ボンベ使い回しのダイビングツアーで「花嫁」は“殺された”
更新ダイビングの基本ルールの1つに「バディ・システム」がある。「バディ」と呼ばれるパートナーと行動をともにし、互いの近くで動向を注視することで、安全を確保するシステムを指す。大井さんのバディはガイドの1人だったが、ガイドは大井さんにまったく注意を払っていなかった。
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例えば、バディ同士は潜水前、互いの空気ボンベのバルブの開放状況を確認するのが通例だが、ガイドは確認を怠っていた。さらに、水中では終始、大井さんから離れた位置で潜水。大井さんが溺れ、隊列からはぐれた際も気づかず、他の参加者らとダイビングを続けていた。
ガイドの基本ルールの無視はこれだけにとどまらなかった。空気ボンベは1回のダイビングが終わるごとに取り換えるのが普通だが、この日の参加者全員が1回目に使ったボンベを2回目も使い回していた。空気の残量によっては重大な事故に繋がりかねない危険な行為だ。大井さんの父親は「ツアーにかかる経費を抑える目的があったのではないか」と推測する。
グループ編成に無理?
ダイビングの基本ルールを忠実に守っていれば、事故は避けられた可能性が高かった。ダイビング中の事故としては異例の刑事事件に発展し、ガイド2人は罰金刑が確定したが、それだけ安全対策のずさんさが際立っていたといえる。