揺れる「インド洋の首飾り」 モルディブ政変1週間 新旧大統領の対立激化
2012/02/14 00:15更新
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日本から新婚カップルなど年間約4万人の観光客が訪れるインド洋の人気リゾート地、モルディブで政変があり、モハメド・ナシード前大統領(44)が辞任してから2月14日で1週間。前大統領と新大統領との間の対立が激しくなり、情勢が不安定化する中、ナシード氏に出された逮捕状が執行されるかが焦点となっている。ナシード氏が拘束されれば支持者の反発は必至で、警察や軍との衝突も予想される。日本の外務省は、首都マレへの不要不急の訪問は控えるよう呼びかけている。
■「辞任は強要されたもの」
ナシード氏はモルディブで初めて民主的に選出された大統領で、2008年10月の大統領選挙でそれまで30年政権の座にあったマウムーン・ガユーム元大統領(74)を破って当選した。ガユーム氏は言論を弾圧し、政治犯を数多く摘発したことで知られ、元記者のナシード氏も政治犯の一人だった。ロイター通信によると、ナシード氏はガユーム独裁政権下で27回逮捕され、通算6年投獄された経歴を持つ。
約1200の島々から成るモルディブでは1月中旬以降、ナシード氏がガユーム氏寄りで知られる判事の逮捕を命じたのを契機に反ナシード派のデモがマレで拡大。共同通信によると、「判事はガユーム政権下の汚職で逮捕された人物を釈放するなど、ナシード氏には煙たい存在だった」(外交筋)という。
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記事本文の続き (2月)6日に情勢が緊迫。7日には軍部隊がデモに加担した警官にゴム弾を発射するなど衝突が起きた。警官らは国営放送局を占拠、軍の一部も離反するなど窮地に追い込まれたナシード氏は「権力を維持し続ければ、多くの市民が危害を受ける」と述べ、辞任した。だが、辞任翌日の8日、ナシード氏は支持者の集会で「(軍や警察の関係者から)銃を突き付けられ、辞任を強要された」と述べ、自発的な辞任ではなく、事実上のクーデターだったとの認識を示した。さらにナシード氏は、強要の場には副大統領から昇格したモハメド・ハッサン新大統領(59)もいたと証言。ハッサン氏の辞任を求め、「早期の選挙実施」を訴えている。
ナシード氏は低所得層向けの住宅対策や医療保険の導入などの改革を実行。だが、ガユーム政権下で優遇された地主らの不満は逆に高まっていた。また、警察内ではかつて弾圧対象だったナシード氏に仕えるのを不快に思っていた幹部も多かったという。
■逮捕状執行「必要な時に」
モルディブの裁判所は9日、ナシード氏の逮捕状(容疑不明)を出したが、警察当局者は「令状は必要な時に執行する」と表明、しばらく事態を見守る考えを示している。
地球温暖化の影響で水没の危機に瀕(ひん)する島嶼(とうしょ)国の救済を求める環境政治家としても知られるナシード氏は12日、自宅で記者団に「ここで何が起きているかを国際社会が注目してほしい」と訴えた。だが、反応は鈍く、わずかに隣国インドのマンモハン・シン首相(79)が「地域の安定のために、対立する双方が話し合いのテーブルに着く仲介をする用意がある」と述べたに過ぎない。米政府は10日、国務省のビクトリア・ヌランド報道官(50)が「新政権は合法的に発足している」と語り、ナシード氏とは距離を置く構えだ。
モルディブは観光業が国内総生産(GDP)の約25%を占める。美しい環礁に恵まれ、「インド洋の首飾り」とも称されるモルディブに平穏が戻るのはいつか。
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