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【よくわかるニュース解説】膨張する医療費抑制へ苦肉の策

2012/02/13 10:08更新

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 ≪12年度診療報酬改定案 「在宅」に重点1500億円≫

 厚生労働省は2月10日、2012年度診療報酬改定案をまとめた。

 社会保障と税の一体改革大綱素案で、地域での医療・介護の提供体制充実を打ち出した点を踏まえ、医療・介護の連携や在宅医療の充実に約1500億円を充てる。4月から実施する。10日の厚労相の諮問機関、中央社会保険医療協議会中医協)に示した。中医協は原案通り答申した。

 民主党政権下では前回10年度に続く2回目の改定。全体の改定率は0.004%増だが、薬剤や医療材料など「薬価部分」の引き下げで改定の財源を約5500億円確保。在宅のほか、前回に引き続き病院勤務医などの待遇改善にも約1200億円を配分し、救急医療などの機能強化を図る。

 目玉の在宅医療推進では、24時間体制の在宅療養支援診療所について、複数の診療所や病院の連携などを条件に報酬を増額。往診料の緊急加算を6500円から8500円に、在宅の患者が緊急入院する場合の加算も1万3000円から2万5000円に増やす。訪問看護も充実する。

      ■□■

 ≪膨張する医療費抑制へ苦肉の策≫

 2012年度の診療報酬改定案は、病気になっても住み慣れた地域でなるべく暮らし続けられるよう、在宅医療に重点を置いたのが特徴だ。

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記事本文の続き 今後、団塊の世代が70歳代に達し、何らかの病気を抱える高齢者が増えるのは確実だ。その一方、現役世代は減少しており、人的、物的資源が限られてくる中で、従来のように病院に入院することを前提とした医療を維持するのが難しくなっているためだ。

 社会保障と税の一体改革大綱素案は「高齢化が一段と進む25年に、どこに住んでいても、その人にとって適切な医療・介護サービスが受けられる社会を実現する」と打ち出している。

 厚生労働省は、介護報酬との同時改定となることも踏まえ、今回の報酬改定を、医療と介護の在宅サービスを一体的に提供できる仕組みづくりの第一歩にしたい考えだ。

 ■24時間巡回サービス

 在宅医療推進の柱となるサービスが、介護保険制度で4月から始まる「24時間地域巡回型サービス」だ。高齢者が住み慣れた地域で少しでも長く暮らせるよう。在宅ケア支援を充実させるのを狙いに新設された。

 ホームヘルパーなどが高齢者の家を定期的に訪問するもので、3度の食事や排泄(はいせつ)の介助、床ずれ防止といったケアや、医療行為を含む看護サービスを日中・夜間を通じて複数回サービスを受けられるうえ、利用者の状況に応じて随時介護などが受けられる。また、訪問や通所など複数の介護サービスを提供する小規模多機能型居宅介護と訪問看護を合わせた「複合型サービス」も新設し、在宅介護を受けやすくした。

 さらに、24時間サービスの他にも、医療と連携して効果的な訪問リハビリを実施した事業者に対し高い報酬を支払うことを決め、高齢者の在宅復帰支援に取り組む老人保健施設にも報酬を加算する。

 ■医師の負担を軽減

 また、今回の診療報酬改定案では、重労働の勤務医の負担を減らすため、医師の事務作業を手伝う補助者の報酬加算をきめ細かく設定。医師と看護師の役割分担を進めて仕事量を軽減するため、看護補助者を手厚く配置すれば報酬も増やす。

 医療技術の評価の見直しでは、前回は難しい手術の報酬を増額したが、今回は難易度が中程度も含む約1200項目の手術料を最大50%引き上げるなど専門性に応じて報酬を見直す。

 一方、安価な後発医薬品の利用促進については、薬局が後発薬を勧めやすいよう、医師が商品名ではなく一般名で処方した場合の加算を新設する。

 「住み慣れた地域で暮らす」という理念は素晴らしい。だが、医療保険財政の膨張を抑えるための苦肉の策という側面も否めない。効率化ばかりが優先されて必要なサービスが受けられないという事態を避けるよう、注意深い検証が不可欠だ。

 (岡田敏一/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■診療報酬 公的医療保険を使って病院などにかかった場合の医療の公定価格。手術や検査、薬剤費など内容ごとに細かく点数化されている。算定された報酬額の合計のうち、原則3割を患者が病院や診療所、薬局の窓口で負担する。改定はほぼ2年おき。全体の改定率は年末の予算編成で内閣が決め、個別の点数(価格)は厚生労働相の諮問機関、中医協の答申を受けて厚労相が決定する。

       ◇

 【診療報酬改定案の骨子】

・複数の診療所や病院と連携する在宅診療支援診療所の報酬を引き上げ

・勤務医の負担軽減で、事務作業の補助者の報酬加算をきめ細かく設定

・難易度が中程度の手術料を最大50%引き上げ

・薬局での後発医薬品利用促進のため、医師が一般名で処方した場合の加算を新設

・診療所の再診料は据え置き

 (SANKEI EXPRESS

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