【産経抄】2月10日
2010/02/10 07:14更新
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破談してほっとした。経営統合交渉が決裂したキリンとサントリーの関係者や読者のみなさんに叱(しか)られるかもしれないが、飲んべえの端くれとしての偽らざる心境である。企業がグローバル化しても競争相手が減って味が落ちれば、消費者には迷惑なだけだ。
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記事本文の続き ▼むかし、サントリーは寿屋だった。茅場町の寿屋東京支店に一歩足を踏み込めば、それはすでにして大阪だった-と作家の山口瞳はサントリーの社史「やってみなはれ」にこう書いている。彼が入社した昭和33年は、課長以上はすべて大阪人。東京入社組を「現地採用」と呼んだそうな。
▼東京支店といえば聞こえはいいが、「山奥の小さな村役場」といった風情の木造二階屋だった。村役場の宣伝部には作家の開高健やイラストレーターの柳原良平といった才人が集い、営業部員は「何が何でも勝たねばならぬ」と大阪商人魂でバーや酒屋を走り回った。
▼キリンはといえば、横浜を発祥の地に120年以上もブランドを守り続けている。三菱グループの中核企業でつくる「三菱金曜会」のメンバーであり、折り目正しい社員が多い「東京」の会社だ。サントリーとは、ビールの味も家風も違いすぎる。
▼経営統合は、規模拡大だけでなく、弱点を補強するチャンスでもある。だが、JALのように図体(ずうたい)だけでかくなり、うまくいかなかったケースも多い。政党の統合もまた然(しか)りである。
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