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【国際情勢分析】13億人の市場開拓へのキーワードのニュース本文

04/01 16:04更新

 13億人の消費市場をいかに開拓するか。欧米経済がたどる下降線に反比例して、「市場としての中国」への渇望感は高まるばかり。しかもそれは中国に向かう一方通行とは限らない。

 2008年に中国は個人消費が急増するとされる「1人当たり国内総生産(GDP)3000ドル(約29万4000円)」の転換点を越えた。豊かさに目覚めた中国の消費者もまた、商品やサービスへの渇望感を高めているのだ。

 ジェトロ(JETRO=日本貿易振興機構)上海センターが上海市内でこのほど開いた緊急シンポジウム「市場としての中国に挑む」。出席した3人の中国マーケティング専門家の発言の中に「キーワード」を探した。

 ■「80後」と「90後」

 中国市場戦略研究所の徐向東(じょ・こうとう)氏は、「バーリンホウ」と中国語で呼ばれる1980年以後に生まれた20歳代後半までの若者、さらには90年以後に生まれた「ジョウリンホウ」世代の消費行動に注目している。日本で消費力が強いのは、団塊世代など「大人」が中心だが、中国では改革開放政策が始まった後に一人っ子として育った「若者」が消費を牽引(けんいん)しているというのだ。

 情報収集でインターネットへの依存度が高く、スターやカリスマに感情移入しやすい。ファッションのコーディネートを個人のデータに基づいてネット上でアドバイスしてくれる衣料メーカーの人気が急上昇した。

 上海で流行するファッションは日本のデザインをまねたケースが多いが、実のところ日本メーカー製のものはあまり売れない。徐氏は、「中国の若者に向けた日本企業の提案力が弱いからではないか。欧米企業に比べて日本は中国での『ブランド作り』が弱い」と話している。

 ■「4倍速」の経営

 レッド・ワサビ・マーケティングコンサルタントの片木康行(かたぎ・やすゆき)氏は企業戦略の「スピード」が欠かせないという。中国の消費者は「新しい商品」への関心が強いが、このことは「好み」が変化しやすいことも意味する。上海商業職業技術学院客員教授の張晟(ちょう・せい)氏は、経営意思の決定や実行に「日本企業は4倍速が必要」とまで表現した。

 化粧品や携帯電話など高額商品から売れる傾向がある都市部で、ネットでの意識調査など商品ニーズのくみ上げと、好みの変化を先取りできる商品開発や供給態勢がとれるかどうかがカギになる。日本の本社の役員会の経営判断を待っているうちにニーズはどんどん変化する。

 ■中国人の「価値観」

 張氏はさらに「中国人の『価値観』をどこまで尊重しているか」を企業戦略に問う。日本で売れる良い商品が必ずしも中国人に受け入れられるとはかぎらない。文化や習慣の違いを徹底研究せずに日本中心の考え方をそのまま中国に持ち込んではいないか。過去の成功体験は、中国には当てはまらないという。

 2005年に中国各地で起きた反日デモの後、「日本製品に対する購買意識が変わった」とする回答が58%に及んだとの調査結果がある。技術力や先進性、ファッション性など日本製品へのあこがれがある半面、素直に好きとはいえない複雑な意識が潜んでいることは見過ごせない。
 (上海 河崎真澄/SANKEI EXPRESS
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