【裁判員 語る】(2)「裁判官を含めゼミ的雰囲気」裁判官の“誘導”なかった評議
2009/08/06 18:34更新
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記事本文
《報道陣を前にした裁判員経験者らが、緊張した面持ちながら、しっかりした口調で質問に答えていく。次の質問は評議についてだ。強引な裁判官の誘導や、度を超えた意見の対立、あるいは長い沈黙などの問題点はあったのだろうか》
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記事本文の続き 記者「評議の雰囲気はどのようなものだったでしょうか。言いたいことをお話になれましたか」
裁判員1番と呼ばれていた会社員女性(50)「集まったメンバーがとても話しやすく、今となっては、かなり前から知り合いだったような感覚を持って話せたと思います。お互いが不安の中で、いろいろな話ができた。自分たちが思っていたことを素直に話し合えるメンバーでした。裁判官、裁判長がいい雰囲気を作ってくれたのだと思います」
裁判員2番と呼ばれたピアノ教師の女性(51)「初日は緊張して、思ったことを言えなかったのですが、だんだん話しやすく、思っていた意見を言えるようになりました。裁判長も裁判官もよくしてくれて、いい雰囲気を作ってくれたと思います」
補充裁判員から裁判員となり「7番」と呼ばれたアルバイト男性(61)「硬い雰囲気を予想していましたが、裁判官を含めてゼミナール的な雰囲気でした。言えないようなことなのに本心がでて、率直な意見交換ができたと思います」
《不安を共有する裁判員たちの評議には、本音で話し合える雰囲気こそが、重要なのかもしれない》
裁判員4番と呼ばれた栄養士の女性(41)「初めて会った方々だったのですが、前から知り合いだったような雰囲気の中で話ができたと思います」
裁判員5番を務めた契約社員の女性(38)「今回はたまたま抽選、くじで選ばれたメンバーだったが、本当にみなさん、人の話を…。当たり前なのかもしれませんが、きちっと聞いて理解できる方々でした。裁判所というと年配の男性が多いイメージがあったのですが、女性の裁判官の方や若手の裁判官もいました。女性の裁判官がいたのはホッとしたし、話しやすかったです」
裁判員6番を務めた会社員男性(43)「私も硬い雰囲気を予想していましたが、自分自身の経験…もちろん素人なんですが、経験から推し量った気持ちをもとに、率直に意見ができたと思います」
補充裁判員だった会社員男性(38)「想定外だったのが、裁判官中心の評議ではなく、裁判官も1メンバーとしてスムーズに話ができて、ときにはいいアドバイスをくれました。意見が反映しやすい評議の場ができていたと思います」
《裁判官の誘導という懸念された問題は、なかったようだ。続いて、別の質問に移る。今回の裁判では、裁判員が被告に質問をする前に、裁判長がいったん審理を中断し、裁判員と法廷から消えるシーンがあった。質問の前に打ち合わせのようなものがあったのか、なかったのか。このやり方を裁判員はどう解釈しているのだろう》
記者「法廷で裁判員が質問をする前に、いったん審理が中断しました。その手法についてはどう思いますか」
会社員女性「初日、午前中に来て、かなり緊張していて、午後から審理のスタートでした。何も分からずスタートしたまま毎日が過ぎていき、質問といっても、頭が回っていない状態。記者の方も大勢いて、裁判所自体も初めて来た。すぐに、ふとした疑問を聞ける状態ではなかったです。それを裁判長の方が察してくれて、深呼吸の意味で中断したのだと思います。誘導とかそういうものではなく、あくまで緊張を整えてからということだったと思います」
ピアノ教師の女性「意見(を言うの)が得意ではないので、ピント外れなことを言ったりしないか、それが1番心配だった。裁判官の方が『意見を言ってもいいですよ』と言ってくれたので、私は良かったのかなと思います」
アルバイト男性「裁判員は(法廷内では)横並びで(座っていて)、お互いの顔が見えず不安。ブレークタイムでホッとする。ある種の活力を生める、いいブレークタイムだったと感じました」
《法廷では私的な会話もできない上、傍聴人の視線にもさらされる裁判員。緊張を解くことも、重要なテーマのようだ。また、「質問しなければならない」というプレッシャーに悩んだ裁判員経験者もいたようだ》
栄養士の女性「裁判中、その場で『はい!質問』とか期待されてたみたい(に感じていました)。ニュースでも『きょうも質問なし』と言うのを見ました。(しかし)質問の(ために)理解(するの)が精いっぱいで、私は頭がそこまで回りませんでした」
契約社員の女性「自分たちは素人なので、裁判のやり取り全部を頭に入れるのは大変でした。そこで、審理を中断して裁判官の方に捕捉してもらうのは重要でした。また、皆さん(傍聴人)の目線(視線)から少し外れて考えられる時間があったことも、良かったと思います」
会社員男性(43)「きちんとした評議を行うためには、質問ができる時間が必要でした。裏で話し合いができる時間があり、ほっとしました」
補充裁判員だった会社員男性(38)「たびたび休憩がはさまれるのは、傍聴をしている方にとってはフラストレーションになると思いますが、私たちには休憩が必要でした。(法廷でのやり取りなどを)咀嚼(そしゃく)したり、どんな質問をしようかと考える時間は、必要な時間でした」
《裁判員はたびたびはさまれる中断について、考えを整理する必要な時間と判断していたようだ。質問は裁判員の守秘義務に移った。裁判員は評議の詳しい内容を話すことを禁じられ、違反した場合は刑事罰の対象になる》
記者「評議の内容などに守秘義務があることについてどう考えますか。今後、生涯にわたって守れる自信はありますか」
会社員女性「この事件について、さまざまなことを決めていく中で、いろんなことを知りました。言ってはいけないことについても知ったし、秘密は守ろうと思います」
ピアノ教師の女性「私も守っていこうと思います。それ以上、言うことはありません」
アルバイト男性「義務として、生涯守っていきます」
栄養士の女性「私も同じように守ります」
契約社員の女性「私も、守らなければいけないという自覚があるので守っていきます」
会社員男性(43)「守っていきたいと思います」
補充裁判員だった会社員男性(38)「公表すべきことは明らかになっています。この制度を守るために、守らなければいけないと思っています」
《それぞれが守秘義務を強く自覚していることを強調した。ただ、公開すべき情報と秘すべき情報の線引きは難しいのも事実だ》
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