提供:
Copyright©2006-2010 SANKEI DIGITAL INC. All rights reserved.
11/14 07:20更新
3日目を終えた政府の行政刷新会議の事業仕分け作業に、地方自治体の首長や業界団体、各省庁から批判が相次いでいる。その理由は「拙速だ」、「人民裁判のようだ」など多種多彩だが、「大切な予算をなんとか削られたくない」という気持ちだけは共通しているようだ。
13日、民主党に九州横断自動車道延岡線整備促進を陳情した宮崎県知事の東国原英夫知事は、民主党の幹事長室を陳情の窓口に一元化する同党の「新陳情システム」について、記者団から聞かれると「大名行列のような“霞が関詣で”がなくなるなら歓迎だ」と持ち上げてみせた。
しかし、行政刷新会議の事業仕分け作業に質問が飛ぶと一変した。「けしからん。交付税は地方の固有の財産だ」「うち(宮崎県)でも(仕分け作業を)やったが、国は拙速だ。廃止とか結論づけられるのには時間が足りない」。東国原氏が攻撃したのは、仕分け人が1時間という短い時間で結論を出す「拙速さ」だった。
鹿児島県の伊藤祐一郎知事も13日の記者会見で「簡単に短時間で結論を出せるようなものは少ないと思う」と、決定までの時間の短さに疑問を呈するなど、地方自治体の首長からは同様の批判が出ている。
一方、事業に関係する団体からは「専門家ではない素人に判断ができるのか」という声が出ている。
診療報酬の点数配分を決める中央社会保険医療協議会(厚生労働相の諮問機関、中医協)の13日の診療報酬基本問題小委員会では、行政刷新会議の事業仕分けで、来年度の診療報酬改定の方向性が示されたことに批判の声が相次いだ。
「司会が感情的で、人民裁判ような怖い感じがした」(鈴木邦彦・茨城県医師会理事)、「法治国家なのだから、法律に基づいて、きちんと手続きを踏んでほしい」(白川修二・健康保険組合連合会常務理事)…。
11日の事業仕分けでは、1時間程度の議論で、開業医と勤務医の収入格差の是正や収入の高い診療科の診療報酬見直しなどの方向性が決定されたが、中医協は今月に入り週2回、3時間以上もかけて診療報酬改定の具体的な内容を検討しており、刷新会議に仕事を奪われた格好だからだ。
予算を切られる側の省庁からは「担当省庁に任せてほしい」という声が噴出している。
北沢俊美防衛相は13日の記者会見で、在日米軍駐留経費負担(思いやり予算)が行政刷新会議の事業仕分けの対象となったことについて「米国との関係も考慮し、もう少し防衛省の方に(交渉を)任せてもらい、その進展を見てからということにしてもらいたい」と懇願するように語った。
このほか、所管の農道整備事業などが廃止判定された赤松広隆農水相のように「見直し基準をちゃんとしてほしい」と判定基準を問いただす声や、従来の予算編成のように「復活折衝」に望みをつなぐ声もある。行政評価局の業務が仕分け対象になっている原口一博総務相は「(行政評価は)わたしたちにとってツール。戦うのに刀を捨てる愚かな人間はいない」と仕分け人たちの判断自体に疑問を呈した。
こうした事業仕分けに対する批判について、仙谷由人行政刷新担当相は「政治の文化を変えることになる大変意義のある試みだ」と理解を求めているが、批判は今後も収まりそうもない。