【青信号で今週も】科学の進歩「医療立国」 大和田潔
2009/12/28 14:10更新
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記事本文
がん細胞に特有の特徴をとらえて狙い打つ、新しいメカニズムで働く分子標的薬には、タンパク質である抗体と化合物のものがあります。
抗体はもともと私たちの体が外敵から身を守るために作られるものです。もともと、抗体による診断薬のメーカーであるセントコア社は、脳卒中の治療に有効な抗体の薬、レオプロを開発しました。次に彼らは、TNFαという炎症を起こすタンパク質に対する抗体を作成しました。
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記事本文の続き この抗体はレミケードという薬剤になり、慢性的に関節に炎症を起こしているリウマチの患者さんの画期的な薬剤となりました。
抗体が薬剤になる時代が切り開かれたのです。ジェネンテック社は、乳がんの増殖を支えるタンパク質に対する抗体であるハーセプチンを開発しました。がん細胞は自分たちに栄養を送り込むために、血管を増殖させていきます。血管を増殖させる血管内皮細胞増殖因子(VEGF)に対する抗体薬、アバスチンが開発されました。目の網膜の血管の病気による視力低下にもアバスチンは応用されるようになり、難治性の視力低下をきたす病気にも応用されています。
白血球の遺伝子の一部分が入れ替わってしまい発症する慢性白血病では、通常はないbcr-ablというタンパク質が出現し、白血病細胞が増殖を続けてしまいます。ノバルティス社は、白血病細胞だけが持つこのタンパク質の活性化を邪魔する化合物、グリベックという画期的な薬剤を開発しました。このようながん細胞で主に働いているタンパク質の働きを止める薬剤を、「小分子化合物の分子標的薬」と呼びます。肺がんのイレッサもがん細胞の増殖を止める小分子化合物です。
こうし画期的薬剤は開発国に富を生み出します。医療は国に豊かさを生み出す力を秘めており、『医療立国論』(大村昭人帝京大名誉教授の著書名)も注目されています。日本でも分子標的薬の開発が進んでいます。事業仕分けが注目されましたが、技術立国の勢いをそぐことはしてほしくありません。2010年は、医療立国を目指す議論を進めてもらいたいと願っています。
(総合内科医 秋葉原駅クリニック院長/SANKEI EXPRESS)
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