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【シネクラブ】「グミ・チョコレート・パイン」 ケラリーノ・サンドロビッチ監督インタビュー

2007/12/21 16:46更新

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「泣かせる映画が流行ってますけど、ああいうの観ると、軽いなぁって思う。人が泣くためのドラマツルギーをなぞるだけじゃ安易でしょ。マニュアル通りに作って、ハイ売れましたって、そういうのとは背を向けていたい」と語るケラリーノ・サンドロヴィッチ監督(飯田英男撮影) 

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映画「グミ・チョコレート・パイン」 22日公開(提供写真)

記事本文

 ■青春はホロ苦くて みっともない

 青春は甘酸っぱくて、美しい? そうでもないんじゃないの。ケラリーノ・サンドロビッチ(KERA)さん(44)が脚本と監督を務めた映画「グミ・チョコレート・パイン」が描き出す青春は、ほろ苦くて、みっともない。尖(とが)りすぎたプライドで自分を傷つけ、クラスでは孤立し、好きな女の子に告白もできない。しょぼくれた世界で悶々(もんもん)と過ごしている。「これはね、すごくだめな人たちのお話」。オレの青春、カッコ悪かったなぁ…と思い出しては赤面してる人に観てほしい。(篠原知存)

 《あなたのせいなのだから》。手紙にはたった1行、なんとも意味深長な言葉が-。

 会社をクビになって実家に戻った37歳の賢三(大森南朋(なお))は、転送されずに放置されていた1通の手紙を見つける。差出人は高校の同級生、山口美甘子(みかこ)。旧友から彼女が1年前に自殺したと聞き、賢三は「なんで!?」と戸惑いつつ、過ぎ去った時代を思い返す。

      ■□■

 それは暗~い日々だった。同級生から「だれだっけ?」と言われるほど存在感がない。女=雑誌のグラビア。何をやりたいのかわからない。金もない。ないない尽くしに悶(もだ)える青春。高校時代の賢三を演じるイケメン俳優、石田卓也が、カッコ悪く見せるためにわざわざ8キロも太ったぐらい、みっともない。

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記事本文の続き 「青春時代はよかったなぁ…っていう人ばかりじゃない。プライドと現実の狭間(はざま)で身動きできなくて、何かやりたいっていう気持ちだけが空回りして。じつは、みんなそうだったんじゃないかな。そこを描きたいと思いました」

 ダメ男の賢三が見つけた希望がロックバンド。親友のカワボン(森岡龍)とタクオ(金井勇太)、クラスメートの山之上(柄本佑)との4人組でライブに向けて走り出す。一方で、憧(あこが)れていた山口とも映画談義を通じて仲良くなる。とくれば、物語は大団円にまっしぐら…となりそうなんだけど、そうはいかない。

 「泣かせる映画が流行(はや)ってますけど、ああいうの観ると、軽いなぁって思う。人が泣くためのドラマツルギーをなぞるだけじゃ安易でしょ。マニュアル通りに作って、ハイ売れましたって、そういうのとは背を向けていたい」

 KERAさんはあくまでシニカル。いや、真面目なのだ。

 「たとえばね、本当に自分の愛する人が死んだら…って考えながら作ってるのかなって。描かれていることは同じかもしれないですけど、向き合い方を大切にしたい。人の必死さ、切実さみたいなものは、一緒に担っていたいんですよ」

 切実さ。リアルな人生には必ずそれがある。美しくセピア色には染まらない。まだら色。陶酔する心を、ヒヤリと覚めさせるシーンが織り込まれて、なかなか酔わせてくれない。

      ■□■

 現在と過去の二重構造もそうだ。しょっぱい青春は、大槻ケンヂさんの原作小説に描かれた世界。そこに、《なりたくなかった種類の大人になってしまった》という後日談を脚本段階で加えた。ダメの二乗だもの。なんだかもう、やるせなくなる。

 「生々しい現実をはめ込むことにリスクはあると思いました。でも、ワガママを押し切りましたね。青春映画って、クライマックスで完結するけど、人生はだらだらと続くんです」

 題名の「グミ・チョコレート・パイン」は、ジャンケンをしてグーで勝ったら「ぐみ」と2歩、チョキで勝てば「ちよこれえと」と6歩…と進んでいく遊びのこと。山口に誘われた賢三が2人でやるシーンがある。ジャンケンポン…草原をどんどん先へ行くヒロイン。一歩も前に進めない主人公。象徴的な場面に苦笑いしつつ、心が賢三と寄り添っていることに気づく。

 「これはエールなんです。だけど、『やればできる』じゃない。『やってだめだった』とか『やれなかった』とか、それも等しく肯定したいんです」

 映画の終盤、観客は山口の残した言葉の意味を知る。「ウエットなのは恥ずかしい」という監督の皮肉な演出のせいで、カタルシスは足をすくわれる。だけど、泣ける。瞳ではなく、心が濡(ぬ)れる。グミでもチョコレートでもパインでも、たとえ負け続けても、人生は続く。続いてくれる。22日公開。(SANKEI EXPRESS)

       ◇

 ■ケラリーノ・サンドロヴィッチ 本名・小林一三。1963年、東京都出身。「劇団健康」を主宰。劇作家、映画監督、俳優のほか、バンドを結成するなど多方面で活躍中。

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