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【紙のジャポニスムin関西】切り絵画家 久保修が描く「大阪城」

2012/02/13 18:09更新

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SANKEI_EXPRESS__2012(平成23)年2月11日付EX(16、17面(見開き)) 

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【紙のジャポニスムin関西】切り絵画家、久保修さん(提供写真)
【紙のジャポニスムin関西】「大阪城と梅」(久保修さん提供)
【紙のジャポニスムin関西】「大阪城天守閣からの俯瞰図」(久保修さん提供)
【紙のジャポニスムin関西】大阪城公園では早咲きの梅林が見頃を迎えている=2月4日、大阪市中央区(澤野貴信撮影)
大阪城=大阪市中央区
SANKEI_EXPRESS__2012(平成23)年2月11日付EX(15面)

記事本文

 ■シーン1

 地元の名所というところは意外に行かないものだ。例えば、東京だと皇居や東京タワー、京都だと清水寺や御所。さしずめ大阪だと大阪城だろうか。

 熊本城と名古屋城とともに「日本三大名城」に数えられる大阪城は、大阪有数の観光名所で年間ざっと130万人の観光客が訪れる。その3割が外国人だ。そういえば、皇居や清水寺などここぞという観光地には外国人が多い。でも、名所はやはり名所、訪ねてみると感動がある。

 切り絵画家の久保修さん(60)も久しぶりの大阪城散策でスケッチをする手が止まらない。敷地は広く、天守閣は高い。お殿様でなくともあたりを睥睨(へいげい)するのは気分がいい。歴史をたどれば、いくらでも時空を超えることができるミラクルワールド。早咲きの梅も見ごろを迎え、早春の気配を堪能できる。

 ■シーン2 日本一の威信かけた「太閤さんの夢」

 大阪城は昨年末、復興80年を迎えた。緑青色の屋根と金のシャチホコが目を引く現在の天守閣は3代目。これは1931(昭和6)年、市民からの寄付で再興されたものだ。

 大阪は当時、紡績産業の発達で東洋のマンチェスターといわれ、人口220万人を抱えて東京市を抜く日本一の都市となっていた。

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記事本文の続き 幹線道路・御堂筋や地下鉄など現在の大阪を支える基盤はそのころ計画・推進されたものが多い。名市長とうたわれた関一(せき・はじめ)の仕事。大阪城復興計画もそのひとつだった。

 ご存じの通り、大阪城は豊臣秀吉が築いたものだが大坂夏の陣でわずか30年で焼失した。その後、徳川幕府の手で再建されるが、天守閣は落雷によりわずか39年で焼失。その後長らく大阪城には天守閣がなかった。

 それを、大阪の威信をかけ、太閤さんの夢を再現しようと呼びかけたのが関一だった。天守閣再建と大阪城公園化による市民開放、という計画は大いに歓迎され、予定の事業経費150万円はわずか半年で集まった。いまのお金にすると100億円というから大阪人のパワーが知れる。

 しかし、「太閤さんのお城」再建は、さまざまな困難を伴った。2度と火災にあわないよう当時としては画期的だった鉄筋コンクリート造りの堅固な城づくりをめざすが、問題は外観の意匠。初代の設計図は失われてない。

 大阪城天守閣がまとめた復興80周年記念特別展のための図録「天守閣復興」には、そのへんの議論が詳しく説明されている。

 設計責任者は建築家で大阪市土木建築課長だった波江悌夫(やすお、1885~1965年)だが、波江は桃山建築に詳しい建築家の古川重春(1882~1963年)をメンバーに招き検討を重ねた。2人は豊臣時代の姿を伝える「大坂夏の陣図屏風」を参考に図面を引くが、時に2人の意見が対立、時に外部委員から横やりが入り、波江が市役所を去ったことで、結局古川も工事途中で辞職する。

 そんな曲折は当然城づくりに反映される。最近の研究では、今の大阪城天守閣を支える石垣はすべて徳川時代のものであったこと、豊臣時代の天守は別の地点にあり規模も違っていたことなどが実証されている。そもそも徳川幕府が再建した城の上に、徳川色を一掃した豊臣色を復興しようとするのだから無理があったかもしれない。

 先の冊子には、「復興天守閣は完成直後から学問上乗り越えるべき目標となった」として「豊臣の天守を求めて」と題する一節を設けている。そこには、最新の知見をまじえ、さまざまな研究者らが提唱する復元案が紹介されていて興味深い。それらによれば、どうやら豊臣の天守は黒壁、漆黒の要塞(ようさい)で、いまのものとは大いに趣を変える。

 試算によれば、当時を再現するとなると木造の天守建築に40億円、本丸御殿や石垣まで手をつけると780億円かかるという。いまの大阪にその余力はありや。

 (切り絵:切り絵画家 久保修/文:石野伸子/SANKEI EXPRESS

       ◇

 ■くぼ・しゅう 切り絵画家。山口県生まれ。大学建築科在学中に切り絵に出合い、スペイン、アジア各地を回って独自の世界を切り開く。著書に『切り絵の食材』『切り絵の下絵集』など。日本美術家連盟会員。日本旅のペンクラブ会員。

www.shu-kubo.com

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