「東北へ行くことが支援」三鉄復旧に110億円
2011/12/24 12:04更新
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【私にできること~東日本大震災の年末に】鉄道写真家・中井精也さん
東日本大震災では、岩手県の沿岸を運行していた第三セクター「三陸鉄道」(以下、三鉄)も被災した。同社が運営する2路線のうち、運行を再開したのは北リアス線の久慈-陸中野田間と宮古-小本間だけで、南リアス線(盛-釜石)は全線運休したまま。復旧には110億円かかるといわれている。
そんな三鉄を支援する企画の一つ、チャリティー写真展「忘れ得ぬ東北・ふるさとの鉄道風景」の実行委員長を務めた。
写真展は日本鉄道写真作家協会などの主催。9月に新宿区歌舞伎町の「ギャルリー トラン・デュ・モンド」で開催した。被災前に岩手から茨城までの太平洋沿岸を走行していた列車と沿線の情景を撮った写真79点を展示。1点1万円で販売し、写真集やポストカードの売り上げなどと合わせて200万円余を三鉄へ寄付した。
地震が起きたとき、埼玉県越谷市の自宅で、写真雑誌の原稿を書いていた。「鉄道がどうなっているだろうと心配した。特に新幹線。はやぶさが開業したばかりだったから。でも、緊急地震速報を受けて、地震発生時には止まっていた」。走っている列車があったはずなのに、その映像がなかなか出ず、イライラしたという。
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記事本文の続き 4月上旬、宮城県気仙沼市から岩手県田野畑村まで北上した。「カメラマンとして何ができるか考え、電車の絵本を配ろうと持っていった」。最初訪れたのはJR気仙沼線の最知駅。以前の光景はなかった。「報道で知っているつもりだったが、呆然(ぼうぜん)とした。復活に向けた希望の写真を撮ろうと考えていたが、とても無理だった」。このときは、ほとんど写真を撮らなかった。三鉄の陸前赤崎駅や島越駅などの悲惨な状況を目にしたときは泣いたという。
三鉄には強い思い入れがある。高校時代、鉄道研究会の部長だったとき、三鉄が日本初の三セク鉄道として開業。研究会は沿線で3回、合宿を張った。その成果を、30分のスライド映画『三陸の夜明け』として作り上げた。
「開業のとき、住民が旗を振って、喜んでいた。ものすごい熱気だった。鉄道は生活に密着している。車両や景色だけでなく、人も被写体になることに気づいた」。鉄道の奥深さ、鉄道の意味を教えてもらった。
チャリティー写真展の話は、4月ごろに持ち上がった。「三鉄が震災の5日後に動き出したと聞いたときは、本当にうれしかった。恩返ししたい気持ちだった」
いま、三鉄の応援本を作ろうと動いている。来春出版予定の本に載せる写真を年末から年始にかけて、京急百貨店(横浜市)で展示。「東北、三鉄は大丈夫」と呼びかけるつもりだ。
「現地へ行って、旅をして、観光してほしい。不謹慎なようにみえるかもしれないが、向こうの人はそれを望んでいる。無理して被災地の中心部に行かなくてもいい。東北へ行ってほしい。それが復旧、復興につながる」と訴える。
三鉄によると、北リアス線は来春、陸中野田-田野畑間も運行を再開。残る田野畑-小本間は26年春の再開を目指している。南リアス線は、25年春に盛-吉浜間、26年春に吉浜-釜石間が再開する見通しという。(土樋靖人)
■中井精也(なかい・せいや)…昭和42年、港区生まれ。成蹊大法学部卒。東京写真専門学校(現東京ビジュアルアーツ)で1年間学んだ後、鉄道写真家の真島満秀氏に5年間師事した。写真集に『ゆる鉄』『鉄道旅情100景』などがある。
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