岩波縁故採用 手間省き「熱意ある人材集め」
2012/02/12 00:39更新
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岩波書店(東京)が2013年度の採用試験の応募資格に掲げた「岩波書店から出版した著者の紹介状あるいは社員の紹介があること」という条件が話題を呼んでいる。岩波書店のケースには出版業界特有の事情が透けて見える一方で、一般企業にも「縁故採用」について賛否両論があるようだ。
■応募と採用数に落差
「知名度が高く、“記念受験”が多い。少ない採用人数の割には応募者がきわめて多い」
リクルートワークス研究所(東京)の大久保幸夫所長は、岩波書店をはじめとする出版業界の採用活動の特徴を、こう説明する。
芥川賞と直木賞で知られる文芸春秋は10~12年度入社まで毎年4人ずつ採用したが、応募者は「おおむね1500人程度で、スポーツイベントなどで媒体がとくに注目された年はさらに増える」(文芸春秋)。新潮社も毎年数人の採用枠に約1000人を超える応募があるという。岩波書店が「応募者数と採用者数とのギャップがあまりに大きい。強い熱意を持った人たちから選考したい」(総務担当者)と説明するゆえんだ。
さらに印刷や製本の工程を外部に委託するため、会社本体の規模は知名度の割に小さい。
「出版年鑑2010」(出版ニュース社)によると、全国の出版社3902社のうち、従業員数が「10人以下」が全体の半数を超え、「50人以下」に広げると、約75%を占める。講談社や集英社など規模の大きな社でも従業員は1000人を下回る。文芸春秋や新潮社は300人台で、岩波書店の約200人に近い。採用に専従できる人数もメーカーや金融など他業種の人気企業に比べて少ないのが実情だ。
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記事本文の続き ■学生の行動力見る
新卒の定期採用を行っている出版各社は岩波書店のように応募条件を設けることは「全く考えていない」としている。ただ、ある出版社の採用担当者は「インターネットが普及して学生のエントリーが容易になるのと反比例し、採用側が割く人手や時間はどんどん過大になっている。応募人数を絞り込める上に『紹介をもらう』という学生の行動力も見られる岩波の仕組みを評価する声は少なくない」と明かす。
岩波書店もホームページで、「応募後に試験がある。熱意のある人に応募してほしかった」と“フリーパス”のコネ採用ではないと説明している。
大久保所長も「もともと中小企業では『紹介』に基づく採用が多い。コストや手間を省け、入社後の定着率も高いと欧米でも見直されている手法で、真剣に出版社に来たい人を集めるのに効果があるのでは」と話す。
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