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【主張】31年ぶり貿易赤字 輸出で稼ぐ力を鍛え直せのニュース本文

01/29 03:06更新

 かなり深刻な事態と言わざるを得ない。昨年の輸出額から輸入額を差し引いた日本の貿易収支が、31年ぶりに赤字となった問題である。
 日本は資源や原材料を輸入し、それを加工して輸出することで経済を発展させてきた。売れる製品を作る力が落ちれば、成長も危うくなる。官民挙げて、輸出力を鍛え直さねばならない。
 赤字の主因は東日本大震災と超円高だ。製造業の被災や海外への工場移転によって生産が減少する一方、原発事故の影響で火力発電用燃料の輸入が急増した。
 赤字は一時的、との見方もある。だが欧州債務危機が収束せず、円高や電力不足など輸出に不利な状況はいぜん続いている。楽観は禁物だ。
 何より、政府に危機感が足りない。産業空洞化が加速する現実を直視すれば、安全が確保された原発を順次、再稼働させ電力不足を解消しなければならない。
 さらには、環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)など経済連携協定の拡大によって、海外企業との競争で不利に置かれている状況を改善すべきだ。先端分野の研究開発拠点の国内立地を、減税で支援する措置も欠かせない。
 企業自身も経営戦略を見直すことが必要だろう。やみくもに海外移転しても、生産性や利益が上がるとは限らないからだ。この点、日本の輸出を牽引(けんいん)してきた電機業界の凋落(ちょうらく)が教訓になる。
 サムスン電子など韓国勢躍進の秘訣(ひけつ)は、数千人の「地域専門家」を養成して新興国・途上国の市場を調べ、現地が求める性能と価格帯の商品を開発したことにある。これに対し、日本勢は漫然と高付加価値製品を売ってきた。従来の手法は通用しなくなっている。
 超円高を生かす海外でのM&A(企業の合併・買収)も課題だ。海外進出は本社機能や研究開発拠点が日本に残っている限り、中長期的には国内の雇用拡大にもプラスに働く。海外で得る配当や利子を国内での新製品開発に再投資し輸出力を磨いてもらいたい。
 それでなくても、日本は巨額の財政赤字を抱えている。貿易赤字がさらに拡大し、経常収支までマイナスに転落すれば、国債消化の多くを海外資金に頼らざるを得なくなり、財政の不安定さは増す。野田佳彦政権は、こうしたリスクを肝に銘じねばならない。