虎キチ・渡辺謙の阪神キャンプレポート!?
2012/02/12 20:40更新
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小惑星探査機「はやぶさ」のプロジェクトを成功させた技術者たちの苦闘の日々を描く映画「はやぶさ 遙かなる帰還」(瀧本智行監督)が11日、全国で封切られる。「プロジェクトマネジャー」の肩書が入った名刺を持ち、この作品の宣伝も担当する主演の渡辺謙は昨年末、今月と2回にわたって来阪。特に2度目は、プロ野球、阪神タイガースの沖縄・宜野座キャンプ地から、直接大阪入りしたとあって、「何でも聞いてください。全部“はやぶさ”に置き換えて話せますからね」とニヤリ。阪神のキャンプレポートに熱弁をふるう一方で、見事な宣伝マンぶりを見せた。
(橋本奈美)
「チームの雰囲気が変わりましたね。全員の気持ちがすごく前傾姿勢というか、前向き。新しいリーダーの存在が大きいと思います」
テレビ番組の企画で阪神キャンプを2日間、取材した。初日は、今季から指揮をとる和田豊監督とたっぷり2時間、会談。2日目はグラウンドで監督の動きや金本知憲外野手らベテランから、ドラフト1位ルーキーの伊藤隼太外野手ら若手まで練習をチェック。ブルペンにも足を運び、投手陣の投球に見入った。
「和田さんは、阪神というチームを率いる重圧や責任を熟知し、その準備を怠っていない。そこがすてきだと思いました」
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記事本文の続き 人気球団の“新リーダー”という立場は、よくも悪くも注目を集める。そこへ対応していく覚悟を感じた。和田監督はこれまでに監督経験がない。「もちろん、戸惑いはあるでしょうが、それをグラウンドで微塵も見せない。長年、指揮をとっているかのような雰囲気を漂わせてグラウンドに立っていらした」。その姿勢こそ、チーム全体が前に進もうとする原動力となっていると感じたという。
そして、おもむろに「隼(はやぶさ)」の名を持つルーキー伊藤隼太外野手の名を出す。来たぞ、来たぞ…と思いながら先を促すと、案の定、「良いお手本がいっぱいありますから。先輩の練習のスタイル、野球に対しての心構えを学び、できれば4月の“打ち上げ”のときには、“はやぶさ”に乗っていて欲しいですね」と開幕一軍入りへの期待を込めたコメントから見事、映画に話を結びつけた。
シーズンが始まれば、予期せぬ出来事がたくさん待っている。それに伴い、さまざまな“風圧”も予測される。映画「はやぶさ-」で描かれる道程と同じだ。
「常に良い時ばかりではない。悪いことが起きたとき、最善は何か、“セカンドベスト”を考えねばならない。和田さんはそれを熟知されていると思うので。ファンにとって楽しみなシーズンです」
さらに、こう続ける。「“はやぶさ”っていろんなことに応用できるんですよ。僕たちは、今回の映画が、実在のはやぶさの意義や目的を提唱する広報活動のひとつになることを目指して作りました」
さて、ここからは映画の話。はやぶさは、小惑星「イトカワ」からサンプルを地球に持ち帰るという世界でも例のない壮大なプロジェクトの映画化。渡辺は脚本がない段階で、参加を即決したという。「ここ数年、日本に対する世界の評価が、経済的にも科学的にも下がりつつあると感じていた。はやぶさの偉業達成は、そんなときに目にした世界に誇れるニュースでしたから」と話す。
《平成15年、日本が研究、開発した小惑星探査機「はやぶさ」を搭載したロケットが地球を飛び立つ。燃料漏れ、通信途絶…。プロジェクトマネジャー、山口(渡辺)の指揮の下、メンバーは次々と突きつけられる難題に立ち向かう》
渡辺が演じた山口のモデルは、はやぶさのプロジェクトマネジャー、川口淳一郎教授。撮影前に川口教授とは何度も会い、酒を酌み交わしたことも。部下からも話を聞いた。
「普段は飼い犬を愛する穏やかな人だが、仕事となると別。次々に意見をぶつけ、時に無理と思われるような要求をする厳しさを持つ。それが想定外の成果を生み出したのだと思う」
リーダーとして判断力に長けていると痛感した。はやぶさに関わる企業や団体は118社。だが、すべての技術が集約されたわけではなく、捨てざるを得なかったものは甚大にある。「今必要なものは何を、厳格かつ冷静に選択する能力と、周囲に納得させるだけの信念が必要。そこを意識して演じました」と振り返った。
川口教授が「本当にあきらめの悪い人」と愛情を込めて評されているのを聞き、親近感を覚えた。「僕も、ものすごく執念深く探求する。どこをゴールとするかを、設定するのは自分ですからね。逆に言うと、そんな高いハードルを常に要求される俳優でありたいと思っているので」
はやぶさをテーマにした映画3本が同時期に製作された。娘、杏が出演している作品もある。
「そうそう。面白い話を聞いたんですよ」と笑いながら教えてくれた。撮影前、スタッフらと宇宙科学研究所を見学した渡辺は、興味ある事柄を見つけると集団の列から一人、すっと離れて見に行っていたという。「後日、見学に来た娘がまったく同じ行動をしたそうなんですよ。好奇心と探求心を抑えられない点が親子で似ているかもしれませんね」
脚本作りの最終工程で東日本大震災が起こった。当初は、ドラマ性を高めるための横軸として、技術者の家庭人としての姿を織り込む案があった。だが、被災地に何度も足を運ぶ渡辺の強い思いもあり、プロジェクトに向きあう姿に特化。被災地で完成作の試写会も行った。
「はやぶさに関わる人々が示したあきらめない姿勢が、縮こまってしまった日本人の心を少しでもほぐし、前に進む原動力になればうれしい」と話した。
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