、ハイレゾ音源と比べると周波数特性が狭いが、その狭さが前に出てくるエネルギー感の強さ、音の厚みに繋がっている」と話す。

なぜ今「カセットテープ」が人気を呼んでいるのか?〔2016年7月4日 日刊SPA!〕

「『データにお金を払っている状態』のCDに違和感」

前出の森氏は、「CDは、一度PCにデータを取り込んでしてしまえば、いくらアーティストやレーベルがこだわって作ったものだって、引き出しの中にしまわれっぱなし…。『モノというよりデータにお金を払っている状態』に違和感があった」とし、カセットテープに「モノ」としての価値観を見出す。

カセット専門レーベルは「パフォーマンスじゃない」〔2016年8月18日 R25〕

「デジタルへのカウンターカルチャー的側面が大きい」

HMVレコードショップ渋谷の竹野氏は「YouTubeでも聴ける音源をわざわざカセットテープやレコードで買うっていうのは、やはり(デジタル化への)カウンターカルチャー(対抗文化)的側面が大きいと思う」と話す。

次の音楽ビジネスの鍵を握る? 2016年・東京カセットテープブーム〔2016年6月7日 HereNow〕

“復権”のカギはオーディオ機器

カセットテープレコーダー売り上げ増も…ターゲットは60~80代

カセットテープレコーダーの売り上げも伸びている。調査会社GfKジャパンによると、2015年の家電量販店におけるその売上げは数量で前年比20%増、金額で同21%増。しかし、15年12月に新商品を発売した東芝エルイートレーディングの商品企画部によれば、「顧客のターゲット層は60~80代」という。

人気再燃カセットテープ ノイズや面倒くささも新しい〔2016年4月18日 日経スタイル〕

mp3対応の車載用カセットデッキも発売されるが…

カーエレクトロニクス機器の製造販売を手がける「ビートソニック」(愛知県日進市)は9月16日から、車載用多機能型カセットデッキ「HCT3」を発売する。オートリバースでカセットテープを再生できるほか、AM・FMラジオ、マイクロSDカードやUSBメモリなどでMP3の再生も可能。価格(税別)は1万6千円。

ビートソニック、車載用多機能カセットデッキを発売…MP3再生にも対応〔2016年9月7日 レスポンス〕

今求められているのは「安くて見栄えのいい」プレーヤー

前出の竹野氏は「カセットテープの一番の課題はハード、つまりカセットを再生できるプレイヤー」と指摘。現行のカセットデッキはあくまでCDがメイン、レコードブームの時のように1万円ほどで買える「見栄えのいい」プレーヤーが「増えればもっと盛り上がるのでは」と話す。

次の音楽ビジネスの鍵を握る? 2016年・東京カセットテープブーム〔2016年6月7日 HereNow〕

「ラジカセが売れれば、世界一のオーディオ技術も活かせる」

「1980年代のオーディオは日本の家電メーカーの象徴」と力説するのは前出の角田氏。「ラジカセが売れれば、メンテナンスも増え職人の技術も活かせる」「ビンテージカーに近い話だが、オーディオ機器でやってるのは、世界レベルで見ても他にない」という。

次の音楽ビジネスの鍵を握る? 2016年・東京カセットテープブーム〔2016年6月7日 HereNow〕

5月に大阪市で開催された「大ラジカセ展」の会場には懐かさを感じる約100台がズラリ。監修したのは東京在住の家電収集家で研究家の松崎順一氏=大阪市北区のロフト梅田店

5月に大阪市で開催された「大ラジカセ展」の会場には懐かさを感じる約100台がズラリ。監修したのは東京在住の家電収集家で研究家の松崎順一氏=大阪市北区のロフト梅田店

《日本で唯一残るカセットテープメーカー》

日本で現在、唯一カセットテープを作っているのは日立マクセル。1966年に国内で初めて発売したのも同社。売り上げは1970年代後半から1980年代にかけて急増し、1989年がピークという。「当時は国内だけで年間5億本以上を販売していた」(同社事業企画部)という。

【素朴なギモン】なぜカセットテープはまだ作られているのか?〔2016年8月29日 &GP〕

ファッションとしても注目される80年代

30歳女性「ラジカセのデザインを見るのは楽しい」

5月には大阪市でラジオ付きカセットレコーダー(ラジカセ)の魅力に迫る「大ラジカセ展」が開催。若い世代の来場も多く、奈良県の販売員、中村沙代さん(30)は「音楽はPCでしか聴かないけど、ラジカセのデザインを見るのは楽しいし、80年代の音楽やファッションはかっこいい」と話す。

アーティスト注目、スマホよりも“ナウい”「ラジカセ」 約100点、梅田ロフトで展示

ラッパーが肩に担いで登場しそうなヒップホップを象徴するシリーズや、赤や白を基調にしたおしゃれなシリーズ、CDを搭載した多機能シリーズなど5つのカテゴリーに分類=大阪市北区のロフト梅田店

ラッパーが肩に担いで登場しそうなヒップホップを象徴するシリーズや、赤や白を基調にしたおしゃれなシリーズ、CDを搭載した多機能シリーズなど5つのカテゴリーに分類=大阪市北区のロフト梅田店

NYのファッションブランドも2016年秋、デザインとしてラジカセに注目

ケイト・スペード ニューヨーク、ラジカセやカセットテープ型の16年秋新作バッグ発売〔Fashion Press〕

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