【アメリカを読む】習近平氏訪米 首脳級厚遇で「先行投資」
2012/02/13 10:44更新
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中国の次期最高指導者への就任が確実な習近平(しゅう・きんぺい)国家副主席(58)が2月13日から5日間の日程で訪米、バラク・オバマ大統領(50)との会談など、本格的な米国デビューを飾る。父親が元副首相の習副主席は高級幹部の子弟を意味する「太子党」の代表格。米国内での人物評も「率直かつ積極的で、カリスマ性がある」と上々だ。内向的で冷徹との評価もある胡錦濤(こ・きんとう)国家主席(69)=共産党総書記=の印象を払拭し、「ギブ・アンド・テーク(譲り合い)」の米中関係構築への期待感もあり、米国側は「将来への投資」として習副主席を首脳級の扱いで厚遇する。
■対人関係の構築に焦点
「習近平氏にとって重要なのは、(訪米中に)ミスを犯さず、世界が(最高指導者への)昇進に敬意と歓迎、評価を示していることを表す(米国側の)歓待を受けることだ」
ブッシュ前政権で国家安全保障会議(NSC)のアジア上級部長を務めたマイケル・グリーン氏は、習副主席が今秋の党総書記への昇進(国家主席就任は来年3月の見込み)を控え、訪米中は慎重な言動に終始するとの見方を示した。
国家主席就任前年の2002年に胡主席が訪米した時と同様、オバマ政権も今回の会談の「成果に関する期待値を下げ、対人関係の構築に焦点を絞るだろう」と分析する。
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記事本文の続き 実際にダニエル・ラッセルNSC上級部長は、今回の訪米で両国関係の「新天地が開拓されるとの期待はない」と述べ、今秋以降を見据えて経済や安全保障で米国側の問題意識を明確に伝達する意向を示している。
■メンツ重視の中国
今回の訪米では、習副主席に首脳級待遇を施す米国側の歓待が特色的だ。メンツを重んじる中国では、どのような扱いを習副主席が受けるかに「ことさら神経質になっている」(米中外交筋)とされ、オバマ政権も中国側の懸念に最大限の配慮を示している。
訪米中のホスト役はジョゼフ・バイデン副大統領(69)で、14日はホワイトハウスの大統領執務室でオバマ大統領と会談。昼食会はヒラリー・クリントン国務長官(64)が主催し、国防総省への訪問では、レオン・パネッタ国防長官(73)とマーチン・デンプシー統合参謀本部議長(59)が出迎える。
米議会や財界の指導層との意見交換も予定され、アイオワ州への訪問にはトム・ビルサック農務長官(61)、カリフォルニア州にはバイデン副大統領が同行する。
胡主席が昨年1月に国賓として訪米した際と異なるのは、歓迎式典での21発の礼砲がないことと、晩餐会を大統領夫妻ではなく、バイデン副大統領夫妻が主催することくらい。
米議会調査局でアジア情勢を担当するスーザン・ローレンス専門官は、オバマ政権が中国側の望み通りに外交儀礼を施すことで「米国が重視する経済問題などの進展を引き出してきた」と述べ、厚遇は将来をにらんだ“先行投資”との見方を習副主席訪米に関する調査報告書で示している。
■一部では激しい応酬か
ローレンス専門官によると、米国は「かたくなな共産党員」だった胡主席時代と異なり、今秋以降の習政権下で「相互理解を見い出すための建設的な協議を通じ、戦略的な信頼関係の構築」を現実化する思惑を強めているという。
その背景にはバイデン副大統領が習副主席を「開放的で率直」と語り、ヘンリー・キッシンジャー元米国務長官(88)が「胡錦濤氏より積極的で、存在感がある」などと肯定的に評価していることも強く影響しているようだ。
ただ、米国には議会を中心に割安な人民元による輸出攻勢への反発が強く、海洋覇権をむき出しにした南シナ海の領有権問題、チベット弾圧などの人権問題でも厳しい視線が向けられている。
ラッセル上級部長も習副主席の「訪問を快適にするという目的で、重要問題を犠牲にすることはない」としており、一部では激しい応酬が展開される場面もありそうだ。
(ワシントン支局 犬塚陽介(いぬづか・ようすけ)/SANKEI EXPRESS)
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