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01/08 00:12更新
「収束」が宣言され、安定したはずの福島第1原発で、汚染水を浄化して原子炉冷却に使う「循環注水冷却システム」のトラブルが相次いでいる。厳冬期を迎え、ホース内の汚染水凍結の懸念やホースの劣化といった新たな問題が生じている。
■異常な膨れあがり
昨年12月22日、循環注水冷却システムの点検をしていた作業員は自らの目を疑った。
直径約8センチのホースの一部が異常に膨れあがり、表面には亀裂が発生していた。水漏れこそなかったが、16日には野田佳彦首相(54)が事故収束宣言をしたばかり。原発が「安定」とはほど遠い状況であることを示す光景だった。
ホースは交換されたが、膨れた原因は、いまだ不明のままだ。
東京電力の松本純一原子力・立地本部長代理は「連続して使っているうちに劣化した可能性がある」とした。ホースは塩化ビニール製で昨年6月ごろ設置された。夏の強い紫外線にさらされたホースが、寒さで硬くなり破損しやすくなっている可能性があるという。
冷却システムでは全長約4キロの配管が使われている。一部は金属製だが、ほとんどはビニール製のホースが使われている。「他のホースでも同じ状況になる可能性はある」(東電社員)のが現状だ。
昨年11月には、ホースに1ミリ程度の小さな穴が計22カ所で見つかった。敷地内に生えるチガヤというイネ科の多年草の鋭い葉先がホースに刺さり、穴を開けた可能性が指摘されている。12月29日には実際に葉が刺さっているホースも見つかった。
ホースの補強や素材の再検討を迫られるのは必至で、思わぬ事態に関係者は頭を悩ませる。
■対策に限界
汚染水が凍結する懸念も高まっている。原子炉への注水に使われているホースは常に水が流れているため凍結の心配は少ないが、非常時の給水ホースや汚染水浄化装置のホースは、水が流れていないときもあり、凍結が心配されている。
東電ではホースに断熱材を巻き始めた。しかし、中には放射線量が高くて近づけず、断熱材を巻けない場所もある。こうした場所では、天気予報で最低気温が氷点下5度を下回る場合など、水を流して対処する。
東電は「対策を講じることで凍結は防げる」としているが、現在の対策で、どの程度の気温にまで対応できるかは不明だ。
さらに、水を流す対策にも限界がある。循環注水冷却システムは、汚染水の浄化と原子炉への注水量のバランスが大切で、凍結防止対策で大量の水を流せばバランスが崩れてしまうことになるからだ。
大阪大の宮崎慶次名誉教授(原子力工学)は「仮設の施設なので、予期せぬトラブルはいつどこで発生してもおかしくない。点検をこまめにするしかない。東電は少しでも早く恒久的な設備を用意すべきだ」と指摘している。(原子力取材班)