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【よくわかるニュース解説】ケアで地域に長く 給付抑制狙いも

2012/01/26 11:59更新

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【よくわかるニュース解説】福祉・介護用品を集めた「いきいき福祉さっぽろ展」。「24時間地域巡回型サービス」の創設には期待がかかるが、課題もある=2009年9月5日(川端信廣撮影) 

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【よくわかるニュース解説】「24時間地域巡回型サービス」のイメージ(※厚労省資料から作成)

記事本文

 ≪12年度介護報酬改定 24時間訪問サービス創設≫

 厚生労働省は1月25日、2012年度から3年間、介護保険制度から事業者に支払う新しいサービスの報酬単価を決定した。住み慣れた自宅で安心して暮らせるよう、ホームヘルパーなどが高齢者の家を定期的に訪問する「24時間地域巡回型サービス」を創設。こうした新施策で施設から在宅介護への移行を促し、生活援助の効率化と増え続ける給付費の抑制(よくせい)を狙う。

 介護報酬全体では1.2%の引き上げで、前回09年度改定に続くプラス改定。この日の社会保障審議会介護給付費分科会に示した。プラス改定は事業者の収入増につながるが、サービスの利用者にとっては負担増となる。

 24時間地域巡回型サービスは、日中・夜間を通じて複数回サービスを受けられるうえ、利用者の状況に応じて随時介護などが受けられる。施設入居の抑制効果に加え、定額制なので給付費の伸びも抑えられる。また、訪問や通所など複数の介護サービスを提供する小規模多機能型居宅介護と訪問看護を合わせた「複合型サービス」も新設し、在宅介護を受けやすくした。

      ■□■

 ≪ケアで地域に長く 給付抑制狙いも≫

 1月25日に決まった4月からの介護報酬改定で目玉となる「24時間地域巡回型サービス」。高齢者が住み慣れた地域で少しでも長く暮らせるよう、在宅ケア支援を充実させるのが狙いだが、利用者の選択肢を狭める恐れや、浸透に時間がかかるといった声も聞かれる。

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記事本文の続き ■「本来の趣旨」徹底

 このサービスの特徴は、3度の食事や排泄(はいせつ)の介助、床擦れ防止などのケアや、医療行為を含む看護サービスを深夜、早朝を問わず24時間、何度でも受けられることだ。

 これまでの訪問介護の多くは、一定時間かけないと「サービス」とみなされず、報酬に反映されない仕組みだった。そのため事業者は採算がとれない短時間ケアのために日に複数回、訪問するのは難しく、お年寄りは我慢を強いられていた。

 しかしこのサービスの導入で、月決めで定額の利用料を支払えば、5~10分といった短時間ケアでも日常的に受けやすくなる。「必要なときに必要なサービスを提供する」という介護保険の本来の趣旨が徹底されることになる。訪問看護を利用した場合の自己負担額は、多くの地域で、要介護1の場合は月額約9300円、要介護5では月額約3万円だ。要介護度が進むと、在宅ケアは難しくなるとの指摘もあるが、訪問サービスの拡充により、身体機能の低下や認知症の悪化は食い止められる。

 また今回の改定では、24時間サービスのほかにも、医療と連携して効果的な訪問リハビリを実施した事業者に対し、高い報酬を支払うことを決め、高齢者の在宅復帰支援に取り組む老人保健施設にも報酬を加算するという。

 ■利益優先に懸念

 訪問介護の利用者にとって期待できる「24時間地域巡回型サービス」だが、問題的を指摘する声もある。服部万里子立教大教授(高齢者福祉論)は「このサービスは定額払いでサービスを提供する事業所が訪問日時や回数を決めるため、事業者が利益優先に走ると、利用者が望む訪問入浴やデイサービスを使いにくくなり、選択肢が狭められる恐れがある」と指摘。

 NPO法人介護者サポートネットワークセンター「アラジン」の牧野史子理事長も「定期的な訪問で家族が安心感を得られるが、認知症など精神症状がある場合にはそぐわないのではないか。浸透には時間がかかりそうだ」とみる。

 ■見直しは小手先

 今回の介護報酬改定全体をみると、財源不足に手足を縛られて抜本的な制度改革が行われないまま、小手先の見直しに終わった感もある。改定により、4月からは65歳以上の高齢者の保険料が月額全国平均で5000円程度に上がる可能性がある。どんなサービスにどこまでならお金を払えるのか。介護保険制度導入から12年。政府だけでなく、国民にも明確な意志と覚悟が求められている。

 (岡田敏一/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■介護報酬 介護保険制度で、介護サービスを提供した事業者に支払う対価の公定価格。原則3年ごとの改定で、原則1割は自己負担、残りは保険財政から支払う。2003年度は2.3%、06年度は2.4%とマイナス改定が続いたが、09年度は介護職員の待遇改善で初の3%プラス改定となった。12年度は2年おきに改定する診療報酬と6年ぶりの同時改定で、引き続き介護職員の待遇改善に充てるため1.2%のプラスとなった。

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