【News解説】錯綜する利害 揺れる沖縄
2009/11/06 11:08更新
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≪「普天間」県外移設求め3万人集会へ≫
米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の県内移設に反対する大規模な集会が11月8日、宜野湾市で開かれる。県議会野党の民主、社民、共産など6会派が呼び掛け、県選出の与党国会議員のほか、連合沖縄や平和団体が参加。自民が不参加、公明も組織参加を見送る中、3万人規模の開催を目指すという。
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米国側はキャンプ・シュワブ沿岸部(名護市辺野古)への現行移設計画の着実な履行を政府に要求している。これに対し集会では、オバマ米大統領の12日の来日を念頭に「新政権は米側の圧力に屈せず、対等な日米交渉で県民の声を堂々と主張すべきだ」との決議を採択予定。県外移設を掲げて発足し「沖縄県民の思いをしっかり受け止める」としている鳩山政権に、県民本位の粘り強い対米交渉を迫るとしているが、肝心の内閣の移設方針はバラバラ。このままでは普天間は永久に固定化されててしまわないかと心配する声も聞こえてくる。
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【News解説】錯綜する利害 揺れる沖縄
米軍基地、沖縄戦、旧日本軍…沖縄でこれらの問題について発言するときには注意が必要だ。多くの県民は日常生活に追われているし、県都・那覇市に限れば道を歩いていても米兵を見かけることはあまりない。戦闘機の爆音に悩まされることもめったにない。
ただ、うかつに沖縄を癒やしの島といった側面だけで「沖縄っていいですね」と語りかけると、気分を害されるだけでなく、相手によっては「植民地主義者」とののしられることさえある。「沖縄ナショナリズム」を刺激するのだろう。
■決して一枚岩ではない
普天間移設に関しては通算3期にわたって知事が県内受け入れを表明し、受け入れ先となっている名護市長も同様だ。現在、両者は自公系をバックに当選しており、日米合意がなされて10年以上経っても全くといっていいほど進展はない。ただし両者にしても選挙や会見となると「国外、県外がベストだが…」と歯切れが悪くなる。県民感情を配慮したものだ。
県民にしても「基地反対」でまとまっているわけではない。観光以外これといった基幹産業のない沖縄では、基地のもたらす軍用地代、基地被害に配慮したさまざまな補助金、本土の2倍とされる失業率にあえぐ人々にとって軍雇用員の募集は魅力だ。
名護市長が自公の支援を得て当選したように、普天間飛行場の辺野古移設を巡っても、メディアで派手に伝えられるように反対派ばかりではない。公共事業を望む推進派の支援があればこそ、受け入れ派の市長が誕生するのだ。
ただし、推進派も一枚岩ではなく、近年の焦点となっているV字滑走路の沖合展開について、立場が異なっているのが興味深い。海上滑走路でなく、沿岸の埋め立てなら地元の中小業者にも仕事が十分回ってくる。経営に余裕のない業者はすぐにでも工事にとりかかってほしい。一方、多少体力のある業者は少しでも沖合へ出して工事の規模を大きくしたい。
いずれにしても辺野古沿岸で国家間が合意した問題なのだ。強硬派として知られた前在沖縄米総領事は喫茶店で「市民運動家」からコーヒーをかけられたことさえあるが、毅然(きぜん)とした態度を変えなかった。
■風向き変えた総選挙
決して反日の島ではない沖縄だが、最近になって事情が変わってきた。総選挙で県内の自民党候補は全滅、民主党を中心とした政権が誕生した。県民にしても週末になると傷害や器物損壊を繰り返す米兵に当然、反感は持っている。
保守系の政治家にしてもウチナーンチュとしての根っこは同じだ。ましてや選挙に負けるわけにはいかない。県外移設を求める県民世論は広がりを見せ始め、那覇市議会では自民党市議らを中心に、国外・県外移設を求める意見書を可決。外相が検討する嘉手納基地への統合案には地元の嘉手納、北谷両町議会が反発、撤回要求の意見書を可決した。7日には嘉手納町主催の抗議集会とデモ行進も予定されている。
知事は「県外がベスト」としながらも「一日も早い普天間の移転という観点に立つと県内もやむなし」との姿勢を維持している。8日は訪米中だが、10月下旬の記者会見で「集会には敬意を表する」と述べた。
一方、国外・県外移設で職場を失う立場の基地従業員ら約6500人で構成する全駐留軍労働組合(全駐労)沖縄地区本部は「軍の職場からは雇用を失うことへの不安が強く出されている」として、集会への組織参加を見送り「自主参加」を決めた。
集会ではこうした事情に配慮し、普天間飛行場の「即時閉鎖・返還」と返還後の「跡地利用の促進」と併せ「返還に伴う地権者補償、基地従業員の雇用確保を国の責任で行うよう求める」とのスローガンを掲げる。沖縄に真の「自立」がやってくるのは果たしていつになるのだろうか。
(小山裕士/SANKEI EXPRESS)
◇
【「県外移設」をめぐる経過】
2008年
7月 沖縄県議会が普天間飛行場のキャンプ・シュワブ沿岸部への移設反対を決議。民主党は「県外移転模索、国外移転を目指す」とする沖縄ビジョン2008を策定
2009年
1月 オバマ米政権発足
9月9日 民主など3党連立合意で「米軍再編の在り方について見直しの方向で臨む」と明記
16日 鳩山政権発足
17日 北沢俊美防衛相が記者会見で「県外、海外への移設希望は理解できるが、限られた日数で理想を現実にするのはなかなか難しい」と発言
25日 首相、県外移設が前提との考えを表明
10月7日 首相が「時間により変化する可能性は否定しない」と発言修正
16日 首相が名護市長選を見極めるため来夏までの結論先送りを表明
20日 ゲーツ米国防長官が来日。シュワブ移設の履行を強く要求
23日 岡田克也外相が「県外移設は事実上考えられない」と発言、嘉手納基地への統合案を提起
26日 仲井真弘多沖縄県知事が「現実的かつ具体的な形で県外移設案を提示するなら県としてもその実現を強く願う」との談話を発表
28日 嘉手納町議会が嘉手納統合案撤回を求める意見書を可決。首相は衆院代表質問に「日米合意を慎重に検討し、沖縄の思いを踏まえ真剣に取り組む。最後の意思決定は私が行う」と答弁
11月2日 那覇市議会が県外・国外移設を求める意見書を可決
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