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【将来人口推計】衝撃の数字に飛びついた民主

2012/01/31 10:13更新

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SANKEI_EXPRESS__2012(平成24)年1月31日付EX(7面) 

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【将来人口推計】少子高齢化の進展が見込まれる中、年金制度の抜本的な見直しは不可欠だ。写真は東京駅前の通勤風景=2009年11月20日、東京都千代田区(中鉢久美子撮影)
【将来人口推計】何人で高齢者を支える?

記事本文

 ≪5人に2人が65歳以上 「肩車型」社会へ≫

 現在、65歳以上の高齢者は4人に1人(全人口の23%)。平均寿命の伸びなどで高齢者の割合は23年後に「3人に1人」、50年後に「5人に2人」に拡大する。これに対し、15~64歳の生産年齢人口は2010年の63.8%を頂点に減り続け、50年後に50.9%に落ち込む。生産年齢人口を社会保障制度を支える現役世代と仮定すると、高齢者1人を2.8人の現役世代で支える今の「騎馬戦型」が、50年後には1人を1.3人で支える「肩車型」へと変化する。

 年金や医療などの社会保障経費は膨張し、現役世代の保険料負担が激増する。政府・与党が一体改革で、5%の消費税増税分のうち1%(約2.7兆円)を社会保障費の自然増に充てる対策へと乗り出したのは、こうした事態に陥らないようにするためだ。だが、自民、公明両党の協議拒否で法案は成立のメドが立たない。さらに、年金、医療、介護の各制度で高齢者の負担増・給付カットにつながる政策を先送りしたこともあり、法案が成立しても、超人口減少社会に耐え切れる制度になるとは言い難い。

 (SANKEI EXPRESS

       ◇

 ≪衝撃の数字に飛びついた民主≫

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記事本文の続き 厚生労働省が1月30日に発表した将来人口推計は、超人口減少社会へと向かう日本の姿を映し出した。社会保障制度の抜本改革は待ったなしだが、政府・民主党は議論の前提となる数字すら明らかにしようとしていない。野田佳彦(よしひこ)首相(54)は30日、参院本会議で、最低保障年金創設など民主党の新年金制度実施に関し、「相当長期の移行期間を要する。(消費税率を10%に引き上げる)2015年の段階で消費税率引き上げ幅に影響が及ぶほどの大きな追加財源は必要にならない」と指摘。将来的に消費税率が17.1%になるとした財政試算を、直ちに公表する必要はないとの認識を示した。

 ■渡りに船の統計

 関東分の人口が消滅、4割が高齢者…。30日に発表された将来人口推計には、日本の将来にとってショッキングな数字が並ぶ。しかし、野田佳彦(54)政権にとっては、逆に“渡りに船”ともいえる絶好の資料だった。

 どういうことか。政府・与党は、野党から年金抜本改革に必要な財源を割り出すための財政試算の公表を迫られていた。試算では消費税換算で最大7.1%分の財源が必要との結果が出ており、できれば公表したくない内容だった。そこに、将来人口推計という新たな条件が加わった。

 「試算の前提になる出生率も平均寿命も変わる。試算のやり直しはすぐにはできない」

 民主党幹部の1人はこう指摘する。試算を公表しなくても済む“口実”ができたというわけだ。

 もともと前原誠司政調会長(49)ら党幹部は試算公表に消極的だった。「保険料率や最低保障年金を打ち切る所得水準など、前提条件によって試算結果は変わる」との理由からだ。

 ただ、昨年3月に厚生労働省に指示して試算させたのは、ほかならぬ民主党だ。政府・与党が昨年末にまとめた社会保障と税の一体改革の大綱素案では「保険料率は15%程度」とする前提条件が示されている。

 実は、人口推計の内容は1月27日時点で党幹部に伝えられている。「増税」政権との印象が定着することを懸念した政府・民主党は29日、試算結果の公表を見送ることを決めた。

 ■安請け合いで迷走

 財政試算の公表をめぐる政府・民主党の迷走は、(1月)19日の与野党幹事長・書記局長会談から始まった。公明党が一体改革の与野党協議に応じる条件として社会保障改革の全体像を提示するよう求めたからだ。

 「環境整備していこう」

 与野党協議の開催を急ぎたい民主党の輿石東(こしいし・あずま)幹事長(75)は気安く応じてしまったが、一体改革の経緯を知っている政府・民主党の一部は頭を抱えた。

 昨年3月にまとめた年金抜本改革の財政試算では、重い税負担に加え、生涯平均年収約420万円以上では現行制度よりも年金支給額が減少。このため、試算結果は隠蔽(いんぺい)され、全額税財源の最低保障年金と公的年金一元化を柱とする年金改革案は事実上、棚上されていたからだ。

 ところが、輿石氏の安請け合いで事態は一変した。政府関係者は「民主党の年金改革は安楽死扱いにしていたが、ゾンビのようによみがえった」と指摘する。

 「国民には、2015年に消費税が10%に上がって、2、3年後にまた7%上がるかのようにみえてしまう。マスコミもそう書きたがっているんだから…」

 輿石氏は29日の政府・民主三役会議でこう指摘した。

 ■「隠すな」野党攻勢

 公明党幹部は政府・民主党が公表を見送ったことに「かねてからの作戦が大当たりした」と小躍りした。

 政府・民主党が試算公表を拒み続ければ「隠蔽体質」を攻撃し、与野党協議に入れない新たな大義名分が得られる。試算を公表すれば、さらなる増税が必要になることは明らかで「民主党=増税推進の党」と印象づけられる。民主党がどっちに転んでも損はしなかったのだ。

 公明党の山口那津男(なつお)代表(59)は30日、参院本会議で試算の公表を見送った野田首相に「逃げるな。隠すな」と攻撃。自民党の大島理森(ただもり)副総裁(65)も、自公両党が一致結束できたことにニンマリしながら「都合の悪いものを隠して本当に一体改革ができると思っているのか」と野田政権を批判した。

 (杉本康士、佐々木美恵/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■将来推計人口 おおむね5年ごとに、国勢調査や人口動態統計のデータをもとに、将来の出生や死亡を仮定して推計。将来の人口や年齢構成がどう推移するかの見通しで、年金や介護など社会保障政策の基礎資料となる。

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