【青信号で今週も】ワクチン(3) 作り方 大和田潔
2009/09/22 16:48更新
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ウイルスは取り付く細胞が決まっていることをお話ししました。鯉ヘルペスは鯉に、ヒトヘルペスはヒトに、インフルエンザウイルスは鳥、ブタ、ヒトに取り付きます。
さらに、その種のなかでも取り付く細胞がきまっています。例えば、急性胃腸炎のウイルスは私たちの胃腸の細胞に取り付き下痢と嘔吐(おうと)を起こします。「はやり目」の原因になる流行性角結膜炎ウイルスは、目の細胞に取り付くアデノウイルスというものです。インフルエンザウイルスは、高熱とともに気管支炎や肺炎をきたします。つまり、インフルエンザウイルスは、ヒトの気管、肺といった呼吸器の細胞で増える性質を持っているのです。
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インフルエンザウイルスが取り付き、増殖させることができる細胞がいろいろ探索されました。その結果、有精鶏卵の中でインフルエンザウイルスが効率よく増えることが見いだされました。
精製された元になるインフルエンザウイルス液を極少量、孵化(ふか)した鶏卵の尿膜腔(にょうまくくう)という場所に接種します。ウイルスは、鶏卵内の生きている細胞内で増殖し、尿膜液内に放出されるため、卵内の液を回収します。インフルエンザウイルスを鶏卵の中で何倍にも増やしたうえで回収するわけです。
卵の成分からウイルスだけを回収します。この際、ごく少量の卵成分が混じる可能性があるため、問診表に卵アレルギーの項目が入れられています。その後、ウイルスを部分的に壊して活性を失わせます。人間がウイルスの形を学べればよいので、濃い濃度のウイルス液は必ずしも必要ありません。そこで、どの程度まで薄めても効果があるのかということを検定し、希釈されます。
季節性のインフルエンザワクチンではA型2種、B型1種に同じ作業が行われて準備され、毎年の接種に供されます。新型ウイルスでは元になるウイルスがもともとなく、ウイルスの増殖率も高かったため、時間がかかってしまいました。
次回は最先端のワクチン製造についてお話しましょう。
(総合内科医 秋葉原駅クリニック院長 大和田潔(おおわだ・きよし)/SANKEI EXPRESS)
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