【シネクラブ】「ハルフウェイ」主演 北乃きいさんに聞く
2009/02/20 14:02更新
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《自然な演技で優しい気持ちになれた》
社会現象にまでなったドラマ「ロングバケーション」、向田邦子(むこうだ・くにこ)賞を受賞した「ビューティフルライフ」…。恋愛ドラマのヒットメーカー、脚本家の北川悦吏子(きたがわ・えりこ、47)が初めて映画監督に挑戦した「ハルフウェイ」。高校卒業を間近に控えた北海道のカップルを主人公に、青春時代の輝きやみずみずしさを優しい視線でスケッチしている。このところ映画での活躍がめざましい主演の北乃(きたの)きい(17)は、数々の名作を紡ぎ出した“恋愛の神様”の深い懐にほぼ白紙の状態で飛び込んだ。「こんな優しい気持ちになれる世界もあるんですね」。平成生まれの新星は、北川ワールドから何を感じ取ったのだろう。
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記事本文の続き ヒロ(北乃きい)はある日、恋人のシュウ(岡田将生(まさき))が高校卒業後に上京し、早稲田大学への進学を考えていることを知る。何も相談されていなかったヒロはシュウと大げんかに。田舎を出て「魔物が住む都会」でもまれ、一回り大きく成長した男の方が魅力的ではないか-。恋愛の相談に乗った学校の教諭(大沢たかお)の意見を聞くうちにシュウを応援したい気持ちが芽生えてくる…。
北川監督が北乃に求めたのは唯一、「かわいく演じてくれればいい」だった。もう一人の主役シュウにも「カッコよく演じてね」。そのため北乃はアドリブを多用し、女の子のかわいらしさを前面に押し出すという、本人いわく「自分とはまったく違うタイプ」の女子高生をのびのびと表現することができた。
■泣きたければ泣いて
実際の撮影では立ち位置がなく、演技中に360度回ってもすべてのカメラがついてきてくれる。「北川監督は『演技していて、泣きたかったら泣いて』という感じだった。テレビドラマも映画も演じる点は一緒だけど、『ハルフウェイ』には制約がなく、アドリブも自由。そこが違うんですよ」
慣れない大阪弁やボクシングなど、チャレンジが多かった前作「ラブファイト」とは違い、リラックスできた分、「ナチュラルな演技ができた。ここまで役に没入できるのかと俳優として新しい発見もあった」と胸を張る。北川監督の描くイメージにもぴったりだったようで、撮影中に監督から「北乃さんは自分に似ている。私の娘みたい」と、何度も親しみを込めて声をかけてもらったという。
タイトルの「ハルフウェイ」も、そんなのびのびした雰囲気から生まれた。当初のタイトルは「物語の途中」。主人公たちが勉強するシーンで、北乃が英単語「halfway(ハーフウェイ)」を誤って「ハルフウェイ」と発音してしまったのがきっかけ。自然な受験生カップルの様子が北川監督の印象に残ったらしく、タイトルをハルフウェイに変更することになった。
■少女漫画みたいな世界
一方で、北川ワールドを知らない北乃はギャップも感じていた。本作が描き出す世界では、一つ一つの風景の描写も川辺や閑散とした田舎駅などノスタルジックで美しく、登場人物は彼氏や彼女のことだけをいちずに考えている。人間の生々しさやリアルな社会の汚れた部分をみせていない。「少女漫画みたいな世界だった。今の若い子たちが逆に大人びちゃっているのかもしれない」
本作で自分の知らない世界を表現できたことで、俳優としての引き出しをまた一つ増やした。今後も「さまざまな役を経験していろんな自分に気づけたらいいな」と語る。大きな飛躍に向けて役者、北乃きいの物語も“途中”にある。
2月21日、東京・ヒューマントラストシネマ渋谷、大阪のシネ・リーブル梅田などで公開。
(文:高橋天地(たかくに)/撮影:鈴木健児/SANKEI EXPRESS)
◇
■きたの・きい 1991年3月15日、神奈川県生まれ。「ミスマガジン2005」グランプリに輝く。初の主演映画「幸福な食卓」(07年)で日本アカデミー賞新人俳優賞などを受賞。その後、「ゲゲゲの鬼太郎 千年呪い歌」「ポストマン」「ラブファイト」(いずれも08年)に相次いで出演し、若手実力派として頭角をあらわした。テレビでは06年の民放ドラマ「14才の母」やNHK朝の連続ドラマ「純情きらり」にも出演した。
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