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【国際政治経済学入門】政府・日銀は超円高是正の取り決めを

2012/02/15 06:51更新

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【国際政治経済学入門】国内設備投資は円高で押し下げられる。円高是正なしに国内再生は不可能。(注)民間設備投資は各期ごとの1年間合計額 

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【国際政治経済学入門】東京都中央区の日銀本店=2月14日(ロイター)

記事本文

 東日本大震災からもうすぐ1年たつ。復興・再生を考えるとき、1995年1月の阪神大震災後との最大の違いは、円相場である。阪神大震災時は震災前の1ドル=100円の水準から震災から3カ月後の95年4月には83円台をつけた後、一挙に円安基調に転換した。今回は、円高に「超」がつくほどはずみがつき、一向におさまりそうにない。

 統計データを突き合わせてみれば、一目瞭然なのだが、日本の民間設備投資は円相場と逆相関にある(グラフ参照)。円高とともに設備投資は落ち込み、円安基調に転じると回復する。

 阪神大震災時には円安を受けて、95、96年の設備投資の実額規模は94年の水準を維持し、97年には大幅に増加した。今回はそんなパターンは望めそうにない。

 政府は2月の第4次補正を含め、2011年度一般会計予算の総額で過去最大の107兆5105億円を計上した。11年度の3次の補正と12年度予算を含め、政府の復旧・復興事業予算は総額18兆円に上る。復興予算の執行が本格化すれば、景気は上向くと内閣府エコノミストは言うが、政府予算はいわゆるバラマキ型であり、被災地などごく一部の地域で個人消費を刺激していても、民間投資がついてこなければ一過性に終わる。増税しては予算をばらまく安直な野田佳彦政権には民間投資を引きつける中長期的な復興・再生戦略が欠けているが、嘆いても時間だけが過ぎていく。

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記事本文の続き せめて超円高が是正されるだけでも企業の国内投資マインドは好転するはずだ。

 ■技術ごと海外進出

 ところが野田政権には超円高に対する危機感が乏しい。出てくるのは、5円上昇するたびに行う外国為替市場での円売り・ドル買い介入や、外為特別会計のドルを使った企業の海外企業買収支援など「円高対策」なのだが、前者の効果は一時的だ。後者に即効性はない。そもそも企業の直接投資は国内設備投資のあとをついてくる。直接投資はリーマン・ショック後に年間10兆円減った後、昨年6兆円増加したが、国内設備投資はリーマン前に比べて年間15兆円も減ったまま回復しない。

 言い換えると、産業の空洞化に拍車がかかっているわけだが、従来の空洞化とは訳が違う。中小企業が海外流出を恐れて国内に秘匿していた生産技術をそっくり中国など海外に移すケースも相次いでいる。大企業も炭素繊維など最先端技術を引っさげて対外進出している。国内と連動しない一方的な対外投資は日本衰退の表れであり、それを政府が推進するのは何とも奇々怪々である。

 では、どうすればよいか。

 海外の投資ファンドにとってデフレが慢性化している日本の円資産はモノに対して確実に値打ちが上がるので安全このうえない。国債など金融商品の値打ちはインフレ分を加味した実質金利で決まる。円の実質短期金利はドルに比べて年3.5%以上も高い。だから、ドルやユーロの国債を売って日本国債を買う。しかも、米連邦準備制度理事会FRB)や欧州中央銀行(ECB)が多少のインフレを覚悟してでも資金を創出しているのに比べ、日銀の「包括緩和」政策は小出しで終始している。通貨の交換レートはお札の需給関係で決まるのだから、じゃぶじゃぶ刷られるお札の交換レートが下がるのは市場原理として当然の帰結である。リーマン後しばらくの間、デフレに反応しなかった白川方明総裁もようやく「脱デフレ」を口にするようになったが、「インフレ目標」まで打ち出したFRBバーナンキ議長が日銀政策の後を追っているとうそぶく始末で、お札を刷ろうとしない。

 そんなことから、与野党を問わず、最近では日銀政策が超円高の元凶ではないか、という批判が政界で高まりを見せている。「日銀法を改正すべし」といきまく議員も多くなってきた。公的債務の増大ぶりから見ても、財政上の制約が大きい以上、金融政策への圧力は今後さらに大きくなるだろう。

 ■インフレ警戒体質

 だが、日銀をいくら攻め立てても、デフレよりもインフレを恐れる体質が染みついている日銀官僚が政策リスクをおいそれと単独で背負うはずはない。日銀は何しろ、1980年代後半の超金融緩和政策がバブルを引き起こしたと批判され、90年代初めには一転して急激な金融引き締め政策をとってバブルを一挙に崩壊させた。金融緩和インフレバブルを招き寄せるのを極端なまでに警戒する。

 そうなら、政府がまず脱デフレと超円高是正の明確な政策を打ち出し、インフレになった場合の責任を政府が引き受けるくらい思い切った取り決めを日銀と結ぶべきだ。野田首相は「白川総裁とひざを突き合わせて話しあう」と繰り返すが、「協力」を求めたところで白川さんに「日銀政策委員会の同意があればよいのですが」と受け流されるのがオチだろう。

 (産経新聞特別記者 田村秀男/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ≪大手町Newsカレッジ≫

 講座番号  :3-6

 講座タイトル:消費増税で日本は自滅する

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 講  師  :田村秀男(たむら・ひでお) 産経新聞特別記者

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 産経新聞本社 会議室(東京都千代田区大手町1-7-2)

 3000円(講座申し込みのうえ事前に郵便振替でのお支払い)

 申し込み http://www.newscollege.jp/

       ◇

 【問い合わせ先】

産経新聞社カレッジ事務局 (http://www.newscollege.jp/inquiry/

〒100-8077 東京都千代田区大手町1-7-2

TEL:03-3243-9828 FAX:03-3279-6342

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