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11/27 19:25更新
ついに一時、1ドル=84円台に突入し、大揺れの日本経済。パナソニックや日産自動車の首脳からは経営を直撃する円高に悲鳴が上がる一方、円高で安く商品を輸入できる流通業界からは早くも円高還元セールの告知が舞い込んできた。専門家のなかには「80円突破」を予測する向きも多く、円高狂想曲はしばらく収まりそうもない。
27日は、ドバイ首長国の政府系持ち株会社の資金繰り不安という新たな問題が浮上し、ドルを売って円を買う動きがさらに加速。シドニー外為市場では朝方に一時、1ドル=84円82銭を付けた。東京市場は86円台前半で推移している。
急激な円高の背景には2つの要因が絡み合っている。1つは、米国経済の回復が思ったほど進まず、超低金利がしばらく続くとみられていることがある。「低金利のドル資金を調達してマーケットで売却、他国通貨にして投資する『ドルキャリー取引』が活発化している。ドル売りが必然的に円高につながっている」(外資系証券)というわけだ。
さらに円高に拍車をかけているのが、日本政府の対応のまずさだ。藤井裕久財務相はこれまで、円高放置の姿勢を示してきたため、「(円高が進行しても)すぐには市場介入をやりそうもないと市場は判断」(FXオンラインの水野浩一郎・経営戦略部長)し、安心してドルを売る(円が買われる)環境をつくってしまった。
当然、今後もさらなる円高を予想する専門家が多い。
三菱UFJ信託銀行の酒井聡彦・資金為替部営業推進役は「為替介入に対し、政府が一枚岩でない。年内に1ドル=80円まで進むことも想定する」と予想。
第一生命経済研究所の永浜利広主席エコノミストも「政府の介入がなければ、80円割れもあり得る」とみる。1995年4月19日に記録した史上最高値、1ドル=79円75銭を超える可能性もあるわけだ。
急激な円高は輸出関連企業を直撃。トヨタ自動車の場合、対ドルで1円円高が進むと300億円の営業利益を失う。同社は年間平均1ドル=93円でみており、年間の平均為替レートが86円となった場合、営業損益ベースで年間2000億円超の利益を失うことになる。ホンダは120億円、日産は110億円の減益要因となる。
電機業界では、パナソニックが1円の円高で20億円、キヤノンが25億円の減益要因となる。
こうした状況に、日産の志賀俊之最高執行責任者(COO)は「正直、90円を割ってくると厳しい」、パナソニックの大坪文雄社長も「経営的には厳しいの一言」と悲鳴をあげる。
一方、海外から商品を輸入、販売している企業にとっては、円高はメリットとなる。
セブン&アイ・ホールディングス傘下のスーパー、イトーヨーカ堂などでは来週にも円高還元セールを実施する方向で検討中。ライバルのイオンも今年10月に円高還元セールを実施していることから、追随する可能性がある。
株式市場では、輸入品の比率が高い流通会社の株が買われている。26日の東京株式市場では、ホームセンターのニトリが同日、前日終値比250円高の7130円で取引を終了。靴販売のABCマートも145円高の2630円となった。
消費者にとっては助かる感じもするが、第一生命経済研の永浜氏は「そうした円高メリットは表面的。トータルでみれば国民生活に大きなマイナスになる」と警告する。
「円高進行で輸出企業の業績がさらに悪化し、給与やボーナスがさらに削られる。そうなると、節約志向が高まり、企業は価格を引き下げて対応する。するとさらに企業の業績が悪化し、賃金のカットは一段と厳しくなるというデフレスパイラルに陥る」(永浜氏)というわけだ。
さらに、円高で輸入品が安くなると、デフレが加速。結果的には安くないと物が売れなくなり、企業全体の収益を圧迫する。
肝心の鳩山政権は予算を削る「事業仕分け」にご執心の様子だが、もっと日本経済を元気にする方策を考えてほしいものだ。