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【衝撃事件の核心】ネコ不審死、「餌やりに憤慨」も…自分の飼い猫には「餌やって」

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【衝撃事件の核心】ネコ不審死、「餌やりに憤慨」も…自分の飼い猫には「餌やって」

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猫の死骸が見つかった公園に設置された情報提供を呼びかける看板=大田区大森西  東京都大田区の公園や駐車場で相次いだ猫の不審死事件。4月以降、有害物質入りの餌を食べるなどして計45匹の猫が死亡した事件は、住民に大きな不安を与えた。警視庁は9月18日、動物愛護法違反容疑で同区の男を逮捕。男は一連の不審死への関与を認める供述をしており、容疑者逮捕に子供を抱える親たちは安堵の表情を浮かべた。容疑者の男は「野良猫への餌やりに憤慨していた」と動機を供述しているというが、自宅で飼っている猫については「母親に餌をやるよう伝えて」と捜査員に話しているという。(荒船清太、今仲信博)

■前かごから異臭…職質で観念

 「怪しい」。9月18日午前3時20分ごろ、東京都大田区蒲田の路上に、暗闇の中で自転車を降りて立ち尽くしている男を警戒中の警視庁大森署員が発見した。近づくと、自転車の前かごに入ったポリ袋からは異臭が漂い、猫の死骸らしきものが見えた。

 言い訳の着かない状態に観念したのか、男は署員の職務質問に対し「猫に農薬入りの餌を与えて殺した」と認め、署員もポリ袋の中に4匹の死骸を確認。男が「直前に猫の首を絞めて駐車場にたたきつけた」と供述したことから、警視庁保安課が同日、動物愛護法違反容疑で逮捕した。

 男はIT関連会社の会社員、久保木信也容疑者(33)。現場近くの大田区蒲田に住んでいた。「仕事のストレスでやった。野良猫への餌やりに憤慨していた」。久保木容疑者は取り調べに対し、そう供述している。

■自宅には飼い猫 ネットで農薬買い“毒餌”調合

 この日午前1時ごろ、久保木容疑者は農薬入りの餌を数カ所に置いていた。約1時間半後、猫が死に始めるとみられる頃合いを見計らい、久保木容疑者が見つけたのは、首輪が付いた猫の死骸だった。

 「野良猫ではなく、飼い猫が死んだとなると、話が大きくなると思った」。久保木容疑者は証拠隠滅のために猫の死骸を回収。折から警戒中の警察官に見つかったという。

 同課によると、4月以降、大田区蒲田、大森の半径約500メートルの範囲で猫45匹が変死しているのを確認。久保木容疑者はすべてに関与したことを認めている。変死した猫の胃からは農薬の成分が検出され、自宅からも同じ農薬の入っていた空き瓶が見つかった。

 久保木容疑者は当初、他人が野良猫用に路上に置いていた餌にラジエーターの不凍液を混ぜていたが、6月以降は自ら不凍液を混ぜた餌を路上に用意。8月以降は粉末状の農薬をインターネットで買い、液状にして餌に混ぜて“毒餌”を調合するなど、犯行はより巧妙化していったという。

 捜査関係者によると、久保木容疑者は捜査員に対し、「自分が自宅で飼っている猫が心配なので、母親に連絡して世話をするよう伝えて下さい」と要求したという。捜査関係者は「飼い猫でも野良猫でも猫は猫。虐待は許されない」と憤慨する。

■住民安堵も「物騒なことばかり」

 同区大森西の公園に5歳の長男と生後6カ月の次男を連れて訪れていた女性会社員(40)は、「有害物質入りの餌を置くなんて、本当にやめてほしかった。子供が触ったらと思うと、怖くて不安だった」と憤りを隠せない様子で語った。

 住民らによると、周辺は以前から野良猫が多い地域だったというが、蒲田の70代の女性は「以前は歩いていると猫を見ない日はなかったが、ここ最近は猫を見かけることがなくなった」と語る。

 事件が地域住民に与えた不安は大きく、長男(2)を抱える大森南の自営業男性(40)は「いつも子供から目を離さないようにしていたが、騒ぎが起きてからは不審物に対しては一層気を付けるようにしていた」と話した。

 容疑者の逮捕に、長女(3)を連れた蒲田に住む女性会社員(35)は「動物を虐待したら標的がどんどんエスカレートするという話を聞いたことがあったので、早く捕まってほしいと思っていた」と胸をなで下ろした。蒲田の無職女性(80)は「捕まって良かった。小さな子供が(有害物質入りの餌を)拾ったりしたら大変だと思っていた。盲導犬が虐待されるなど、最近は物騒なことばかりだ」とまゆをひそめた。

 蒲田二丁目自治会の真崎暉雄(てるお)副会長(80)は「地域の高齢者からは『猫の死骸を見るのは嫌だ』という声をよく聞いた。ほっとしたし、これ以上騒ぎが大きくならないことを祈りたい」と話した。

■餌やりで住民トラブルも…「話し合いの場を」

 ただ、両地区付近では野良猫への餌やりなどをめぐり、住民間のトラブルもあったという。住民によると、ペットを飼うことができない集合住宅に住む人らが、公園などで人目を忍んで野良猫に餌を与えており、庭がある家では糞(ふん)や尿をされる被害が後を絶たないという。

 梅屋敷駅近くの商店街にある和菓子店の男性店主(65)は「この近所でも野良猫に餌をあげている人はいる。猫に罪はないだろうが、糞や尿の臭いはすごい」。

 捜査関係者も「野良猫に対する住民の不満があるのも確か。皆に納得のいく野良猫の管理の模索も必要ではないか」としている。

 大田区では動物愛護の観点から、原則的に猫を捕獲して殺処分することはしていないという。その一方、区では飼い主のいない猫に不妊手術などを施し、「地域猫」として飼う取り組みを推奨している。雄猫の去勢手術には4240円、雌猫の不妊手術には8480円の助成金を出している。

 「『地域猫』のすすめ-ノラ猫と上手につきあう方法」の著者、黒沢泰さん(57)は「地域猫の活動には住民の同意が必要で、ルールを作って見守ることが大事」と強調する。その上で、「今回の事件のように猫に有害物質を与えるような行動は行き過ぎだが、野良猫の存在に不満を持っている人も多い。地域猫としてうまく付き合うには、住民間で話し合いの場所を作って糞の清掃などの対策を決めていく必要がある」と説明した。

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