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【ボランティア 被災地通信】Vol.7 筑波大学野球部員が築いた「伝統」

2012/02/06 12:03更新

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【ボランティア_被災地通信】被災した子供たちに野球を教える筑波大学野球部の学生たち。野球部のよき「伝統」を、ぜひ伝えて欲しい=1月15日、宮城県山元町(Gakuvo撮影) 

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【ボランティア_被災地通信】学生が活動主体となるボランティア文化の定着を目指し、2010年4月に設立された日本財団学生ボランティアセンターの愛称。「学生インターン」が「学生ボランティア」を支援するという理念のもと、大学生が中心となって各種セミナーや出張講義などを実施している。東日本大震災においては、日本財団ROADプロジェクトの一環として、これまで全国約190の大学から延べ人数で3000人以上を被災地に派遣し、泥出しや瓦礫(がれき)撤去などを行っている。活動内容の詳細はGakuvoの公式HP(www.gakuvo.jp)を参照
【ボランティア_被災地通信】日本財団の村上智則さん=2011年10月6日(Gakuvo撮影)
【ボランティア_被災地通信】津波につかった家具を運び出す筑波大学野球部の学生ボランティアたち。チームプレーであっという間にかたづけた=1月14日、宮城県山元町(Gakuvo撮影)
宮城県山元町

記事本文

 ≪「教員になり学んだこと伝えたい」≫

 「ガンバレ、行け行け!走れ!」-。野球少年たちの明るく元気な声が冬空に響き渡った。気温は零下1度。雪がわずかにちらつく中での練習だ。

 ボランティアとして宮城県山元町の花釜地区で被災家屋の清掃活動をしていた筑波大学の硬式野球部員が1月15日、地元の小学生を元気づけようと野球教室を開いた。山元町では、東日本大震災の津波などで614人が死亡。沿岸部は津波で水没し、海岸線1.5キロの範囲で、ほとんどの建物が流されるという甚大な被害を受けた。

 ■「受け身では限界」

 今回のボランティア活動の仕掛け人は、筑波大学大学院1年生で野球部OBの宮本匠さん(23)。宮本さんはこれまでGakuvoの活動に何度も参加し、宮城県石巻市でがれきの撤去や泥の掃き出し作業の経験を持つ。ボランティアへの参加回数を重ねるなか、現地で活動するボランティアとの人脈も深まり、一参加者としての立場から運営者側で支援活動に携わるようになっていった。

 「受け身の活動では限界があり、もどかしく感じることが多かった。自分が運営者側に立てば、これまでの経験が生かせるのではないか」。そんな思いで被災地と大学とを往復する日々を送っていた。そんなときに、野球部の後輩から「筑波大野球部で被災地に行って活動したいが何をしたらよいか」と相談を持ちかけられたのだ。

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記事本文の続き 早速、活動拠点としていた「山元町おてら災害ボランティアセンター」に寄せられる住民の要望と野球部員だからこそできる活動を考え始めた。野球部の強みは何よりも体力と頭数だ。コーディネーターとしての初仕事に没頭した。提案者の一人として、部内の調整を進めた野球部3年生の星野健太郎さん(21)は「筑波大も被災したものの、野球を続けられた。自分たちが野球をさせてもらえることの感謝を行動で示したかった」と振り返る。

 ■大事な思い出を発見

 今回の主な活動は被災した家屋の清掃作業。丹野道彦さん(48)の一家が住んでいた住居の清掃を手伝った。津波により、1階のガラスはすべて割れ、家財道具や建材が散乱、隙間なく泥が入り込み、分厚く堆積している。幸い家族とペットは全員無事で、今は車で30分ほどの距離の所に家を借りて暮らしている。

 清掃作業は丹野さん立ち会いのもとで進められた。息のあった仲間同士、ペースの乱れはなく黙々と進み、掛け声とともに瞬く間にきれいになってゆく。日々の練習で築かれた先輩後輩の上下関係により、指揮系統と役割分担は明瞭で、キビキビと手際よく進む。

 突然、丹野さんが歓声をあげた。失してしまったと思い諦めていた大切なシンバルのセットが見つかったのだ。居間の泥を清掃していた部員が偶然に発見。清掃活動はなくしたはずの大事な思い出を見つける手助けもした。

 音楽が趣味の丹野さんは、震災前にバンドを組んでいたが、「メンバーのほとんどは犠牲になった」と顔を曇らせる。それでも、丹野さんがかつての相棒に再会できたような笑みを浮かべるのを見て、野球部員の間に自然と笑顔が広がった。彼らが被災者と心を通わせた貴重な瞬間であった。

 ■和と思いやりの精神

 活動を終えて、宮本さんは「学業との両立は大変だけど、今後も活動を続けたい。教員志望なので、将来は生徒に被災地で学んだことを伝えていきたい」と希望に満ちた顔で力強く語った。

 今回の活動中、筑波大野球部員が見せた、折り目正しい挨拶、ハキハキとした受け応え、作業場所まで一列になり駆け足で向かう頼もしい姿、きちんとそろえられた靴など節々に感じさせる周囲に配慮した気遣いの精神は、「今どきの若者は」と非難を向ける大人の言葉を一蹴する力強さと輝きを持っていた。古き良き伝統を次代に伝えてほしい。

 (日本財団 村上智則/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■むらかみ とものり 1981年、千葉県浦安市生まれ。青山学院大学大学院国際政治経済学研究科修士課程修了。2007年、日本財団に入会し、NPOの情報発信支援や情報セキュリティー管理システムの導入、その国際規格ISO27001認証取得などの業務に従事。現在、助成事業の審査、障害者支援施設の製品販売支援を行う「真心絶品」プロジェクトに携わる。

       ◇

 ≪東日本大震災 写真・動画コンクール 2012≫

 日本財団は、「2012年3月11日~あれから365日。あなたの目に映るものは~」と題した写真・動画コンクールを開催します。

 東日本大震災の1周年に当たる2012年3月11日に撮影された写真と、その日を中心に撮影された10分以内のドキュメンタリー動画を募集します。震災を改めて見つめ直してもらうことが狙いです。募集は3月11日から開始。写真は4月11日、動画は4月20日まで。応募規定・方法などコンクールの詳細は、日本財団ホームページで確認を。

www.nippon-foundation.or.jp/

       ◇

 ■Gakuvo 被災地への新規派遣ボランティアも募集中。詳しくは、日本財団学生ボランティアセンター(Gakuvo)まで。

www.gakuvo.jp/

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