【裁判員3日目】(10)“被害者の落ち度”強調する弁護人 裁判員はどう判断?
2009/08/05 13:23更新
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《弁護人の最終弁論が続く。結審が徐々に近づく緊張感からか、藤井勝吉被告は身じろぎもせずに、視線を下げていた。被告に有利なくむべき事情があるのかどうか、裁判員も藤井被告の表情を見やりながら、弁護人の言葉に聞き入った》初の裁判員裁判 全詳報
弁護人「被告人は被害者一家による道路占拠に、何度も注意をしてきましたが、逆に言い返されました。近所からも、『小島(千枝)さん(被害者の文春子さんが日本で使っていた名前)に言い返されて負けて逃げてきた』、と言われたこともありました。平成18年7月に(刑務所から)出所して以降は、注意するのをあきらめて、被害者とは顔を会わさないようにしていました。しかし、事件当日は、たまたま被害者と顔が会ってしまい、ペットボトルの話を持ち出したところ、また言い返され、ばかにされてしまいました」
「被告の犯行動機についてですが、被告はケンカ口論の末に、侮蔑(ぶべつ)的な言葉、犯行をあおるような言葉によって、我慢していた怒りを爆発させたものです。動機形成以前の過程には、被害者にも大いに落ち度があるといえます。量刑に際し、考慮すべき重大な事情といえます」
《被害者にも動機の一端があると力説する弁護人。
被害者の近所での振る舞いを次々と明かしていく。裁判員の表情は変わらないが、量刑を判断するに当たって、殺害という事実と、どうてんびんにかけるのだろうか》
弁護人「犯行の直接動機ではありませんが、被害者一家が近隣住民の道路通行を妨害していたのは証拠上、明らかです。被告が不快と思っていた金属の食器で地面をこする音も、証人の話から認められます」
《ここでモニターに現場の見取り図が映し出される》
弁護人「被害者のスクーターは被告方の庭と接する道路の反対側に置かれ、北を向いていました。スクーターは2メートル、道路の幅は2・3メートル。また、被害者がスクーターを止めていたという空き地にはロープが張られていました。被害者はスクーターの方向転換のために、日常的に被告の庭に入っていたことが推認できます。被害者の家族全員が、社会生活のルールに対する意識が低かったことが犯行の背景となったのは明らかで、量刑上考慮されるべきと考えます」
《そして、犯行直前の状況に移った》
弁護人「被告の注意がきっかけで被害者とケンカ口論になりましたが、被害者も言い返しているのが確認されています。10メートル近く離れた家に住む証人も弟と怒鳴り声を耳にしており、もっと離れたところに住んでいる証人も(午前)11時45分ごろ、家の中で怒鳴り合う声を聞いています。証人が110番通報をしたのは11時50分ごろ。被告がナイフで刺傷するまで、少なくとも5分くらいは、けんかが続いていたと推認できます」
《裁判員の1人が藤井被告に一瞬目をやり、そしてまた視線を下げた。犯行の状況を頭の中で再現しているのだろうか》
弁護人「近所の家の人でも聞こえたほど、怒鳴りあいは激しかったのですが、それは被害者に理不尽で辛辣(しんらつ)な言葉を投げられたのがきっかけでした。被告は筋を通ったことを言っているのに、謝らない被害者に憤り、ついにナイフを持ち出したのです。しかし被害者は『おー、やるのか。やるならやってみろ』と1歩進んで、被告のあごや肩につかみかかろうとしました。被害者は女性ですが、被告より5歳年下で、整体師もしており、体力は彼女の方が上だったと推認できます。そのため被告は、『刺すしかない』と思い、左胸の上を刺してしまったのです。まさに衝動的な犯行なのです」
《女性が男性より体力があると主張する弁護人。裁判員の胸中は…》
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