【今、何が問題なのか】教科書もダウンロードで
2009/06/16 16:47更新
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米カリフォルニア州のアーノルド・シュワルツェネッガー知事(61)が、高校教科書のデジタル化を表明した。無料でダウンロードできるようにする。州の財政負担を減らすのが最大の眼目のようだが、デジタルにすれば必要なとき、ただちに内容を更新でき、生徒のかばんも軽くなるという。きょうのテーマは「教科書もダウンロードで」とした。
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シュワルツェネッガー知事は地元紙サンノゼ・マーキュリー・ニューズにこう書いた。
《今日、子供たちは必要な情報をインターネットで入手している。アイポッドや携帯端末にダウンロードし、ポケットに入れて持ち運ぶこともできる。なのになぜ、彼らは古めかしくて重たく高額な教科書を持ち歩かなければならないのか…。
カリフォルニア州はソフトウエアの巨大企業が拠点を置き、生命科学のパイオニアがいて、一流の大学を擁する。なのになぜ、子供たちは(活字印刷術を発明した)グーテンベルクのフォーマットで学ばなければならないのか…》
■ニュースを即掲載
シュワルツェネッガー知事の構想では、高校教科書はインターネットでだれでもアクセスでき、無料でダウンロードできるものとなる。「数学」と「科学」については、この秋の新学期に間に合うよう、8月にはアクセス可能にするという。
教科書のデジタル化を推進し、知事への提言も行った非営利団体CK-12のニール・コスラさんが、クリスチャン・サイエンス・モニターなどに語ったところでは、デジタルの最大の利点は、内容の更新が簡単なことだ。2006年、太陽系の冥王星が惑星の条件を満たしていないと判断された。しかし、教科書では相変わらず、惑星として扱われているのが実情だ。
米国各州ではおおむね6年おきに教科書を代える。知事は「この6年をみても、イラク戦争やこの国で初めてのアフリカ系大統領の誕生など、さまざまな出来事があった。しかし、教科書には何も載っていない」と語った。
■格差を懸念
AP通信によると、カリフォルニア州の公立学校のコンピューターの設置状況は、4人に1台の割合にとどまる。教科書のデジタル化に反対する人たちは、すべての学校で1人1台のコンピューターを確保しなければ、学校間あるいは生徒間に格差が生じると主張する。CK-12は、ダウンロードしたものをプリントして配ればよいという立場だ。
一方、知事は教科書のデジタル化で、教育予算の削減をもくろんでいる。デジタルなら、コンテンツに対する支払いは必要としても、製本や本の保管、輸送などに経費がかからなくなる。「州の財政事情は厳しい。やれることはすべてやる」という。
ただし、教科書のデジタル化がただちに節約につながるかどうかには疑問符がつく。最初は、試験期間として従来の教科書と併用する学校が出てくると見込まれる。また、デジタル化に向け、コンピューター関連の設備の充実が急務となり、このため、負担増となる恐れもある。
■学校から消える日
とはいえ、反対意見といっても、対応できない、節約にならない、といっているだけで、教科書のデジタル化そのものを否定しているわけではない。大学レベルでは、インターネット経由の資料の配布やアイポッド向けの講義内容の配信などがすでに行われており、教材はデジタル化の方向にある。
教科書のデジタル化は、イリノイ州でも検討されているが、人口の多いカリフォルニア州で普及した場合、多くの州が追随する可能性があるという。日本はどうだろう。教科書が消える日がやってくるのだろうか。
(内畠嗣雅(うちはた・つぐまさ)/SANKEI EXPRESS)
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【関連記事】【今、何が問題になっているのか】もはや夢のカリフォルニアではない? (2009(平成21)年3月2日付EX)
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