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【主張】チバニアン 地学教育見直しの契機に

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産経新聞

 地球の磁場(N極とS極)に反転が起きた。ネアンデルタール人やマンモスが生息していた。

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 46億年にわたる地球の歴史のなかで、現在の人類の直接の祖先が現れる前の一時代(約77万年前から12万6千年前まで)が、「チバニアン(千葉時代)」と命名される可能性が高まった。

 地質年代を代表する地層を世界で1カ所だけ選定する国際地質科学連合の1次審査で、日本チームが申請した千葉県市原市の地層がイタリアの2候補を抑えて最終候補に選ばれたのだ。

 決定までには、さらに3段階の審査があるという。「千葉」が有力とされたのは、77万年前に起きた地磁気の逆転現象を明瞭に確認できるからだ。このまま正式に千葉が選ばれれば、115の区分がある地質年代の1つに初めて日本の名前が付くことになる。

 「チバニアン」が有力になったことで、地球史をこれまでよりも身近に感じ、地磁気の反転やネアンデルタール人に興味を抱いた人もいるだろう。正式に選定され、理科や地学の教科書に「チバニアン」が掲載されれば、中学、高校生が地球の歴史に関心を寄せる契機になる。

 気がかりなのは、高校生の地学離れである。入試で地学を課す大学、学部が少ないために地学の履修率は物理、化学などに比べて低い。特に、理科系志望の生徒で地学を履修する生徒は極めて少ないのが現状だ。

 地学は地震や火山噴火、気象、古生物学から天文学までも含む幅広い学科である。

 だが現状では、高校での地学教育が大学の専門教育や研究につながっていないのだ。

 日本列島は地震の活動期に入ったとされ、台風や集中豪雨は強大化する傾向にある。地球規模でみても、気候変動や資源、エネルギー問題などの重要課題が、地学にかかわる。

 自然災害から、命を守るためにも。環境や資源などの恵みをできるだけ損なわずに次世代に引き継ぐためにも。基礎となる教養として地学の重要性が高まっていくことは間違いない。

 それにもかかわらず、高校の理科教育と大学入試に、地学の大切さが反映されていない。

 「チバニアン」で高まった地球への関心を、地学教育の改革につなげる工夫が必要だ。

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