“亡命未遂”の重慶副市長、広がる波紋
2012/02/12 18:02更新
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【北京=矢板明夫】中国中南部の重慶市の王立軍副市長が6日に米総領事館に一時駆け込み、その後中国当局に身柄拘束されて「休養」が発表された事件が中国内外で大きな波紋を広げている。中国の次期指導部を決める秋の共産党大会を控え、各派閥による激しい権力闘争が表面化したと指摘されているほか、事件が習近平国家副主席の訪米直前に起きたことから、米中関係にも微妙な影響を与えるとの見方も出ている。
王氏は遼寧省公安局幹部だった1990年代に数々の難事件を解決したことで、後に遼寧省長になった薄煕来氏に評価され、薄氏の腹心の一人となった。薄氏は薄一波元副首相の子息で党の高級幹部子弟で構成される「太子党」の中心人物の一人。今年秋の党大会で最高指導部入りが確実視される大物政治家の一人だ。
王氏は2008年、重慶市書記に転出した薄氏に引き抜かれる形で重慶市公安局副局長となり、薄氏の功績とされる黒社会(暴力団)一掃キャンペーンを主導。暴力団との癒着を理由に複数の元重慶市高官を逮捕し、裁判で死刑に処したことが大きな反響を呼び、王氏はメディアに「英雄」と宣伝され、副市長兼公安局長に抜擢(ばってき)された。
しかし、王氏の強引な手法は数多くの冤罪(えんざい)事件を生み出したとされ、党内から多くの批判が寄せられた。昨年末から「経済問題で党中央規律検査委員会の調べを受けている」との噂がインターネットで出回り、今月2日に兼任していた公安局長を突然解任された。「王氏への捜査は、その親分である薄氏の中央入りを阻止したい政敵が主導した可能性が高い」(共産党筋)という。
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記事本文の続き 王氏が今回突然、米総領事館に駆け込んだのは、捜査の手がいよいよ身辺に迫り、このままだと自分も処刑されるとの危機感があったためとされる。しかし、結果的に米総領事館を巻き込んだことは、薄氏の政治生命に大きなダメージを与えるだけではなく、習近平氏が率いる太子党の求心力にも影響を及ぼす可能性がある。
米大使館は、亡命を求める中国の知識人を受け入れたことがあったが、王氏は米国総領事館内に約24時間とどまっただけだった。政治亡命の要求を米国が拒否した可能性が高い。習氏訪米を前に、米中間の外交問題にさせなかったことで米国は中国に大きな「貸し」を作ったともいえ、習氏との交渉では米国側が有利になったとの見方もある。
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