あわや遭難、初めて見る氷瀑…恐ろしくも美しい冬山
2012/02/12 21:13更新
この記事に関連するフォト・情報
記事本文
【マニアック街道】
列島が底冷えした2月に入ってすぐの寒波襲来。へたれハイカーの私は「わが背山」である六甲の氷の芸術に目を奪われていた。と同時に「この光景を見ることができるのも京都北山から無事帰ってきたからなんだよなあ」と思い起こし、背筋も凍った。お届けするのは今シーズンの冬物語2題である。(中村宏二)
■雪の状況は不明。でもとりあえず出発
1月21日(土)。いつものM先輩とともに目指したのは、京都北山・雲取山(911メートル)に近い山小屋だった。へたれハイカーとしては記念すべき初の六甲以外の本格ハイクである。
だいたいの計画は、小屋に一泊(宴会付き)し、雲取山山頂を踏んで帰るというもの。問題は雪であったが「行ってみな、わからんよなあ」と2人で「納得」したうえで正午に叡山電鉄出町柳駅を展望列車で出発。貴船口駅からは若干、バスも利用したが、あとは小雨の中をひたすら歩く2人だった。
背中にはおよそ重さ13キロのザック。小屋泊用のシュラフや着替えなどのほか、当然、定番のビールなども入っており、かつてないほどのパンパンぶりだった。そしてM先輩のザックもビール以外のアルコールがてんこ盛り。お互いに同じぐらいの重さを背負っていたが、雪上歩きの「特別な装備」は2人のザックにはなかった。それは「行ってみなわからん」の末の、甘~い考えの結果であった。
関連記事
記事本文の続き ■つぼ足の限界
雲取山に近づき、芹生峠を越えると、ドーンと雪景色。「ありゃりゃ」と思いながらも「ここまで来たら」と、とりあえず前進。でも、どんどんどんどん雪は深くなる。ワカンやスノーシューなしのいわゆる「つぼ足」による素人のラッセル(深雪を踏み固めて進むこと)に突入した。
「これは、ちょ…ちょっと」。ときには膝まで沈むへたれハイカー。谷筋の雪道は危険がいっぱいである。さらには途中、本来のルートを間違え、一つ手前の谷を登っていたことに気付く。
「どうする?このまま行くか?」とM先輩。解説すると、このまま行って雲取山山頂を経て本来の谷筋に下り、そこにある小屋に向かうということである。
(これはヤバイかも)
「M先輩、現在の標高は約700メートルです。山頂は約900メートル。この雪の中を200メートル登れたとしても、雪量は未知数。暗くなったら小屋の谷筋に下るルートもわからなくなるかもしれまへんで」
この状況下、なんとクールな決断をしたのだろう。結論からいうと、へたれは卒業である。というか、当たり前のことである。つぼ足でこれ以上進むのは無理だった。
この後、いったん戻り、さらに正しい谷筋を目指してはみたのだが、それこそ沢の岩場に積もった雪面で片足が腰まで落ち込む恐怖の体験もした。「よかったなあ中村。以前、こんな状況で、『ある所』に木の枝が突き刺さったやつもおったで」とは、もがいたあとにやっと足を抜いた私にM先輩が言った言葉である。
さて、本来登る谷と見られる入り口には木の看板に謎の「×」の記号。最終的にはM先輩が「撤退」を英断した。時刻は午後4時を過ぎていただろうか。引き返す途中、あっという間に暗闇が2人を包み込んだ。やっとのことで芹生の里に到着し中休止に入った。
■まじめに「反省会」
撤退となれば荷は少しでも軽いほうがよい。「先輩、ビール空けましょ」と私のザックの中の500ミリリットル缶2本をまずそれぞれ消費。食事用の水2リットルも捨てて約3キロ減らしたところで、先輩のザックからワイン1本が私のザックに「引っ越し」してきた。イワシの缶詰もおまけに頂戴したので、結果、計約2キロの削減である。だがしかし、あんまり軽くなった感はない。それだけ疲労しているのだろうか。
中休止後は最後の登りの芹生峠を越え、帰りの電車の心配もしながら降り続く雨の中をひたすら貴船口まで下る。「路面凍結注意~」「もうバスはないんかな~」「足が痛て~」「(通りがかりの車に)乗っけてくれ~」などと言ってみたり、しばし無言だったりしながらの道中となった。午後8時20分、やっとのことで貴船口に到着。20分後に来た電車に乗り込み、よせばいいのに木屋町のネオンにひかれ、またまた「反省会」。
「いやほんま、しゃれにならんとこやったな。今思ったらぞっとするわ」。真の「反省会」と相成ったのはいうまでもない。なお、この「雲取山撤退編」の写真がほとんどないのは、写真を撮る余裕がまったくないほど、雪に悪戦苦闘していたからである。
◇
■裏六甲アイスガーデンが呼んでいる
雪の京都北山で怖い思いをしたものの、2月の寒波到来が私をまた山に誘う。今度は雪ではないが、凍結が相手である。「七曲滝の氷瀑(ひょうばく)」。「裏六甲」ではシーズン中、強い寒波の到来時にしか見られない氷の芸術が出現するのだ。
2月4日。産経朝刊紙面に、神戸総局のカメラマンによる七曲滝の氷結が紹介された。行くなら今日以外にない。さて、装備はというと、軽アイゼンは持っている。よっしゃ!行くど!
六甲山上から有馬温泉に向かうルートの一つ、「紅葉谷道」付近にある七曲滝。六甲ケーブルを登りで利用し、ケーブル山上駅から紅葉谷道を目指して進むことにした。これまでの「へたれハイカー」で何度も書いており、くどいかもしれないが、ケーブル利用は「あくまで時間短縮のため」である。もう今後このただし書きは書かないつもりである。ケーブルを利用したとあれば、それは時間短縮のためであることに間違いはないのでご了承いただきたい。ちなみに六甲ケーブル下駅までも神戸市バスを利用しているが、これも合わせてご了承いただきたい。なんか情けない…
■きらめく氷の世界へ
本題に戻ろう。氷瀑とあれば休日以外でも結構、見物のハイカーやカメラマンが多いと聞いている。この日は土曜日。人の多さはどんなもんやろ?極楽茶屋跡近くの紅葉谷道入り口でアイゼンを装着し、いざ氷瀑巡りへ。
結果は、「老いも若きも大集合」であった。例によって私が滝近くに到着したのは午後1時ごろだったが、紅葉谷道にはまだ多くの人たち。さてどこが分岐だろうか。そこへちょうど脇道を紅葉谷道に上がってきた男性登山者。
へたハイ「(たぶんこの道やな)あの~すみません。七曲滝へはどういけばいいのですか?」
男性「ここですわ。わたしらが上がってきた道を下れば行けます。もっと(紅葉谷道の)下からも行けますけど。わたしらはこれから百間滝に向かいます」
ピンポン。ここで正解だった。男性と話をしているうちにこの男性のパーティーのメンバー10人ほどが細~い道を次々に上がって来る。いわゆる「渋滞」が起きているほどの“人気ぶり”である。
男性に教えてもらったルートは道幅も狭くロープ場あり、エッジ状の尾根ありで「要注意」。雪こそほとんどないが、どこが凍っているやら分からないので、アイゼンがないと危険であることはいうまでもない。やはり装備は重要である。
そして降り立った谷を下ると、まもなく七曲滝に到着。氷瀑というものを初めて見たが、見事の一言である。ツララ、表面の氷の下を流れる清流… 本来なら水音もけたたましい滝であろうに、この氷瀑の世界は静寂に包まれているような気になる(完全氷結ではないため、まったく水音がないというわけではない)。
(山ガールのみなさんも多く)「いや~感動やなあ」とばかりに付近にある「百間滝」と「似位滝」にも足を運ぶ。せっかく来たからには見ておかないと、というのは、典型的な日本人観光客のそれである。でも、行って正解。氷の芸術の細部も堪能できた。
「ええもん見ることができたなぁ。これも京都北山で撤退の決断ができたからや」。寒さは感じていなかったが、しんしんとした京都の雪を思い出して背筋がぞくぞくっ。さあ、カレーうどんでも食べて暖まって下山しよう。
■はずしたとたんにすってんころりん
帰りは当然、六甲ケーブルが利用できない(片道570円の節約)ので、油コブシを下山することにした。氷つながりで「アイスロード」にしようかとも思ったが、安全第一の最短ルートをチョイスした。「状況に合った装備が必要」「慎重また慎重」「決断は早めに」。この冬の低山徘徊(はいかい)で再確認した「山の掟(おきて)」である。
そんなことを思いながら、油コブシに向け極楽茶屋跡からガーデンテラスに向かう積雪の北斜面を登り終え、「もうええやろ」とアイゼンを外した私。ところがその後、ガーデンテラスを過ぎ、みよし観音手前の下りで右足がツルっ。「うぉっ!」とばかりに見事にあおむけに転倒してしまった。「決断」がちょっと早かったようである。
どっちやねん。
広告
話題のニュース
ニュース記事ランキングの一覧
| タイトル | 更新日付 | 補足情報 |
|---|---|---|
| 本屋を襲う“倒産ラッシュ”!1日1店が店じま… | 05/24 22:49 | |
| “生活保護”むさぼる在日外国人!悪質すぎる手… | 05/25 20:00 | |
| 大阪市職員に入れ墨より根深い“噂”浮上 | 05/24 17:31 | |
| 沢尻エリカの休業に兄「日食休みでしょ。ワガマ… | 05/25 11:41 | |
| 長谷川理恵 神田正輝の「俺の子じゃない」発言… | 05/24 16:32 | |
| 入れ墨調査「魔女狩りだ」、教育委員が反発 | 05/25 15:06 | |
| 藤村長官、韓国側請求権は「完全かつ最終的に解… | 05/25 11:31 |
このニュースのブログエントリ
イザ!ブログ
-
冷温停止状態!ふざけた言葉を掲げる政治はNON- [その日の気分で]
- 朝日新聞デジタル:2号機の温度、高止まり 福島第一原発 東電は「安定」 - 社会 …
464955さん



























