温室効果ガス削減、「中期目標」で応酬 首相の政治判断に
2009/03/22 01:08更新
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29日から独・ボンで始まる地球温暖化対策の国際的枠組み(ポスト京都議定書)交渉の作業部会に向け、日本の2020年までの温室効果ガス削減の中期目標の議論が白熱している。産業界が削減に伴う「国民の痛み」を強調すれば、斉藤鉄夫環境相が「国民に誤解を与える」と批判するバトルに発展。27日の政府の中期目標検討委員会で、1990年比温室効果ガス4%増~25%削減までの5案が示される方向だが、6月の中期目標決定まで調整は難航必至で、麻生太郎首相の政治決断になるとみられる。
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記事本文の続き 検討委員会は2月、経済産業省の長期エネルギー需給見通しなどを参考に、削減率を90年比6%増~25%減までの6案を地球温暖化問題に関する懇談会(座長・奥田碩トヨタ自動車取締相談役)に示した。
6案の実現可能性を判断するには、どの技術をどれぐらい導入するかや、コストがいくらかかるかなどが重要な指標になる。だが、環境省所管の国立環境研究所と経産省所管の日本エネルギー経済研究所の試算では、コストなどで大きな隔たりがある。
例えば、7%削減に向け、強制なしで最先端の省エネ技術を導入する案について、2月時点でエネ研は2020年までに約52兆円かかると試算。一方、国立環境研究所はもっとも厳しい25%削減でも年間約7兆円しかかからないと試算した。
こうした隔たりは、次世代自動車や太陽光発電といった省エネ技術導入に伴うコストや普及率などの前提条件が異なっているために生じた。
温室効果ガス削減は製造活動に影響するため、産業界の働きかけも活発化している。日本経団連や日本鉄鋼連盟など58業界団体は今月17日付の全国紙に意見広告を掲載。わずかな削減でも社会全体で52兆円、1世帯あたりの費用が約105万円もかかかるとの主張を打ち出した。
これに対し、斉藤環境相は「大変悲しい。一方的な意見で国民に誤った認識を与える」と批判。世界自然保護基金(WWF)も「52兆円は国や企業を含めた負担額。国内で使われれば内需拡大にもつながる」などと反論している。
温室効果ガスの削減幅をめぐる議論も百出している。
地球環境産業技術研究機構(RITE)の秋元圭吾・システム研究グループリーダーは「最も可能性が高いのは省エネ技術を強制せずに導入する7%削減だろう。ただ、省エネ技術が進んでいる日本では、欧州などと比べて削減費用が高いため、この案ですら実現はかなり厳しい」と指摘する。
気候ネットワークの浅岡美恵代表は「先進国全体での25%~40%削減は、日本政府も国際交渉で確認している。ネットワークでは30%は削減すべきと試算しており、政府は早く方向性を示すべきだ」と話している。(杉浦美香)
■温室効果ガス削減の中期目標(2020年)の5案
1990年比
(1)現状の削減努力継続 +4%
(2)先進国全体で25%削減とし、CO21トン
当たりの削減費用を各国均等にする 0%
(3)強制なしで最先端の省エネ技術導入 -7%
(4)強制、補助金なども使って省エネ技術などを導入 -15%
(5)先進国各国と25%削減 -25%
※エネ研や国環研などの試算
【用語解説】地球温暖化対策の中期目標
2020年を視野に入れた先進国の温室効果ガス削減目標。地球温暖化対策の次期国際枠組み交渉では、50年ごろの長期目標と中期目標の2種類の目標議論が行われているが、中期目標は京都議定書が定める先進国の国別削減目標に続く、新たな法的拘束力のある目標になると考えられている。気候変動に関する政府間パネル(IPCC)は産業革命以降の気温の上昇を2度程度に抑えるには20年に先進国全体で25~40%の削減が必要だと指摘。欧州はすでに90年比20%削減と目標を出している。米国は90年水準に抑えるとしている。
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